見出し画像

中小零細企業に求められるマーケターの在り方について考えた

こんにちは、クロスコムの本田です。

今回は、中小零細企業に求められるマーケターの在り方について、マーケター目線でお伝えしていきます。


前々回の振り返り


前々回の記事では、中小零細企業の経営課題に対して貢献できることについてお伝えしました。特に『収益性の向上』という経営の根本的な課題がここ数年ずっと第1位というデータ(※1)もあるように、事業活動を継続する上でこの収益性の向上は最優先事項であり、マーケティングはその経営課題を解決する強力な武器でもあります。

※1 引用:一般社団法人日本能率協会調べ
日本の経営課題2022 「3年後」の課題(上位項目)の過去3年間の推移」

マーケティングの目的は、突き詰めると企業の収益性(売上)にどれだけ貢献できるか?です。この収益性向上が、マーケティングで解決できる中小零細企業の経営課題です。※当時の記事はこちら。


しかし現場では、経営者とマーケターでマーケティングの役割に対する捉え方が違うように感じます。これは、日々の活動の中で聞こえてくるマーケティングの定義がバラバラであること、また今プロジェクト支援しているマーケターの作業がマーケティングの全体像として認識している可能性が理由として挙げられると思います。


そこでマーケターの在り方についてお伝えする前に、経営者とマーケターの間で生じているマーケティングに対する役割のギャップを個人経験に基づき解説したうえで、中小零細企業に求められるマーケターの在り方を考えたいと思います。

1.経営者から見たマーケティングの役割

  マーケティングは経営活動の一部である

経営活動の構成要素

ふだん私は、toB企業様のオペレーションや戦略設計のマーケティング支援させていただくことが多いです。一方で経営者は、マーケティング活動だけではなく経営に関わる活動すべてを四六時中考えています。つまり、マーケティングは経営活動の一部であるということですね。

上図した通り、経営活動にはさまざまな構成要素で成り立っています。これらをすべて経営者が1人でやると大変ですよね。会社の規模が大きいと担当者にある程度裁量を与えられるので、経営者の負担は減ります。ですが、中小零細企業の規模ではそう言ってられません。税務財務のこと、社員の育成、営業判断など、あらゆる活動の意思決定を経営者がしなくてはならないからです。

そんな経営活動において、マーケティングは収益性の向上に貢献できます。そしてその収益性の向上は、事業活動を継続する上で1番重要な要素であり、上図でいう販路開拓・拡大に該当するわけです。マーケティングは、販路開拓・拡大を支援する活動であり、事業を支える経営そのものなんですよね。

  経営者とマーケターで、マーケティングの認識がズレている

マーケティングに対する認識のギャップ

そしてこのマーケティングなんですが、中小零細企業の経営者と会話していると、マーケティングに対する認識がズレていることをよく感じています。互いに経験も立場も異なることから起因していると考えますが、そもそも何がどのように認識ズレているのかを、ぱっと思いつく範囲で考えました。それが上図です。

特に役割については認識のギャップが大きいと感じます。経営者や担当者からヒアリングしたターゲットや商品価値においては、ターゲットの解像度が粗いもしくは具体的な利用シーン・ベネフィットが言語化できていない、などあります。

ですが何より、このターゲット・商品価値の設計が間違っていない前提でとにかく新規顧客を集めてこい(=How)というミッションを課せられるケースが多いです。そして同時に、これが経営者が考えるマーケティングの役割なんだなと実感するわけです。

マーケティングは売上づくりを目的とした概念なので、どう販路開拓するかの手段だけを考える必要はありません。あえて方程式化するなら、売上=顧客x価値x宣伝と私は答えます。

そして宣伝という手段の前に、その宣伝相手(顧客)は誰か?何(価値)を宣伝するか?を再解釈することが、根本的かつ長期的な売上改善につながります。どのネット記事でも言われていることですよね。

2.中小零細企業におけるマーケターの在り方

マーケターがすべきこと1/2
マーケターがすべきこと2/2  

では中小零細企業においてマーケターはどうあるべきかについてですが、正直山ほどあると思います。各項目の概念や手法はプロのマーケターが解説している記事や書籍にお任せしますが、正直すべて1人でやるのは相当骨が折れます。

上図は私が考える、中小零細企業へのマーケティング支援の全体像です。マーケティング施策の具体的な戦術は割愛していますが、それでもこれだけ本来は業務ボリュームが多いというのが実態です。

これらの業務を担当者と分業できればいいのですが、いかんせん予算と知見がない経営状態での支援となるので、誰かに極端に負荷をかけなければなりません。その役目がマーケターだと私は思います

また経営者とのコミュニケーションでも、そもそも言葉の定義が違っていたり(例えば価値とは、≠自社視点/=顧客視点)、意見が食い違うことも多分にあります。特にマーケティングの知見がない方が相手だと尚更ですね。

ただマーケターは結果が全てで、矢面に立って説明責任も目標達成責任も背負う立場としては、『すべては売上のために』という考えのもと、経営者の意図と逸れた提案する局面も往々にしてあると思います。※ブランド毀損に関わる提案はしませんよ。

偉そうなこと言ってますがホントに言うのは易しで、マーケターは行動と結果で証明するしかありません。私もホントに自分を追い込んで努力しなければなりません。経験と実力不足を感じていながらも、中小零細企業のマーケターは、マーケティング活動全ての責務を負い、いかに売上を伸ばせるか(=販路開拓・拡大)に一点集中することが重要だと思います。

手段ばかりに目を向けず、経営活動の一環として経営者目線でマーケティングに取り組む。これが私の考える中小零細企業におけるマーケターの在り方です。

マーケターはCMOの意識で取り組め

以上が、私が考える中小零細企業に求められるマーケターの在り方についてでした。

よく自分は、マーケターならCMOの意識で実務に取り組めと(自分に)言い聞かせています。CMOはマーケティング活動の目標責任を背負うと同時に、マーケティング戦略の立案やデータ分析まで、売上づくりに関わる仕事すべてを俯瞰しながら意思決定を求められるので、かなり高いマーケティングレベルが必要だと考えています。

私もいつか少数精鋭のCMOチームをつくり、自社メソッドに基づき企業の売上づくりに貢献することを目標にしています。中小零細企業のようにリソースがない場合は、部分支援ではなく全体を支援する総合マーケティングが求められると考えます。部分最適だけでは売上がたちませんので、その観点からマーケターはCMOの気持ちを持って支援する姿勢が重要と、私の主張をお伝えしたところで今回の記事は終わりにします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?