『彼岸と此岸』 -意味不明で怖い小説②-
そよ風に吹かれ、草花が触れ合う音。とうとうと静かに流れる水のせせらぎ。
その心地よさにたまらず目を覚まして起き上がると、あたりにはこの世のものとは思えない美しい景色が広がっていた。
「ここは……」
左右に顔を動かすと地の果てまで花畑が続いていた。人もちらほら見える。なぜかぼんやりと生気のないように佇んでいた。視線を前に向けると、右から左へ川が流れていた。水の澄んだ綺麗な川だった。
どこか見覚えのある場所。自分で見たことはないけれども、なぜか知っている場所。それがどこであるか