マガジンのカバー画像

ほけきよ俳句

133
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

俳句 噴水に感情移入して号泣

俳句 噴水に感情移入して号泣



噴水に感情移入して号泣
真夜中やソファ就寝蚊事ほっかむり
玉の汗舐めてなかなかやるな俺
春の川みな直線を引きたがる
一塊の流動体として花見

俳句 菜の花やニューヨークへ行きたいのか

俳句 菜の花やニューヨークへ行きたいのか



菜の花やニューヨークへ行きたいのか
春の夜に標識多き道なのね
梨の花だつて挨拶されたから
昼蛙道に植木鉢植木鉢
結婚をしないできない春炬燵

俳句 犬ふぐり気象予報士の娘ぞ

俳句 犬ふぐり気象予報士の娘ぞ



犬ふぐり気象予報士の娘ぞ
春駒や最近怒らなくなった
猫の恋なんでも出来立てに限る
最後まで見る価値は何残る雪
地元ではぶいぶい言わせ春の泥

俳句 磯巾着えらく批判的ですねえ

俳句 磯巾着えらく批判的ですねえ



二軍の人は二軍のままに春惜しむ
遠足の電車に寝ているおじさん
磯巾着えらく批判的ですねえ
選択肢みな正解の春の雨
別々の入口出口春休

俳句 残雪や家賃六万五千円

俳句 残雪や家賃六万五千円



残雪や家賃六万五千円
春休サドルの高さ合はせをり
春の海髪を伸ばしている途中
プロペラの回り始めて長閑なり
食べられるもの少なくなり春の星

俳句 巣燕や一人ネパール人陽気

俳句 巣燕や一人ネパール人陽気



巣燕や一人ネパール人陽気
マネキンと同じ店員濃山吹
春浅し整つてゐる鼻の穴
最終電車過ぎし線路に春の月
春光や地に着く足と着かぬ足

俳句 立春突撃人を見下すための靴

俳句 立春突撃人を見下すための靴



立春突撃人を見下すための靴
食パン一斤抱えし帰路や春の風
格好良いゴリラやバレンタインの日
春の風邪積み木○△◻︎
この街はたまに風船飛んでゆく

俳句 飲み残しはこちらにお捨てください春

俳句 飲み残しはこちらにお捨てください春



飲み残しはこちらにお捨てください春
春眠のカーステレオや缶の空
新しき看板娘水温む
春疾風カレーうどんの小さき染み
紙のなき啓蟄の公衆便所

俳句 コンビニにマニュアルのあり年新た

俳句 コンビニにマニュアルのあり年新た



コンビニにマニュアルのあり年新た
大丈夫?野遊大丈夫ですか
獅子舞のずがりずがりと迫りくる
助手席に乗り成人の日の晴着
新年会目標話す時ふふふ

俳句 太陽を動力にして亀の鳴く

俳句 太陽を動力にして亀の鳴く



太陽を動力にして亀の鳴く
春めきて示し合わせたような色
恋猫や説明口調となるデート
人々を足早にする春の雨
父の日や面影の無き家族写真

俳句 立飲みの客の孤独やチューリップ

俳句 立飲みの客の孤独やチューリップ



立飲みの客の孤独やチューリップ
春更けて自分だけ派手なシャツ
剥がすことなき貼り紙やこどもの日
母の日だぞと父からの電話くる
剃刀の刃の冷たさや梅雨に入る

俳句 惰眠貪り黴の一部と化していく

俳句 惰眠貪り黴の一部と化していく



惰眠貪り黴の一部と化していく
紫陽花や食器を運ぶだけの夫
蟇煙の多き喫茶店
更衣お母さんだけ別の服
虹消えて人影の無き歩道橋

俳句 新妻のすぐ泣き止みて冷奴

俳句 新妻のすぐ泣き止みて冷奴



新妻のすぐ泣き止みて冷奴
青蜥蜴尾の短さや手に火傷
六月の階段いつも濡れてをり
六月の太陽いつも暇つぶし
噴水と呼ばれし水の溜まりをり

俳句 炎昼の匂ひに粘度ありにけり

俳句 炎昼の匂ひに粘度ありにけり



炎昼の匂ひに粘度ありにけり
バス停に不揃いな椅子夏木立
人はもう水に戻れぬ梅雨出水
必達の生産計画金魚玉
A定食頼む一団秋祭