初オペラは「ラ・ボエーム」_2016年11月20日
■「人生が変わる」と直感した、オペラとの出会い
「自分が観たオペラやクラシック演奏会の感想文を、noteのマガジンにまとめてみよう」
2022年の10月10日にこう思いついてから、勝手に毎日投稿を続けています。
これまでフェイスブックなどのSNSに書き散らしてきた感想文をこつこつ遡ったり、新しく行った演奏会の感想文をつづる時間は、個人的なアルバムを作る感覚で楽しいもの。そして、懐かしさに胸が締め付けられたり、感謝が溢れたり、わくわくと心躍ったりする時間です。
毎日投稿を始めてそろそろ1か月が経とうという今日、
「一番最初に投稿した感想文は何だったろう?」
と気になって遡ること1時間。
6年前のちょうど今ごろ投稿した、「ラ・ボエーム」の写真が見つかりました。クラシック音楽もオペラも、周囲の影響で子どもの頃から聴いてきたものの、思えばオペラが明確に好きになったのは同じ2016年の8月21日。まったく興味と愛情の持てない、かつインタビュイー(著者)から30万円のセミナー料金をとられたゴーストライター仕事で忙殺されていた午後、何かの拍子にyoutubeで表示された「ラ・ボエーム」の1シーンを見た瞬間でした。
「あ、私、オペラを好きになりそう。そして、オペラを好きになることで人生が変わりそうだ」
そう直感し、すぐ手帳に書き込んだので日付けを記憶しているのです。
とはいえ、どこでオペラを見られるのかさえ分からずに、ネットで検索したり人に教えてもらったりしていました。手探りで情報を集めていくうちに興味がどんどん膨らみ、3か月後にはシーズンが幕を開けた新国立劇場の客席に座っていました。
■細胞がひとつひとつ、浄化された日
「オペラ『ラ・ボエーム』を観ました」から始まる短い投稿には、「音楽の美しい力で、細胞がひとつひとつ、浄化された気がします」と書かれていました。そして、この気持ちは今日も変わりません。
■人との出会いと死別
オペラに出会い直した2016年の夏から今日まで、オペラやクラシック音楽を通していろいろな人に出会いました。
「ただ好き」という想いだけで聴き、アカデミックな聴き方よりも視覚的な聴き方をする私を
「それも面白い」
「そのままでいい」
「人の数だけ自由な聴き方、楽しみ方があっていい」
と肯定しともに楽しんでくれたのは彼らで、さらに自分の感想を通して知識を周囲に分け与え、感性を養ってくれたのもまた彼らでした。そして、私の小説を読んでくれている人たちと、友達でした。
聴き方を咎めたりマウントを取ってきたのは、音楽とも小説とも関係ないところで私を知って、実際には会ったことがない、あるいは大昔に数回会った程度の人だけだったのです。
ただ、これは私が巡り合わせの運に恵まれただけのことで、世には色々な考えの人がいます。もちろん、それでいいのです。
相手が新参者であっても考えや感性を否定せず、自分と違うタイプの人や音楽との出会いを鷹揚に楽しみ、それでいて膨大な知識と経験から話してくれる。時にジョークなんかも飛ばしながら。
こんなふうに接してくれた人たちとの出会いを、SNSの投稿を遡りながら思い出し、しみじみ感謝していました。そして、入院からわずか数日で天に召されたUさんも、このような楽しい方であったと。ようやく事実を受け止めることができた気がします。
神様、アリア(ありが)とう!
そして、私と出会ってくださり、長文をお読みくださって、ありがとうございます。
私の人生には音楽と小説があって救われました。