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#3 学校のためにお引越しは当たり前?〜オーストラリアの学校現場から〜

こんにちは。オーストラリアでアシスタントティチャーとして働く2児の母ホジコです。

#2でいい学校って何だろう?という話を書きました。オーストラリアでは各学校ごとに驚く程に特色があり、子供をどこの学校に通わせるかというトピックスは常にみんなの関心事です。

エリアによって異なる教育の質


オーストラリアに来てびっくりしたことの一つが、エリア(当地ではサバーブと呼ぶ)による雰囲気、治安、住む人の違いです。
日本でも住むエリアによって子育て世帯が多い、ちょっと治安悪いなどの違いがあると思いますが、こちらはその10倍は違いがあると思います。

エリアをざっくりと説明すると
アッパーエリア
治安が良く、洗練されている人々が多い。物価も高い。
川沿いやリバー沿いエリア。大きなプールつき1軒家。

ミドルエリア
一般的な家庭。子育て世帯、ダブルインカムの家族が多い。
近郊新興住宅街で1軒家。

ローワーアリア
治安が悪く家宅侵入、自動車盗難などが頻繁に起こる。
駅周辺、ショッピングセンターなど明らかに雰囲気が良くない。

エリアによっては特定の人種が多くその国の雰囲気が漂っていたりもします。※実際にはもっと細かく分類できると思うのですがあくまで参考程度に。

そして、
家賃と治安に比例するように、明らかに学校の質が異なってくるのです。

良い雰囲気の学校にはやはり家庭環境が良いお子さんが多く通っています。良い先生も集まります。親子さんの協力体制もあります。活き活きと明るい学校です。
私は荒れている学校で働いたことはないのですが、同僚の先生たちから聞く話では、荒れている学校には、親からネグレクトを受けていてお腹を空かせている子がいたり、悪い言葉や態度を示す子がいる。親が子供をピックアップに来ないこともある。授業をする前段階のことに時間と手間がかかりすぎると言っていました。

そのため、
オーストラリアでは良い学校を目指して、みんなお引越しをするのです。
当然人気の学校があるエリアは家賃相場も高くなりますが、それでも入居希望者が殺到するといった次第です。

我が家も息子が産まれた頃から、便利だった市内から郊外への引越しを検討し、新しく土地と家を購入しました。便利なロケーションに住んでいただけに、私には「なぜわざわざ?」という気持ちと、息子がまだ赤ちゃんだったのでこんな大変な時に「なぜ今お引越し?」という気持ちが強かったのですが、今はその時の決断に納得と感謝をしています。

実際に私の息子のクラスに転校して来た子は、前の学校でいじめられていたようで、時に裂かれた制服で帰ってきたり、学校におもちゃの銃を持ってきたクラスメートに脅かされたりしたそうです。6歳児なのに。。。

多民族国家のオーストラリアならではの事情としては、
どんな人種の家族によって構成されているかによって、学校の雰囲気や内容が違うというのもあります。
世界60ヶ国以上の国と地域から来る生徒で構成されているような学校は、とてもマルチカルチャーな雰囲気ですし、それぞれの文化や言語を尊重することが徹底されています。みんな違って当たり前、みんなそれぞれいい所があるというのが小さい頃から肌で学んでいくことができるでしょう。

私が住むエリアは少し田舎なので地元の人が圧倒的に多く、優しいオージーに囲まれながらの生活になりますが、私の息子も娘もクラスで唯一のアジア人です。お弁当におにぎりを持っていきたくないなどのマイナートラブルもありました。

加熱する学校争奪戦


そんなオーストラリアの学校事情。
公立小学校の場合には、その学校の学区内に住んでいることが入学の条件となるので前述の通り、「引越し」=「いい学校に入る」になる訳ですが、
私立学校の場合には「人よりも早く入学願書を書く」が条件となってきます。

どういうことかと言うと、
私立学校の場合、入学を希望する生徒のリストがあり、リストの上の人から順番に入学が確約されるからです。定員に達した場合には入学できなくなってしまうので、人より早く行動した人が勝ちという訳です。
教育熱心なアジア人などが集まるエリアでは、子供を妊娠した時点で私立の学校へ名前を入れるなんていう話も聞きます。

私の息子はまだ小学校1年生ですが、既に私立のハイスクール(中高)に名前を入れて席を確保している家族が本当にたくさんいます。肌感覚ではクラスの3分の1程度です。
小学校は公立だけれどもハイスクールから私立を検討する家族が非常に多いのを実感します。

というのも、オーストラリアではハイスクールの入学試験がなく、学区内であれば基本的にはどこの学校へも進学することができるため、大学進学率が高いのか、就職率が高いかなどをみんな気にかけているのです。
加えてハイスクールとなると喫煙、飲酒、ドラッグといった問題が出てくるため、私立学校を希望する人も増えてくる傾向があります。

いずれにしても、
それぞれの子供に個性があるように、学校にも個性があるので、
自分の子供に合った学校を探す
というのはオーストラリアではとても大事なことなのです。

余談

オーストラリアではホームスクーリングもとても一般的です。
不登校の子が一定期間自宅で勉強したり過ごしたりするものですが、日本よりもより歓迎されているような印象があります。
特に、長い期間ホームスクーリングをする子よりも、1年間などと期間を決めて家で過ごすことを選択する子が多いのも特徴です。
不登校だと親子さんへの負担がのしかかるので、私だったらやりたくないと思ってしまうのが本音ですが、こちらの親子さんは受け入れてしっかりと子供と向き合う期間と捉えている方が多い気がします。

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