安心が欲しくて
人間だもの、心安らかでありたい。でも人間だから、不安も常に心を支配する。不安が少なくて、安心がある方がいい、なんとなくそう思うけれど、不安がなければ安心を感じることもない。
不安が心を襲ってくるとき、心は安らぎを求めてなにかに手を伸ばす。癒してくれる何か、安心させてくれる何か、空いた穴を満たしてくれる何かに。
安心したくて、恋人を求めて、安心したくて、ものを買って、安心したくて、仕事を辞められなくて、安心したくて、実家を出れなくて、安心したくて、保険に入って。でも、その求めた『何か』は、本当の不安の原因じゃなかったり。それは、いつまでも手に入れたつもりになっていた安心で、本当の安心なんて手に入れてなかった。もっと大きな不安の原因を作っていただけ。
安心したい、そう思ったときこそ、何かを求めない。何かを増やさない。何かを増やすことよりも、不安の原因になる感情や事実を減らしていく。捨てていく。
本当に何も無くなったとき、それは本当はそもそも不安を感じることでさえなかったことに気づく。守っていた何かが無くなっても、私たちは生きていける。人は順応するいきもの。何かを足すことで安心したつもりになるよりも、手離し難かった何かを手離すことで、不安の原因を減らしていく。きっとそれが安心への近道。
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