本質のテキスト

作品はフィクションです。 honshitsutext@ymail.ne.jp

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1 売り場明日リバース “覆しのテキスト” 2 墓石破壊神 “作りのテキスト”

    • 2-3 墓石破壊神 図説する創造者

      「一応こういう感じかなっていうのを書いてきたので、プリントを取っていってください。1人1枚ずつね」僕は述べたよ。 墓地づくりを担う生徒たちの集まり場は初回のときと同じく校舎2階の旧2年6組の教室、現在は2年学習室と呼ばれる部屋で、仲間たちは紙を手にしていったよ。原案が人々の手に渡っていくのを僕は確かめていたよ。力の伝わりは心地よいよね。全員か筆記試験のときのように記されを見つめる。 「すごい」そう評する者がいたよ。 「まだ全然。仮のものだから」僕は言ったよ。 理想像、

      • 2-2 墓石破壊神 複写する創造者

        整理するがお化け屋敷は墓地、病院、お化け屋敷の3エリアで構成され、客人が通過する順もこの並びとなる。僕の担当領域は墓地だよ。2年3組の教室の戸のうち2年4組の教室に近いほうがスタート。廊下から3組の教室に入るとそこは墓地エリア。脱出すると次は2組の教室、すなわち病院エリアに入る。そこを出ると、最後のお化け屋敷エリアである1組の教室に入るという仕組みだよ。 さて。僕はスクールバッグを携え、2年生の教室が並ぶ2階の美術室寄りの階段を下り、3年生の教室が並ぶ1階へと歩いていったよ

        • 2-1 墓石破壊神 構想する創造者

          【本質のテキスト2は“作りのテキスト”の「墓石破壊神」です】 クリエイター1 構想する創造者 クリエイター2 複写する創造者 クリエイター3 図説する創造者 クリエイター4 休息する創造者 クリエイター5 探索する創造者 クリエイター6 加速する創造者 クリエイター7 展開する創造者 クリエイター8 派遣する創造者 クリエイター9 演習する創造者 クリエイター10 総合する創造者 クリエイター11 再生する創造者 クリエイター1 構想する創造者 最初に決めなければならな

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          1-8 売り場明日リバース 単数と複数の限界

          要塞の抜け道のように汚れた階段を休憩室に向かうために上るんだよ。いくつかの面で組み立てられるこの店舗の1階が食品売り場、2階が日用品売り場、3階が客の入ることがない聖域なんだな。大学生でない僕にはもう一緒に休みに行くような友達はいないのだ。 僕は自動販売機のメロンソーダが放出されるボタンを押したよ。紙コップに氷の粒が流れ落ちるのに併せて、毒のような鮮やかな緑色の液が勢いよく発散されるんだ、店は奇跡の集合体であるよね。僕はパイプ椅子に座るんだよ。外は鳩たちの観察に適したさわや

          1-8 売り場明日リバース 単数と複数の限界

          1-7 売り場明日リバース 安定と動揺の視界

          「地震?」バックヤードでおばさんが発言したよ。 地上が揺れている。 「お酒見てこないと」飲み物の支配者は慌てているよ。 「お酒?」僕は言うよ。 「上に置いてあるやつが倒れちゃうから」飲み物の支配者は答えるのだったよ。 「上に置いてある?」僕は彼の言っている意味がわからないのだったよ。 「支えないと。地震のときいつも押さえてるんだよ」 彼が早歩きで売り場に向かうので僕も追跡し、お酒のコーナーに到着するのだったよ。僕たちの背より高い什器には落ちたら粉々に砕け散りそう

          1-7 売り場明日リバース 安定と動揺の視界

          1-6 売り場明日リバース 混沌と秩序の魔界

          代わりに僕たちの売り場にやってきた新しい主任は、これまでの主任と同じ程度の年齢にも見えるけど体つきはやや細く背丈は少し低く眼鏡をかけている男で、殺人事件のテレビドラマなら犯人役でも被害者役でもありえそうな普通の容貌である。 「学生?」主任は僕に尋ねたよ。 「今月までは学生なんですけど、4年生で卒業したので、もう学生じゃなくなるんですよね」僕は説明したよ。 「じゃあまだいるんだ」 「そうですね」 「よろしくね」主任は言ったよ。 新年度の始まりだよ。出勤の日、店に着い

