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夢でも良かった

目が覚めたら、好きな人が横にいる。

夢なのか、現実なのか。

意識がはっきりとしないまま、彼のあたたかさに誘われて、もう一度目を閉じた。


もはや浮気じゃん…!みたいな内容が含まれます
苦手な方はそっと見なかったことにして
温かいお茶を飲む時間に充ててください…!


好きな人と飲みに行った日。

絶対に聞こうと思っていた質問があった。

''今までで忘れられない人っていますか?''

彼は
''良い意味で出会って良かった人はもちろんたくさんいるよ''と教えてくれた。
職場の憧れの人を数名。

こういう時に、すらすらと人の名前を挙げられる人がわたしは大好きだ。

そして、悪い意味で忘れられない人がいることも教えてくれた。

昔付き合っていた人。
具体的なことは書かないけれど、聞いていてゾッとするような話だった。

''疲れちゃったんだよね〜''
と少し悲しそうな顔をする彼。

もうそんなことが2度と起こらないでほしいな。
どうか穏やかに。

彼は、両親のことも話してくれた。
1番尊敬しているのは両親だと。

胸を張ってそう言えるのがすごい。
わたしは、''尊敬している''なんて言えるほど、両親のことをわかっていないな〜と少しだけ反省した。

仕事の話、彼の家の人(恋人)の話、家族の話、、何をそんなに話したのか、気がつけば数時間経っていた。


その後、カラオケに行くことに。
2人とも歌うのが好きなので、行きたいよね〜と前から話していてやっと実現した。

本来、好きな人の前で歌うのは恥ずかしいけれど、お酒に酔っていたおかげで恥ずかしさも吹き飛んでいた。

''聴いていて気持ちいい''
彼の褒め言葉が嬉しい。

彼もカラオケが好きなだけあり、歌が上手で、心地よかった。

スーパーで買ってきたお酒を空にする頃には、だいぶ酔っ払っていて、何故そうなったのかはわからないけれど、わたしは彼の膝を枕にして眠っていた。(相手は大先輩だぞ、、わたし、、)

彼はどうするでもなく、ただわたしを膝に乗せてくれていた。
その安心感に甘えてしまったのかもしれない。

そのまましばらくその状態が続き、次に気がつく頃にはカラオケを出る時間だった。


飲みすぎてほとんど記憶がない。
反対方向に帰るはずの彼が家まで送ってくれることになっていて、一緒に電車に乗った。

電車の中でもわたしは眠気に勝てず、彼の肩を借りて眠ってしまった。
頭に重みを感じて目を覚ますと、彼がわたしに頭を寄せて眠っている。

わずかな記憶の中で、車窓に映る自分たちの姿はよく覚えている。


なんとか家まで帰り着いたわたしたち。
彼は床で、わたしはベッドで寝た。

しばらくして、床で寝ていた彼が''寒い''と言うのでベッドで一緒に寝た。

(我が家、築40年ほどの木造アパートなので、冷える時はとことん冷える、、)

時々、彼がわたしに身を寄せたり、わたしも彼の腕や胸を枕にしたりしたけれど
何があるわけでもなく、ただ眠っただけだった。

初めての感覚。
好きな人と付き合う前に寝るという経験は、何度か経験してしまっているわたし。(もれなくそのパターンは上手くいかないのよね、、)

ただ、今までの経験では無かった感覚だった。
ドキドキして眠れない、落ち着かない、ということが全くない。
触れたい、触れられたいとも思わない。

ただただ、安心する。

なんなのだろう、この感覚は。

(もちろん、この関係でそれ以上の行為なんてあってはならないよ…!)


彼が美容院に行く予定があったので、それまでゴロゴロして過ごした。

''コンビニ行く?''

''行きますか〜''

家からすぐのコンビニで、お昼ご飯を調達。

ベッドに座ってご飯を食べて、またゴロゴロ。
この時も、ドキドキしたり、相手が何を考えているのかなんて気にしたりすることはなく
ただ安心しているわたしがいた。

彼の腕の内側がすべすべしていたので、さすったら''くすぐったいんだけど(笑)''と払い除けられた。

職場ではこんなこと絶対に出来ないから、なんだか嬉しくなった。


美容院に行く前にシャワーを浴びた彼は、上裸にジーパンで出てきた。
その時はさすがに一瞬動揺、、(え、職場の後輩にそんな姿見せちゃっていいんですか…!という気持ち)

でも、その一瞬の動揺も、またすぐに安心に変わる。

普段あまり腕を出さないし、オーバーサイズの服を着ていることが多い彼。
思ったより細い体が新鮮で、
''細いですね〜''とペタペタ腕を触ったりした。

''何してるの。楽しい?(笑)''
彼はわたしのことを子どもを見るような目で見ていた。

何時間一緒にいたのだろう。
一緒にいる間、ずっと安心していたな。

彼は、ずっと前から憧れの存在で、恋愛感情を抱いているのは確かなのに
不安にならないのが不思議で仕方ない。


彼が帰ってからも、わたしはしばらく眠り続けていて、気がつくと日が暮れていた。

''お邪魔しちゃってごめんね''と彼からの連絡。

''めっちゃ寝てました!''
と返して、そこからしばらくLINEを続けた。


出勤が被った日。

他に人がいない隙を狙って、お互いにその日の話をした。

''4曲くらいしか記憶ないんですよね''
''5時間くらいいたのに嘘でしょ(笑)割と最後の方までしっかり歌ってたよ(笑)''

''しばらく禁酒だね''
''ですね〜次2人で飲み行く日まで禁酒します''

全く気まずくないのも不思議。
この時初めて、彼が何を考えているのか少しだけ気になった。


それから変わったことは連絡頻度。
今まで、飲み会の後にお礼のLINEを送る程度だったものが、毎日LINEをするようになった。

''今日も暇で疲れました''
なんて、彼からも連絡が来る。

でも教訓は忘れないで。
LINEで愛は測れないんだから。

駆け引きも意味がない。

LINEで人の心は動かせないのよ…!


彼には、冷戦状態とはいえ恋人がいる。
この状況は良いものとは言えない。

でも。

''この年齢にもなったら、良い人に彼女がいない訳ないんだから!''

そうだよね。誰が放っておくか。

都合が良すぎるかもしれないけれど、友達の言葉を胸に、この恋を進めようとしているわたしがいる。

この人になら傷つけられても良い、その覚悟が出来てしまったから。


夢でも良かった。
そう思えるくらい胸がいっぱいになる出来事だった。

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