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”ビスポーク”シャツが”都会暮らし”の”働き盛り(30代)”にとって最高の選択だった

実は先日、人生で初めてシャツをビスポークで制作してもらってきました。

自分は、決してファッションに詳しい方ではありません。

今までは下着や靴以外に衣服への投資をほぼしてこなかったので、まず「ビスポーク」という体験の新鮮さが凄かった。

ただそれ以上に「これは今後人生に継続的に取り入れていきたい体験」と感じたので、熱の冷めやらぬうちにその概要と所感とをまとめておきます。

ビスポークとは?

まず、わたし同様「ビスポークってそもそも何!?」という人にむけて簡単に説明を。

”ビスポーク”とは、わかりやすく言うと、”既製”ではなく、”パターンオーダー”でもなく、”フルオーダー”の服や靴、あるいはそれらを制作する工程を指します。

ビスポークという名の語源はbe spoken、つまり顧客と作り手が対面で話しながら(be spoken)進めていくことです。

ビスポークでは、顧客ごとに採寸をおこなって型紙から起こして仕立て上げるという非常に手間暇のかかる工程を経て服や靴を作り上げます。

ですから、各工程において顧客と作り手が密に話し合いを行うことが求められるのですね。

参考程度にファッションプレスの定義も引用しておきます。

ビスポークとは「注文の~」という意味。 ”bespeake”あるいは”been spoken for”から派生したと言われており、顧客がテーラーと「話をしながら」注文を受けていくことからそう呼ばれるようになったと言われている。話をしつつ服を仕立てていくことに由来していると言われる。 ビスポーク・テーラーで注文服店をさす。また、ビスポーク・テーラーを略して「ビスポーク」と表現されるケースもある。また、靴では、足の形に合わせて注文を受けるケースで、ビスポークシューズと言う。 「ready made」が意味する「既製の」の対語となる。

参考:ビスポーク_Bespoke 意味・用語解説 – ファッションプレス

(ファッションについては知識も乏しい初心者なので、もし認識誤りなどがあったら有識者の方はご指摘頂けると幸いです)

「scylt – dress shirts brand」でのビスポーク体験

さて、今回わたしがビスポークのシャツを依頼するにあたってお世話になったブランドは、scylt

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画像:scylt – dress shirts brandより引用

「not for anyone but for the someone
not anytime but one time」
「一枚でサマになるシャツ」
コンテンポラリーで、ラグジュアリーなシャツスタイリングを提案するデザイナーズブランド:scylt

参考:ABOUT _ scylt

ビスポークを依頼するものとして一般的なのは”スーツ”や”靴”ですが、今回わたしが希望したのは”シャツ”。

もう少し言うと、夫とおそろいの、1枚でさらっと着られるシャツが欲しかったのです。

なので、そもそも製作者を探すのに苦労しました。

というのも、”シャツ”は元来肌着として機能してきた歴史があるもので、男性の仕事着(ジャケットの内側に着るもの)としてでないビスポークの工房は多くないのです。

その中でscyltでは「一枚でサマになるシャツ」というテーマを掲げていらっしゃったので、わたしにとっては大変魅力的に思えました。

そして素敵な口コミも発見。

本当に「一枚でサマになるシャツ」だ。
ドレススタイルでシャツ一枚になった時のシャツの感じとは違う、サマになるシャツ。
イタリア系のシャツにもう飽きた、てな人は作ってみると良い。仮縫い付きで30,000円代(2018年12月時点)という価格だけみても、セレショで3万の既製を買う経験よりよっぽど面白い体験ができる。


参考:No.179 scylt シルト ビスポークシャツ _ シャツと休む

「これやりたい!」

ということで、公式サイトの問い合わせフォームからscyltのブランドオーナーである渡辺さんにコンタクトをとり、オーダーを依頼しました。

オーダーからシャツ受け取りまでの流れ(2021年7月時点)

メールでのやりとりに始まり、渡辺さんと対面で相談しながらの制作でした。

受け取り時含め、お会いしたのは合計4回です。

1回目:顔合わせ、採寸

渋谷にある事務所をご案内いただいて、夫と二人で伺いました。

渡辺さんによる注文の経緯や動機、使用用途、好みなどについての細かなヒアリングがあり、その後シャツの細部や素材についての希望を具体的に詰めていきます。

次回仮縫い完成時までの大体のスケジュールを確認して、その日は帰りました。

2回目:仮縫い完成時①

2週間ほどで仮縫いが完成。

メールでご連絡頂き、事務所に伺って、仮縫いのシャツにそでを通します。

夫のはこの時点でぴったり。

所感で詳述しますが、美しさが際立つ仕立てでシンプルに感動しました。

わたしのシャツに関しては、背中からヒップラインにかけて修正が必要とのこと。(自分でも自覚ありの身体的特徴でした)

仮縫いでは、このような大き目な修正や齟齬を埋めて頂きます。

3回目:仮縫い完成時②

前回の訪問から1週間後にあらためて伺い、仮縫いのシャツを改めて確認しました。

試行錯誤頂いた末、デザインにも変遷があり、まさにドレスのような仕立てに。

細かい過程については、公式でも詳しく書いて頂けています!

