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著…池田重子『池田重子 美の遍歴』

 この世にはこんなに美しいものがあるのか…と心が震える本。

 「池田コレクション」の数々と、お洒落を情熱的に探究してきた著者の人生が紹介されています。

 着物、帯、帯留、髪飾り。

 ありとあらゆるものが洗練され、中にはとぼけたような可愛らしさを持つものもあり、上質な遊び心も伝わってきます。

 シックなものも素敵ですが、わたしは特に、ヤカンを載せた火鉢、大判、硯と筆、開いた本を模した帯留を見ていてワクワクしました。

 「〝はんなり〟が過ぎれば〝野暮〟になる、〝粋〟が過ぎれば下品になる」
(P71から引用)

 というギリギリの線を見極めるバランス感覚の良さも素敵。

 わたしは特に、

 「遠くから見て〝向こうからすごい格好をした人がやって来る〟というのではなく、すれ違って〝どんなものを着ていたかよく覚えていないけれど、いい感じだった〟と思われるくらいが、おしゃれです」
(P77から引用)

 という考え方に共感しました。

 きっと、派手すぎず、地味すぎず、よく似合い、その場に調和したバランスの良いコーディネートなら、「どんなものを着ていたかよく覚えていないけれど、いい感じ」という仕上がりになるのでしょうね。

 和服に限らず、洋服のコーディネートにも取り入れたい考え方です。

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