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編著…澤井聖一 監修…武田正倫、西田賢司『世界の美しい透明な生き物』

 体全体またはその一部が透き通っている植物・虫・魚たちを紹介している本です。

 例えば、

 ●水滴に濡れると花びらが透ける可憐な花:サンカヨウ

 ●透明な翅を持ち、周囲の景色に溶け込む蝶:ツマジロスカシマダラ

 ●イエローダイアモンドを彷彿とさせる色鮮やかなエビ:イエローチェリーシュリンプ

 といった生き物が紹介されています。

 とても神秘的で、思わず見惚れてしまいます。

 また、透明な生き物の体越しに見える景色の不思議さにも心惹かれます。

 色素があるわたしから見ると、「どうしてこの生き物たちには色が無いのだろう?」と、とても好奇心を刺激されます。

 この本によると、

 「実際、主として視覚に頼って生きているわれわれ人間から見てさえ、透明な生物は野外では見事に背景に溶け込んでいる。人間以外の捕食者の目はレンズの厚さを変えることができない。すなわち固定焦点なので、一定の距離まで近づかなければ形がはっきりと見えないだろう。要するに捕食者は目が悪いから、透明であることは弱い動物の生き残りのために有利だと考えられる」

(『世界の美しい透明な生き物』 P70から引用)

 とのこと。

 その生き物がその環境で生き延びて子孫を残していく条件に、「透明である」ということが合っていたということなのでしょうね。

 偶然と呼ぶべきか奇跡と呼ぶべきか分かりませんが、生命が存在するということそのものに驚嘆させられます…。

 そういえば、人間の中には、「抜けるように白い肌」を目指している人たちがいますよね?

 「白ければ白いほどいい」と言って美容皮膚科通いをして、昼白蛍光灯みたいな肌色になっている人もいます。

 極論ではありますが、わたしはこの本を読んでいて、「もしかしたら究極の美白を突き詰めていった果てにあるのは透明化することなのかも?」と思えてきました。

 多分、人間の場合は、捕食者から逃れるためというよりはお洒落目的で。

 世の中には「生身の人間っぽさを無くしたい」とか「アバターになりたい」と言っている人たちもいるくらいですから。

 もしかしたら、いずれ人間が透き通った肌を手に入れ、美しい骨格や血管を見せることが最先端のお洒落とされる時代が到来するのかもしれません。

 昔流行ったスケルトンのパソコンやゲーム機のように。

 人間が人間の体を自由に作り変える…そんな技術も遠からず生み出されることでしょう。

 その技術に倫理が追いつくかどうかはともかくとして…。

 そんなことを想像しながらこの本を読んだら、ふいに未来へタイムトリップしたかのように奇妙な感覚になりました。

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