公式:レディスシャツ・パターンについて – scylt

(※製作者である渡辺さんのブログですが、このブログ、情報の充実度が凄いのでぜひ一度ご覧いただきたいです…)

さて、この日は仮縫い完成ということで、内金のみ収めて終了。

4回目:受け取り

さて、待ちに待った受け取りは、仮縫い完成時から1ヶ月と1週間ほど経った後でした。

事務所へ伺い、完成品を試着してその素晴らしさに圧倒される我々夫婦。

こちらも所感で詳しく書きますが、仮縫い時に感じたデザインの美しさに、生地のマジさが加わって無敵でした。

再三お礼を言って商品を受け取り、代金をお支払いします。

気に入りすぎてそのまま着て帰りました…。

所感

冒頭で少し予防線を張ったように、エリンはファッションに詳しい方ではありません。

なので専門用語を用いての評価は避けますが…端的に、「一生着たい」

先述の通り、シャツとはそれ一枚で着るものというよりも元来は肌着であり、ジャケット等の下に着るものでした。

今回はこうしたバックグラウンドにもめげず、scyltのコンセプト通り完全な”ドレスシャツ”をお願いしたのですが…

自分で頼んでおきながら…「シャツってこんなにきれいなものなん!?」と思いました。

仮縫いの時点でデザインには感動しましたが、仕上がりを見たときの光沢と陰影の美しさには、正直圧倒されました。

ビスポークの魅力

さて、もう少し一般的な話をようやく展開します。

今回体験してみて、わたしなりに感じたビスポークの魅力は次の4つでした。

魅力1.モノが良い

まず言うまでもないことですが、ビスポークでは制作物の品質を相談ベースで調整することが可能です。

なのでシンプルに品質が良いモノが手に入るんですね。

今回のシャツでいうと、まず”素材”。

シャツが手元に来て一番驚いたのが、生地がこれまで自分が購入してきたものとは比べ物にならないほど良い、ということでした。(主に比較対象は大量生産型のメンズシャツ)。

渡辺さんの勧めで、シャツに最適な生地(Thomas mason 120/2 portland 120)選択が出来たこともあり、ビスポーク品は目を見張る光沢と陰影部分にまで立体的に際立つ美しさ。

更に、手縫いによってしか実現しえない複雑な縫製、既存品ではお目に掛かれない白蝶貝の極厚ボタン等々、枚挙にいとまがないほど明らかにドレスシャツとしての”デザイン”性も素晴らしすぎました。

これらは明らかに、ビスポークを依頼した職人さんの技術力がベースとなり、さらに工程ごとで行われる採寸やヒアリングによって到達点が明確になるものでしょう。

だからこそ、依頼先を厳選することや、採寸やヒアリングに顧客自身が積極的であることは求められると思います。

魅力2.自分の身体とファッションとが密接に関連付けられる

もう一つのビスポークの利点は、ビスポークを通して制作物を制作するだけでなく、自分自身の身体についても詳しくなれるということだと感じました。

たとえば、今回わたしは、初回の採寸を通して自分の首がかなり”細い”ということを知りました。

これまで購入してきた既存のシャツで、襟がどうしてもダボついたり隙間が大きく空いてしまった原因を、ここで初めて知ったのです。

勿論身体のサイズは自分で測れる部分もありますが、そもそもどこがどうであるというような客観的な評価がないかぎり、採寸してみようとも思いません。

既製服を着て似合わなかったとて、「まぁこんなもんかな」と思ってしまうものではないでしょうか。

また、仮縫いの時点では、自分の尻が想定以上に大きいことも分かりました。(どんまい…)

