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著…小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』
本にも雄と雌がいる。
ページを絡めることによって子どもを生む。
だから、手に入れた覚えのない本がいつの間にか増えているのだ。
…と言う書物蒐集家・深井與次郎(ふかい よじろう)とその一族を描いた小説。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
一族のひとりひとりがとても個性的ですが、與次郎が一番ユニーク。
與次郎が孫を「この本は雄」「この本は雌」と孫を騙そうとして、ソフトカバーの本の上か下を裏からぐっと押し、まるで本の一部が膨らんでいるかのように見せかけるくだりなどが面白いです。
わざと上も下も膨らませて孫をびっくりさせようとする與次郎のセンスにもびっくり!
もしわたしがこの本の小説の登場人物なら、「もともと半陰陽で性別がない本もあるの? それと、雄の本を雌に、雌の本を雄に性転換するにはどうしたらいいの?」などと極めて答えにくい質問をしてみたいです。
與次郎なら、きっと素晴らしくとんちのきいた答えを返してくれるに違いありません。
さて、この與次郎は、本と本の間に生まれた本に、自分の名前を彫った印を押します。
生まれたばかりでじたばた動いていた本が、與次郎の蔵書印を押すとあら不思議!
大人しくなって、持ち主の言うことに従うようになります。
ちなみにこの生まれたての本の両親はジャン・ポール・サルトルの『壁・嘔吐』とミヒャエル・エンデの『はてしない物語』。
どっちが雄でどっちが雌なのでしょう?
さて、わたしは「もしや!?」と思ってこの小説『本にだって雄と雌があります』の単行本版の冒頭のページを捲ってみました…。
…ややや!
ありました!
この本そのものにも「深井與次郎」の蔵書印が押されているではありませんか…!
とすると、この小説も本と本の間に生まれた本。
どんな両親のもとに生まれたのか気になりますね。
こんな風に面白いだけでなく、切なさもある小説なので、気になった方は是非読んでみてください。
〈こういう方におすすめ〉
一風変わった小説を読みたい方。
本が好きでたまらず、家の中の蔵書数が大変なことになっている読書家。
〈読書所要時間の目安〉
2時間〜3時間くらい。
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