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PERFECT DAYS/役所広司

人生は変化である。 変わらない日常に見えるが、日々変化している。本人が望む、望まないに関わらず、周囲の環境や時間の経過と共に、変化が生ずる。 同僚の色恋沙汰に巻き込まれる。 行きつけの居酒屋がお客さんで溢れていて、いつもの席でいつもの雰囲気が楽しめない。 姪っ子の家出による同居生活。 同僚の急な退職により、残業を強いられる。 いつもの場所にいつものホームレスがいない。 変わっていくからこそ、変わらないものの大切さにも気づくことができる。 劇中だと、カセットテープの音楽や

    • すばらしき世界/役所広司

      我々が生きているこの世界は「すばらしき世界」なのか。 みんなガマンして生きている。 背負うものがあるからこそ生きていける。 他者との関わり方について考えさせられる。 変えられるのは自分自身、他者を変えることはできない。 レールからはみだした者に対する視線、生きづらさ。 前の妻との電話でのやりとりのシーンが良い。 娘と食事、べっぴんさん 生きる糧はすぐ側にある。 他者と関わらずには生きていけない。

      • アナログ/二宮和也 波留

        タイトルの「アナログ」に作り手の想いが集約されている。 1人1台のスマホが当たり前でラインやSNSで他者と簡単につながることができるこの時代に、「毎週木曜日に、同じ場所で会う」約束を交わす。 連絡を簡単に取ることができないため、お互いに行き違いや思い違いも生ずる。 「会えない時間が愛育てるのさ」よろしく哀愁。まさにそんな感じだろう。 もちろん、直接会って、言葉を交わして、お互いの思い入れのある場所を訪ねる、などの「二人の時間」は素晴らしいものであろう。 しかしながら

        • 正欲/新垣結衣、磯村勇斗

          衝撃を受けた。 新垣結衣さん、磯村勇斗さんの「目」の演技に心を奪われた。 死んだ目、なにかを諦めたような表情。 社会の多数派ではない価値観を持つ人達だからこそ、人一倍感じるであろう思い。 誰かと思いを共有したい。自分のことを理解してほしい。同じ価値感を持った人とつながりたい。分かり合えるもの同士の絆。 この作品は映画と小説ではそれぞれ異なる良さがある。 小説を読んで感じたこと。 ・「多様性」「個性」「みんな違ってみんないい」、と良識派のつもりでいた自分に、「それ

        PERFECT DAYS/役所広司

          何もかも憂鬱な夜に/中村文則

          「アメーバとお前を繋ぐ何億年の線」 「現在というのは、どんな過去にも勝る。」 「お前の命というのは、本当は、お前とは別のものだから。」 恩師である施設長の言葉、主人公の僕の言葉に感銘を受けた。 自分自身の人生を俯瞰して見る、過去からの大きな流れの中で捉えることで、救われる人がいる。 昨今、「親ガチャ」という言葉に象徴されるように、自分の生まれ育った環境に諦観する風潮がある中で、そんな環境に置かれても生きる希望を見出す言葉が心に沁みた。 最後に希望で終わってよかった

          何もかも憂鬱な夜に/中村文則