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著…イアン・マクレラン・ハンター、ジョン・ダイトン 訳…池谷律代『ローマの休日』

 こんばんは。

 切ない恋の物語に浸りたい方におすすめの小説をご紹介します。

 ちなみにわたしは映画版が大好きで、これまでに大袈裟ではなく100回以上は観ましたが、このノベライズ版のことも大好きになりました。

 特にアン王女がとても素敵。

 可憐なだけではなく、とてもあたたかい人柄なのです。

 過酷なスケジュールを懸命にこなしていたけれど、ついにパンクしたアン王女が、宮殿から抜け出して、気持ちよさそうに歌い出し、それに合わせて別人が歌い出して、アン王女が「こだまだわ!」と無邪気に喜ぶシーンがとびきり可愛い。

 人形劇が見たくて頑張って背伸びをしていた女の子を、アン王女が優しく抱き上げて、楽に見えるようにしてあげるシーンも心が和みます。

 読んでいて、アン王女とジョーの恋を応援せずにはいられません。

 けれど、二人は立場が全く違います。

 一緒にいられる時間もごくわずか。

この時を共有できた幸せを大切にするだけでいい。二人の前には受け入れなくてはならない現実があっても、今、この瞬間の真実は一生色褪せることはない。
(P257から引用)

 本来なら一生出会うことはなかったであろう二人の人生が、一瞬だけ交差した。

 そのたった一瞬は、色鮮やかにキラキラと輝き続けています。

 いつまでも、いつまでも…。


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