「聲の形」に教えられたもの

ガキ大将だった石田将也は
小学生のときの心痛む行いにより、
人の顔をまともに見られなくなった。
彼が見るクラスメイトの顔には
×マークがついていて顔がわからない。
彼は周囲の噂などに敏感で
いつも俯いて歩いている。

石田が小学生だった頃、
クラスに耳の聞こえない女の子、
西宮硝子が転入してきた。
彼女はノートを持参して筆談を求める。
石田はそんな彼女をからかい、
補聴器を奪っては投げ捨てて笑った。
筆談ノートを池に放り込んだ。

西宮が転校していき石田は気がつく。
俺はなんてことをしたのだろうと。
石田だっていじめっ子から
ノートを池に放り込まれたことがあった。
日和って彼らの仲間になったのだ。
情けない自分が情けないことをした。
後悔は日に日に大きくなっていく。

いつかまた会ったら謝ろう。
高校生の石田は手話を学んでいた。
すると石田は偶然、西宮と出会わした。
逃げる西宮、追いかける石田。
西宮は石田の優しい気持ちに気付く。
「好き」と言ったのに「月」と
石田には聞こえてしまった。

西宮は花火の夜に自殺を図る。
マンションから飛び降りたのだ。
石田が必死で西宮の手を握って救う。
西宮の代わりに石田が墜落した。
石田は西宮の気持ちがわかった。
石田も自殺しようとしたことがあったから。
青春時代は悔恨の日々であると言ってもいい。

石田は突然目覚めて元通りになった。
苦しんでいた西宮は解放され、
石田と西宮は和解し、わかり合えた。
仲間たちとも心が通じ合うことができた。
ようやく石田は心の痛みから解放され、
クラスメイトの顔を見ることができた。
×マークが外れて落ちていった。

京アニの名作、「聲の形」。
監督・吉田尚子、脚本・吉田玲子。
“The Shape of Voice”の英題で
世界中でこの映画は公開された。
西宮硝子がとても可愛くいじらしい。
石田は強がっていてもとてもナイーブ。
二人の声のいらない心の通じ合いが、
ボクらに大事なものを教えてくれる。