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マーケティングが中小零細企業の経営課題にできることを考えた

こんにちは、クロスコムの本田です。

今回はマーケティングが中小零細企業の経営課題にできることについて考えていきます("マーケターにできること"ではありません。そのテーマは、今度書きますね)。

「マーケティング」という字面だけ見ると「売上づくり」という表面的な説明で片付けられますが、実務で活用するときのマーケティングは、企業によってまた担当者によって、型が一様ではありません。

そこで、さらに上位概念の"経営"に視座を合わせた上でマーケティングを考えることで、経営課題にとってのマーケティングの価値を考えてみたい興味本位から、書けることを書いていこうと思いました。


顧客なくして経営は成り立たない


経営とは

経営の意味は明確に定義されていないようですが、本投稿では「事業目的を達成するために、意思決定と実行を継続的に行う活動」と定義します。つまり「企業が事業を通じて実現したい社会を創るために行う活動」と意味づけできますが、その事業目的達成に向けた活動の先には、必ず顧客がいるというわけです。

なので経営者は、顧客へ価値を届けることで事業目的を達成すると言い換えることができますが、事業目的を達成する上で難しいのがこの「顧客へ価値を届ける」です。これなくして売上は成り立たず、人材雇用も資金計画も財務税務あらゆる活動は成り立ちません。

経営に必要な組織活動

■顧客へ直接的に関わる活動
・販路開拓、販路拡大
・商品開発、商品改善
・海外展開

■顧客へ間接的に関わる活動
・ミッション/ビジョン/バリューの設計
・人材雇用、人材育成
・財務、税務処理
・資金計画、資金繰り
・ITツール導入
・組織制度、基盤づくり

 など

大まかにカテゴリ分けしましたが、経営活動における分野はこれらが挙げられると思います。先述した通り、経営は顧客へ価値を届けることで事業目的を達成するものですので、顧客へ直接的に関わる活動と間接的に関わる活動の2軸で組織活動を分けました

判断基準としては、直接的に関わる活動では顧客へ価値を届ける活動に着目して、間接的に関わる活動は継続的に価値を届ける活動を支えるモノとして選別しています。

これだけ幅広く経営活動があるので、経営者としてもそれぞれ課題や取り組み方に思うところはあるでしょうし、その種類も程度も、企業の数だけあるのではないでしょうか。

経営者はいつも悩んでいる

そんな経営課題を解決し継続的に活動するために、経営者は四六時中あらゆる課題に向き合っています。そして、顧客、社員、家族、あらゆるステークホルダーとの未来を守るために、毎日頭を悩ましながら事業成長に本気で取り組んでいます。

そして、企業の外から見た人間が言うのは易しですが、経営者は想像以上に悩んでいると思います。恥ずかしくて相談できないことや、立場的に弱みを見せなくない考えもあるでしょうから、目先の経営課題を解決しても次から次へと経営者の悩みは出てくることでしょう。私も同じくです。

それでは、今回のテーマである中小零細企業が抱える経営課題について、次章で深堀りしてみます。

中小零細企業が抱える経営課題

引用:一般社団法人日本能率協会調べ
日本の経営課題2022 (2022年度第5回)」

「収益性向上」の経営課題は変わらず1位

一般社団法人日本能率協会(以下、JMA)の経営課題に関する調査を見ると、上図の通り「収益性の向上」が直近3年間変わらずで第1位です。

予想通りの結果というか、やはりこれだけ社会に有益な情報やサービスがあっても、企業の収益課題は依然深刻だと改めて実感します。特に昨今では、マーケティング会社も個人のマーケターも増えており、プラットフォームを活用すれば容易に接触できる時代になっています(品質はバラバラ)。

収益性があって初めて、他の組織活動が生まれる

上図を見ると、他にも『人材育成』や『デジタル技術の活用』、『働きがいの向上』のような組織活動も経営課題として捉えられています。これらは、事業の目的達成に向けた継続的な活動基盤として必要であることは、理解できるかと思います。

しかし先述した通り、活動基盤づくりをすべて事業目的達成のためです。そして目的を達成するには資金がどうしても必要になります。その資金を補填できるのはやはり、手元のポケットマネーではなく事業収益です。つまり事業収益が増えないと他の組織活動は必要ないと言い切れると考えます

事業の売上がたった1万円なのに、社員を雇えますか?目先1年の売れ行きの見通しがつかないのに、働きがいの向上に時間を割きますか?どの組織活動も、事業収益が基盤にあってはじめて成り立ちます。つまり収益性の向上は、あらゆる経営活動の根本的な課題の解決策と言えそうです

マーケティングができること

では、経営活動の根本的な課題「収益性の向上」を解決するために、マーケティングができることをいくつか書いていきます。ここでは中小零細企業の支援というケースを想定して、企業がすでに商品を持っている前提で進めます。

■マーケティングが収益性向上に対してできること
・新しい商品価値、市場機会の創造
・ブランド形成
・販売活動の自動化(効率化)

新しい商品価値、市場機会の創造

個人的に一番強く主張したい内容です。普段マーケティングに関する情報に触れているとマーケティングは「集客」「コミュニケーション」の意味合いが強い傾向にある気がしています。つまりこれは、商品価値と顧客設定がすでにある前提で、いかに商品を購入してもらうか?という手段に意識が向きがちということです。

