著…宮木あや子『校閲ガール』
名前からしていかにも校閲担当者っぽい主人公・河野悦子(こうのえつこ)と、その周りの編集者や作家の様子がテンポ良く書かれた小説。
原稿を受け取ると、言葉や句読点などの使い方が不自然でないか、もしくは同じ表現を繰り返していないか、また、内容そのものに間違いがないか事実確認をしていく…、という校閲ならではの業務を興味深く読むことが出来ます。
しかし、これはバリバリ仕事をする女性の小説というよりも、実態はむしろその逆。
悦子自身は本当はファッション誌の仕事がしたいのに、校閲に配属されたため、しょっちゅう愚痴をもらしながら校閲の仕事をやっているのです。
そんな悦子に対して「仕事を貰えるというだけでも有り難いのでは?」とムッとする読み手は少なからずいるでしょう。
また、悦子はたとえ相手が自分より目上の人であっても思ったことをそのままハッキリ言い過ぎて周りの空気を悪くしてしまうタイプなので(例えば、作家から「おまえは誰だ」と携帯電話に折り返しの着信がきた時、悦子は「そっちのほうこそ名乗りやがれ」と返事をしてしまいます)、悦子に対して引いてしまう読み手も少なからずいるでしょう。
悦子のことを「裏表のない女性」と好意的にとれるかそうでないかで、この小説を読み進められるか読むのをやめてしまうかが分かれると思います。
わたしはいつも言いたいことをグッと我慢しながら仕事をしており(ほとんどの人がそうだと思いますが)、悦子の言動がなんだか痛快に感じられたので、この小説を楽しい気分で読み終えました。
これだけ言いたい放題でも、ちゃんと仕事もあって、友人もいる悦子が羨ましいです。
それはきっと周りを信頼しているからなのでしょう。
〈こういう方におすすめ〉
校閲の仕事に興味がある方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間半前後くらい。
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