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著…酒井順子『平安ガールフレンズ』

 清少納言。
 紫式部。
 藤原道綱母。
 菅原孝標女。
 和泉式部。

 これは、「彼女たちはどんな気持ちを抱いて生きていたのかな?」とイメージを膨らませるヒントとなる本です。

 清少納言についての章で、

 「『枕草子』二六二段には、紙についての記述があります。世の中に腹が立ち、生きているのが嫌になって、どこかへ行ってしまいたいと思うような時、真っ白できれいな紙と筆が手に入ればすっかり気分が晴れて、〝まぁいいか、このまましばらくは生きていられそう〟と思うのだ、と」

(著…酒井順子『平安ガールフレンズ』 単行本版P13から引用)


 と著者が紹介しているのを読んで、わたしはとても共感しました。

 何百年もの時を経てこうして後世の誰かが自分に共感するなんて、果たして清少納言本人は想像していたでしょうか。

 著者も触れている通り、紙が使い放題であるだけでなく、ネットにもいくらでも自分の考えを書きたい放題である現代人が、非常に紙が高価でやたらと使えなかった時代を生きた清少納言の気持ちを「理解」することは難しいです。

 けれど、わたしは「共感」しました。

 「辛いけれど、ちょっと良いことがあったから、しばらくはまだ生きていられそう」と思う瞬間って、多分現代人の誰にでもありますよね。

 他の女性たちの章を読んでみても、

 ●仕事を頑張る中で、どこまで自分の力を発揮して良いのか迷う
 ●容姿のコンプレックスがある
 ●夫の浮気によって嫉妬に苦しむ
 ●空想に耽り過ぎる
 ●「都合のいい女」扱いされる

 などなど、生きている時代は何百年も違うのに、現代の女性の悩みと大して変わりません。

 わたしは彼女たちの心の揺れ動くさまを想像しながら、彼女たちがもし現代に生まれていたらどう生きていただろうか? という想像もしました。

 なんだか、遠い昔に生きていた彼女たちをぐっと身近に感じられるようになりました。

 出来るものならお友達になって、語り合いたいです。

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