はっきり言いますが、これは誤った解釈です。そもそもマーケティングは「顧客に購入してもらう仕組みをつくること」です。購入してもらうというコトバには、手段だけではなく「誰に(市場機会)何を(商品価値」の意味も含まれています。

冒頭でもお伝えした通り、経営とは顧客に価値を届けることで事業もくてきを達成するものです。マーケティングはその「顧客に価値を届ける」ところから設計をしなければなりません。なぜなら「誰に何を」を間違えると、いくら手段を改良しても売れないからです。

経営コンサルのサービスを探している人にそのままサービスを案内しても、果たして購入してくれるのでしょうか?なぜあなたのサービスが選ばれるでしょうか?価格競争は避けたいですよね?であれば値引きせずに買ってくれる理由はどう作ればいいでしょうか?

コミュニケーションだけを変えても、商品価値が変わらなければ買ってもらえないでしょう。つまり、顧客に価値を届けるためには、すでに取り決めている商品価値(WHAT)と顧客設定(WHO)を見直さなければなりません

あなたのサービスを買いたくなる市場はどこか?どんな商品価値を伝えれば、数ある競合からあなたのサービスが一番に選ばれるか?このWHOとWHATを考えるところから支援するのも、マーケティングの仕事です。

ブランド形成

次はブランド形成です。ブランディングというコトバを一度は聞いたことがあるかと思いますが、ブランディングはマーケティング活動に内包している概念だと私は考えています。

ブランドとは『顧客の頭の中に思い浮かぶイメージ』のことです。このブランドを作る活動のことをブランディングと呼び、マーケティングはこのブランディング活動も内包しているのですが、企業は容易にこのブランド形成をコントロールすることができません。なぜならブランドの主語が顧客であるからです。

そして、日ごろから顧客理解を深め価値を届けているマーケターは、このブランド形成も戦略的に実施・管理しなければなりません。顧客のイメージを意図的にコントロールするよう取り組むので、ネット検索で出てくるようなヒントやフレームワークだけでは到底できませんが、これもマーケターの仕事になります。

ブランドは、商品の機能性だけで差別化が容易ではない今の時代において、企業が選ばれる理由であり、また周りの人々とのつながりを生む強力な資産になり得ます。企業のブランド形成もできると、副次的に採用活動にも貢献できそうです。


※詳細は、以下投稿の見出し「機能的価値では差がつけられない時代に」で説明しています。よろしければぜひ。


販売体制の自動化(効率化)

最近特に強く思うようになった内容です。中小零細企業においては、事業基盤の強化に課題感を持っている状況下で、新しい人材を雇用することは難しいのではないでしょうか?では、今いる人材を育成して販売力を強化できるかというと、そう簡単にはいかないかと考えています。

2022年度の中小企業庁の調べによると、「デジタル化を推進できる人材がいない」ことに課題をもつ中小企業はおよそ37%前後というデータがあります。社内に人材がいないからこそ、デジタルの力を活用してマーケティング活動の業務を自動化する。これが時間と労力の削減という業務効率化につながり、企業コストの削減になると考えています。

中小企業庁調べ 2022年版 中小企業白書(HTML版)
第2節 中小企業におけるデジタル化とデータ利活用 「デジタル化に取り組む際の課題」

そこで私が中小零細企業に提案できることが、CRMツールの導入です。CRMは顧客関係管理(Customer Relationship Management)のことで、広告システムとの連携やメール配信の自動化、商談管理といった、商品購入までの導線全体をツール1つで管理することができます。

それだけではありません。CRMツール1つで管理できるということは、顧客に関するあらゆる情報をデータとしてフル活用できるということです。交流会参加や広告運用など、あらゆる集客施策で商談化した顧客と契約に至るまで、すべてのアクティビティをツール内に履歴として残すことができます。

CRMツールが中小零細企業にどんなメリットがあるのか、書くと長くなるのでいずれ解説したいと思いますが(PRではありません)、CRMツールが販売活動の自動化(効率化)の側面だけではなく、顧客データを活用して継続的な収益性向上につなげる打ち手の精度を高める超有力な武器になることを信じています。そしてそのCRMツールを活用するのも、マーケターの仕事です

マーケティングの力で根本的な経営課題を解決したい

2,000文字程度で納めようとしてたんですが、結果4,500文字近くの投稿になってしまいました。。以上が、マーケティングが中小零細企業の経営活動にできることでした。さらにインプット増やすと、より具体的に掛けそうなので、時間をおいて考え直してみたいです。

あらためて経営課題を振り返ると「収益性の向上」という経営課題の本質に対して、マーケティングはただ手段(How)をどう改善するかじゃなくて、顧客設定(Who)と商品価値(What)の再解釈から支援しないと、と強く感じました。

特に、中小零細企業のように大企業ほど社員が多くない企業においては、少ないリソースで大きな成果を出すために、いかに社員1人1人の生産性を上げられるか、という効率化の視点でも力になれると感じた次第です。

では、今回はここで終わりにします。最後までお付き合いありがとうございました!

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