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著…森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

 小柄でありながらも酒豪という乙女の「彼女」と、彼女に片想いしながらもただその後ろ姿を追うばかりの「私」の純愛?物語。

 ?がついてしまうのは、「私」にストーカーテイストがちょっと入っちゃってるから。

 「彼女」の行く先々にあたかも偶然の如く現れるわりに、「彼女」に「同じクラブの先輩」としか覚えてもらえていない「私」。

 気の利いた口説き文句なんてちっとも言えなくて、「奇遇ですねえ!」としか言えない「私」。

 …哀れ、恋する男よ。

 …来たれ、恋実る日よ! 

 第一章『夜は短し歩けよ乙女』では、「彼女」は飲み屋から飲み屋をハシゴ。

 この夜初めて出逢った羽貫さんと樋口さんという飲み仲間と共に、「彼女」はこれまた見も知らぬ人々の酒宴にまで加わってお酒をグビリ!

 更には、李白さんという地獄の住人の如き謎の人物と、その夜初めて会っただけの人々の借金を賭けて、飲み比べ対決をします。

 既に尋常ならざる量の酒を飲んでいたにも関わらず、「偽電気ブラン」という魅惑の美酒をグイグイグイッと美味しく飲んで、華麗に勝利! 

 …「私」はというと、李白さんにズボンと下着を奪われ(純潔までは奪われていません)、なぜかそのズボンを樋口さんに穿かれ(下着はどこへ消えた?)、酒に弱いくせに酒を断れず酩酊して嘔吐、そしてなぜか空から降ってきた鯉によって頭を強打しノビてしまいました。 

 第二章『深海魚たち』でも、第三章『御都合主義者かく語りき』でも、第四章『魔風邪恋風邪』でも、「私」はろくな目にあっていません。

 頑張れ、「私」!

 夜は短し歩けよ乙女!

 命短し告白せよ青年!


 〈こういう方におすすめ〉
 笑える恋愛小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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