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著…井伏鱒二『黒い雨』

 突然の閃光と爆音。

 それまで生きていたはずの人たちが、老若男女問わず千差万別の死体に成り果てました。

 死体すら残らなかった人もいます。

 初めてのことで、誰も何が起きたか分かりません。

 生き残った人たちも、姿かたちが変貌し、今まで経験したことの無い激烈な症状に襲われ、死んでいきました。

 そんな混乱の中、黒い雨が降りました。

 それが何なのか、その時はまだ誰にも分かりませんでした。

 …この小説には、その「黒い雨」に打たれてしまった人たちが登場します。

 原爆の炸裂による即死をせっかく免れても、被曝症状に苦しみ、差別に曝されたことが、登場人物の書いた被曝日記やその暮らしから伝わってきます。

 淡々と描写されているから読みやすいけれど、原爆がもたらした被害はあまりに凄惨…。

 まさに地獄絵図。

 いや、地獄より酷いかもしれません…。

 この小説を読んでいると、まるで自分も登場人物たちと同じように体が膨れ上がったり皮膚が焼けただれたり肉が溶けて垂れ下がって呻いているかのような気分になって苦しくなります。

 他人事だと思ってはいけませんね…。

 こんなことをもう二度と起こしてはいけない…と改めて気づかされます。

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