見出し画像

2-2 墓石破壊神 複写する創造者

整理するがお化け屋敷は墓地、病院、お化け屋敷の3エリアで構成され、客人が通過する順もこの並びとなる。僕の担当領域は墓地だよ。2年3組の教室の戸のうち2年4組の教室に近いほうがスタート。廊下から3組の教室に入るとそこは墓地エリア。脱出すると次は2組の教室、すなわち病院エリアに入る。そこを出ると、最後のお化け屋敷エリアである1組の教室に入るという仕組みだよ。

さて。僕はスクールバッグを携え、2年生の教室が並ぶ2階の美術室寄りの階段を下り、3年生の教室が並ぶ1階へと歩いていったよ。生徒たちの話し声が聞こえる。図書室の外、大学受験対策の分厚い本を収める棚の隣に設置された複写機へ向かう。僕はノートから切り取ったページを原稿台の上に置き、バッグから水色の財布を取り出したよ。

時々鳴る機械が3枚目のコピーを僕に提供するとき、図書室からは僕の知っている2人組の女子生徒が黙ったまま出てきたよ。彼女らは僕を見つけ、僕が記した墓地づくりの案を目にしたよ。

「カバー閉じたほうがいいんじゃない」1人が話しかけてきたよ。

「コピー何枚するの」もう1人が質問したよ。

「30枚くらいかな」僕は答えたよ。「墓の人に配るから」

「自分のお金でやってるの」1人が不快を表すように言ったよ。

「うん」コピーのためには硬貨を投入せねばならない。

「先生に頼みなよ」彼女は言う。

「そうか」僕は言ったよ。

「みんなで協力してやりましょ」

彼女らは教室を装飾する工夫について自説を述べ始めたよ。

「机とか椅子っていっぱい使うんでしょう、迷路みたいに」女子の1人はそう話したよ。

「暗幕が要るよね。そうすればちゃんと仕切れるから」もう1人の女子はそう話したよ。

「暗幕……」僕はリーダー着任後初めて受け取ったその単語を繰り返したよ。「それは、天井の近くから垂らすっていうこと?」

「え、わかんない」彼女は応じるんだよ。「やっぱりわかんない」

教室に戻った僕は紙を挟んだクリアファイルだけを携え3階へ歩いて行ったよ。この階の端の物理室に隣接した物理準備室に2年3組学級担任の教師が身を潜めているはず。椅子に座る彼女を戸の窓から見つけたよ。1人の生徒と話している。時間がかかるかな。僕は身体と視線を左に動かし物理室のほうに入ってみたよ。幕の全てが開ききっていて、日の光が部屋に満ちている。閉めると暗いのかな。物理準備室から客人の生徒が帰っていったようだったよ。

「これのコピーをお願いしても大丈夫ですか」物理準備室に入った僕は見慣れた彼女に依頼したよ。

「何枚印刷すればいいの?」痩せた高校教員が紙を受け取り僕に尋ねたよ。

「印刷する枚数ですか」僕は反応したよ。

紙の数は人の数と同じ。でも墓チームに集まった人数が何人なのか正確にわかっていない。集まった男女が弱そうだという性質についてはわかっている。

「31枚くらいでいいですかね」僕は言ったよ。

「31枚ね」

先生は僕の頼みを承諾し、僕は自らが手書きしたものが複写された紙の重なりを手に入れたよ。分厚い。持つと、学校の先生になったみたい。

【本質のテキスト2「墓石破壊神 クリエイター3」に続きます】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?