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2-1 墓石破壊神 構想する創造者

【本質のテキスト2は“作りのテキスト”の「墓石破壊神」です】

クリエイター1 構想する創造者
クリエイター2 複写する創造者
クリエイター3 図説する創造者
クリエイター4 休息する創造者
クリエイター5 探索する創造者
クリエイター6 加速する創造者
クリエイター7 展開する創造者
クリエイター8 派遣する創造者
クリエイター9 演習する創造者
クリエイター10 総合する創造者
クリエイター11 再生する創造者


クリエイター1 構想する創造者


最初に決めなければならないのは何を作るかについてだったが結論が出るのは早くて、墓地、病院、そしてお化け屋敷の3つに決定したよ。決めるのが難しいのは統率者を誰が引き受けるかについてだったよ。ざわめく教室の中でいくらかの者は、授業を受けていないのに授業を受けているときのように黙って椅子に座り続け、またいくらかの者は、休み時間ではないのに休み時間のように立ち話をしているよ。

「墓のリーダー、どう?」そんな中で女子生徒が僕に質問したよ。

「いいだろう!」僕は快諾したのである。

生徒たちのどよめきが起こり、多くは笑顔を見せ、やがて廊下に歩き出ていったよ。旧2年6組の教室はしばしば無人なので、こうした話し合いを用途とするのに都合がよい。これからもその当日まで話し合いは行われるんだ。

文化祭が、夏休みが明けると2日がかりで催される。1日目が会館での各クラスのステージ発表。2日目が一般公開で校内全域で模擬店活動を行う。その2日目に僕たち2年3組は「お化け屋敷」を開く。

定番の企画だよね。学校の敷地に新しい邸宅を建てるよう建設業者に依頼するのではないし、ましてや完成したその建物に化け物や怪物の類を呼び住まわせるのでもない。既存の教室の内部を意匠を凝らすことで疑似的に創り上げるんだよ。来客に偽物のお化けを会わせて怖がらせる。

隣接クラスの2年2組と合同で取り組む。効率を考慮すると結託が得策と両者が判断した結果、普通科理系2クラスの生徒、80人ほどの16〜17歳によって運営がなされることが滑らかに決まったんだ。しかも理数科クラスである2年1組の教室までも我々に使用権が譲渡されるのだという。詳しくは聞いていないのだが1組は屋外で何かするので教室が要らないんだってさ。

土地の三分割計画が成立する。3部屋それぞれに異なる趣の装飾を施し、かつ、本質を通じさせることで融合させるんだよ。たとえば動物園の場合なら、岩に猿を歩かせ、水槽に白熊を泳がせ、暗闇にコウモリを飛ばさせる、そうして一貫した雑多を集めることで整う。僕たちの創作も同じように。出された案は「墓地」「病院」「お化け屋敷」の3種類だったよ。お化け屋敷という概念はエリア全体を包括する本題であるとともにエリアの一部としても取り扱われる。

家の自室の机上でノートを開き、シャーペンを右手に持つよ。イメージするよ。机、椅子、黒板、あの平凡さを打ち消し代わりに表現しなければならないもの。僕は誰とも相談しないで紙に絵を描くよ。

【本質のテキスト2「墓石破壊神」の「クリエイター2 複写する創造者」に続きます】


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