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西洋菓子店 プティ・フール/千早 茜
主人公の亜樹さんを取り巻く登場人物が魅力的である。
中でも、菓子職人の祖父、「じいちゃん」はいわゆる「粋な男」でズバズバと本質を突く言葉が心地よい。
『女ってさ欲望に正直なんだよ。欲しいもの、手に入れたいものを目で追っちまうし、感情が顔に出やすい。人を喜ばせるものを作りたかったら若い女の反応を見たらいいんだ。女を昂奮させない菓子は菓子じゃねえ』
じいちゃんの亜樹さん評は手厳しく本質を突いていて
PERFECT DAYS/役所広司
人生は変化である。
変わらない日常に見えるが、日々変化している。本人が望む、望まないに関わらず、周囲の環境や時間の経過と共に、変化が生ずる。
同僚の色恋沙汰に巻き込まれる。
行きつけの居酒屋がお客さんで溢れていて、いつもの席でいつもの雰囲気が楽しめない。
姪っ子の家出による同居生活。
同僚の急な退職により、残業を強いられる。
いつもの場所にいつものホームレスがいない。
変わっていくからこそ、変
すばらしき世界/役所広司
我々が生きているこの世界は「すばらしき世界」なのか。
みんなガマンして生きている。
背負うものがあるからこそ生きていける。
他者との関わり方について考えさせられる。
変えられるのは自分自身、他者を変えることはできない。
レールからはみだした者に対する視線、生きづらさ。
前の妻との電話でのやりとりのシーンが良い。
娘と食事、べっぴんさん
生きる糧はすぐ側にある。
他者と関わらずには
何もかも憂鬱な夜に/中村文則
「アメーバとお前を繋ぐ何億年の線」
「現在というのは、どんな過去にも勝る。」
「お前の命というのは、本当は、お前とは別のものだから。」
恩師である施設長の言葉、主人公の僕の言葉に感銘を受けた。
自分自身の人生を俯瞰して見る、過去からの大きな流れの中で捉えることで、救われる人がいる。
昨今、「親ガチャ」という言葉に象徴されるように、自分の生まれ育った環境に諦観する風潮がある中で、そんな環境