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著…金蓮花『水の都の物語』

 題の美しさに惹かれて、図書館の本棚に手を伸ばした。

 それがわたしと『水の都の物語』との出逢いでした。


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。



 ファロン。

 それは水の都の名前。

 けれど、この都には雨が降らなくなってしまいました。

 「水の巫女姫」が何者かに殺されてしまったから。

 新たな巫女姫となるため、サヒャンとリラン、二人の女の子が舞い比べをすることになります。

 サヒャンは砂糖菓子のような女の子。

 リランは氷のような女の子。

 後編では、リランの持つ悲しみの理由が明らかにされます。

 彼女が巫女姫になって何を果たすつもりだったのかが…。

 さて、これは雨が降らない都を舞台にした悲しい小説なのに、まるで物語の底でサラサラと清涼な水が流れているような美しい文章で綴られています。

 そのおかげで、続きが気になるのにいつまでも終わって欲しくないという感覚になります。

 これこそ、小説を読む醍醐味の一つですね。

 サヒャンとリランは性格は違えどとても仲が良く、騎士カイエンや国王ヨゥンの恋模様も甘くって(ただし後者は悲劇的ですが…)、わたしはこの作品にピンクと銀色の泡が混ざり合って光り輝くようなイメージも持っています。

 なんて儚い世界…。

 それにしても…、久しぶりに読み返してみましたが、わたしはどうしてもヨゥンを嫌いになれません。

 彼もまた、恋する哀れな者の一人…。




 〈こういう方におすすめ〉
 悲しくも美しいファンタジー小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 前編と後編を合わせて2時間半〜3時間くらい。

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