          1-6 売り場明日リバース 混沌と秩序の魔界

          1-5 売り場明日リバース 強者と弱者の各界

          大学の卒業式があとひと月もしないうちにあるみたいだよ。きっと大切な儀式なんだよね。僕は、僕自身は行かなくてもいいと思っているよ。開始時刻が朝早いからね。 催しはキャンパスから半日歩いて着ける巨大な建物で開かれ、そこなら僕たちの学年全員である1600人くらいを収容できる。卒業できないのは80人くらいなのかな。 僕が卒業できそうなのは良かったよ。この前の教育実習も無事に終わったしね。僕は一時期大学の卒業を危ぶまれていた。なにしろ1年生後半に受けた講義の数は0。あの頃の僕が通っ

          1-5 売り場明日リバース 強者と弱者の各界

          1-4 売り場明日リバース 少年と少女の外界

          土曜日に僕はディスカウントスーパーに戻るんだよ。僕の勤務は週4回なのだが今日は1週間の最後の日、土曜日なのに最初の出勤。なぜなら行っているからだよ! 教育実習に。行かなくてはいけないからなのである。そのために平日の労働を休んでいたのだ。 教育実習とは、大学生が学校教員の資格を得るために、学校教員の職場である学校に見習いとして正式に邪魔しに突入する行為のことだよ。僕たちが大学を卒業するために必ず遂行しないといけないのである。 教育実習は場合によっては安全な時間で場合によって

          1-4 売り場明日リバース 少年と少女の外界

          1-3 売り場明日リバース 分散と集中の内界

          「おはようございます」昼に僕はすれ違う従業員らにこの国の言語で挨拶をするんだよ。 「おはようございます」ほかの者も僕にそう言うんだ。 働き手の始業時刻が朝、昼、夕、夜と多様であることから従業員同士の出会いの挨拶をおはようございますに統一している。そもそもなぜ挨拶は数種類あるのかな、そもそもなぜ挨拶はあるのかな。 「おはようございます」後輩から。 「おはようおはよう」僕から。 「おはよう」誰かから。 多くの従業員が顕現しているよ。年末なので。客に変貌した社会人たちが

          1-3 売り場明日リバース 分散と集中の内界

          1-2 売り場明日リバース 廃棄と保存の境界

          ひっくり返してしっかり見てあげないといけないんだよね。賞味期限である。店舗1階に広がるドライ食品売り場に並ぶ商品には大切な日付が刻まれていて、それを今日と比較し確かめるのが僕たち品出し係の仕事の一部というわけなのだよ。 この「賞味期限チェック」は常に行う仕事ではなくて、僕たちが猫のように暇な場合にしか実行されない。突発的に、上司である社員から賞味期限を確認してほしいと指示されて取り組む。 「こっちまだ見てないですよね」僕の後輩にあたる学生アルバイトの人物が僕に言うんだよ。

          1-2 売り場明日リバース 廃棄と保存の境界

          1-1 売り場明日リバース 継続と断絶の業界

          【本質のテキスト1は“覆しのテキスト”の「売り場明日リバース」です】 1面 継続と断絶の業界 2面 廃棄と保存の境界 3面 分散と集中の内界 4面 少年と少女の外界 5面 強者と弱者の各界 6面 混沌と秩序の魔界 7面 安定と動揺の視界 8面 単数と複数の限界 1面 継続と断絶の業界 「今年で卒業するのって誰」食品売り場の主任が僕に話しかけてきたよ。 「自分と」僕は条件に該当する人物名を列挙しようとしたよ。 「ん?」彼は疑問に感じたようだったよ。「今年卒業?」 「

          1-1 売り場明日リバース 継続と断絶の業界