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著…指田和 写真…鈴木六郎『ヒロシマ 消えたかぞく』

 こんばんは。

 戦争における人の死を「〜人が死亡」という風に数字として捉えたくない、生身の人たちが命を奪われたという痛みを少しでも感じ取ることで、平和について考えたい…という方におすすめの本をご紹介します。

 これは、広島の鈴木さん一家を紹介した写真絵本。

 アルバムに遺された写真たちからは、賑やかな笑い声が聴こえてくる気がします。

 お父さんの、六郎さん。
 お母さんの、フジエさん。
 お兄ちゃんの、英昭くん。
 妹の、公子ちゃん。
 弟の、護くん。
 一番末っ子の、昭子ちゃん。
 犬の、ニイ。
 猫の、クロ。

 写真はどれも、お父さんが撮ったものです。

 かしこまった集合写真ではなく、ごく普段通りのリラックスした家族の姿が写っています。

 お店の前でパシャリ。

 海水浴を楽しむ様子をパシャリ。

 落書きしているところをパシャリ。

 何気ない日常の1枚1枚に、愛が溢れています。

 きっと、お父さんがシャッターを切った時の気持ちは、現代を生きるわたしたちがスマホで家族の写真を撮る気持ちと何ら変わらないですよね。

 本当に仲の良い一家だったんですね…。

 「だった」と過去形なのは、もう鈴木さんたちがどこにも居ないから。

 鈴木さん一家だけではありません。

 沢山の家族たちが命を奪われました。

 その苦しみは想像を絶するものがあります。

 第二次世界大戦は終わりましたが、戦争が及ぼした苦しみは終わりませんでした。

 今もなお、遺族や被爆者たちに続いています。

 もう誰にもこんな思いをさせないためにはどうしたら良いのか…、この写真絵本は改めて考える機会をくれます。

 戦争をしないこと。

 核を使わないこと。

 明日もまたみんなで笑ったり泣いたり出来るように未来を繋ぐこと。

 …ということってそんなに難しいのかな?とわたしはウクライナ侵攻のニュースを見る度に疑問を抱きます。

 多分、壊すことって作ることよりも遥かに簡単なのでしょうね。

 平和を維持するのは難しく、戦争を始めるのは簡単…なのでしょうね、権力を振りかざす人たちにとっては。

 でも、そんな身勝手のために、この写真絵本に登場する鈴木さん一家のような、ただ仲良く穏やかに暮らしていただけの家族が突然命を奪われます。

 ウクライナ関連のニュースを見ていて、散乱した家族写真らしきものが見えたので、この写真絵本をご紹介しました。

 あの写真に写っていた家族が今もこれからも無事でありますように。

 他の沢山の家族たちも。

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