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#166 好きなものをおなかいっぱい食べられる幸せを、大事にしたい。
「これも頼んでいいよ」
「これも高いけど、食べたければ頼んでいいよ」
「おなかいっぱいだね」
「満腹だから、眠くなってきたね」
そんな会話が、日本の一室にある狭い家―ここが私の家―で繰り広げられていた。
綺麗な家ではないし、決して豪華な家ではない。
それでも、ここにはたくさんの食べ物があって、そしてそれらはとってもおいしい。
この幸せを、生まれてから一度も味わったことがないひとが、日本の中にも、世界のどこかにも、きっといる。
食べ物を「飽きたから」という理由で捨てているひとも、きっといる。
分け合えば足りるはずなのに、人間は分け合うということをまだ覚えていない。
そして、そのための技術もない。
とれすぎてしまったきゅうりを、アフリカのスラム街に瞬時に届けられるだけの技術を、人間はまだ発明していない。
もしもどこでもドアがあったら、そういったことが容易になるだろう。
イタリアに住んでいるお友達からラザーニャをもらい、日本の私は寿司を送るといったことだってできる。
ただその前に、飢えているひとのまえに、作りすぎて余ったご飯を渡すことだってできるはずだ。
分け合えば、みんなが満たされる。
それができない子の不便な時代を生きる私達は、せめて、自分が恵まれていることに気づいて、その幸せをあたりまえのものだと思わずに、大事にしていこう。
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