改めて身体に沿って作られた仮縫い品を身にまといながら行ってもらう微調整は、このような自分の身体の特性を知るのに最適です。

制作物を仕上げて貰っている副産物として、自分の身体特性について詳しくなり、それによって自身の身体が身近になるといった体験…

これは、今回のようなビスポークだけではなく、今後既製品であっても服を選ぶときの参考になりますし、筋トレや身体作りの指標の一つになる大きな成果物だったと思います。

魅力3.モノとの一期一会の出会い

ビスポークという用語は、先述の通り”be spoken”、つまり製作者と顧客が密に話し合いを重ねることを通して制作物を制作する、という過程から派生しています。

そこで交わされる会話では、もちろん顧客の基本的な要素や身体の特性など、情報に類されるものも重要。

ただ、それ以上にわたしが有価値だと感じたのは、顧客×モノ×製作者の間で紡がれる”ストーリー”でした。

たとえば今回scylt(お話したのは渡辺さん)では、「なぜご夫婦でシャツを作ろうと思われたのですか?」というところに始まり、二人の関係性や好み、普段の関心事に至るまでを、絶妙にヒアリングなのか雑談なのかわからないラインで色々お話してくれました。

制作物ももちろん大切なのですが、それを作ることを通して自分自身が衣服や装いに対して抱いている概念が言語化されて、自分でも「あぁ、そうだったのか…」と思わされるような体験。

ビスポークでは”制作物のために話をする”というよりも、”制作物を作るように人とモノ、人同士の関係を創り上げていく”、といった側面がとても魅力的に思えたのです。

もちろん、scylt個別の特色として、ヒアリングをことさら丁寧にしていただける、というのはあるでしょう。

他のビスポークでも同様の過程を辿れるかどうかは、まさにそこで仕事をされている「人」によるとは思います。

だからこそ、出会いも含めてその価値をとわたしは感じました。

魅力4.モノに対する愛着が喚起される

これは上の魅力と繋がりますが、ストーリーを帯びたモノは愛着がわきやすくなります

モノの溢れかえった現代、いまや自分で探して探せないモノの方が珍しいですよね。

良い品は時の流れとともにあとからあとから出てきて、今や人とモノとの関係性は”替えが利く”随分と希薄なものになっている…

こうした時代にあって、”長く手元に残しておきたい大切なモノ”との出会いは、もはや昔と比較にならないほど難しくなってきているのではないでしょうか。

母が大切に20年使ったコートのような存在に、わたしはこの先出逢えるだろうかとふと思います。

もちろん、この時代を揶揄する意図はなく、発展を通して失われるものがあるのは当たり前なのですが、わたし達はどこまで行ってもモノの中で生きています。

そうである以上、”モノを愛しづらくなる”というのは、ある種の”生きづらさ”にも繋がる状態だと思うのです。

ビスポークは、この点を解消してくれるものです。

わたしは、手元に来た時点で自分のシャツが既に”好き”でした。

夫が作ろうと提案してくれ、製作者である渡辺さんにコンタクトを取り、その過程で互いがどのような想いで制作に挑んだかも改めて知り、デザインを選んだり好みを話したりする中で新しく知った諸々…

そのすべてに寄り添うように出来上がった唯一無二のこのシャツが、既に好きだったのです。

長くなりましたが、こういうわけでビスポークは、モノに対する愛着を喚起してくれる機能があると思い至りました。

ビスポーク、こういう人に向いている

さて、以上の魅力をふまえて、とくにビスポークをおすすめしたい人はずばり、次の方々です。

【ファッションにこだわりの強い人】

あたりまえに、自分のわがままをかなえられるので賢い選択だと思います。

夫はこのタイプでしたが、細かく調整した末好みのものが出来上がり、既製服との違いに感動していました。

【「良いモノを身に着けたい」けれど「自分の好みがわからない」人】

ファッショニスタでない我儘さんにも向いているなと今回痛感しました。

そもそもデザインの歴史や概況に詳しくなくて、今がどういう潮流にあるのか、あるいはマナー的に何を選ぶのが正解なのかといったところも、必要な知識を適宜補いながら話してもらえるのが有難いところだと思います。

単純に「自分に似合うものを作ってください」とかでも対応してもらえるとは思います。

プロの目でデザイン決定して仕立ててもらえるという信頼感はピカイチです。

(ちなみにわたしはこのタイプでした。厄介~!)

【「必要以上に荷物を増やしたくない」ミニマリスト】

そもそも良いモノを厳選して手元に置いておきたいという願望をかなえるのに向いているビスポーク。

いざ手に入れた品に不満があるとあれもこれもと必要なものが増えてしまいますが、細かく要望を聞いてもらって作る衣服では、そういう不満がそもそも生じにくいものだと思います。

気に入ったものを長く使うことで、モノの扱い方も洗練されてくるのも有意義な点。

これが”都会暮らし”の人にビスポークが向いている、とわたしが考える理由です。

無限にスペースのある生活環境ではないからこその賢い選択になると思います。

【”形から入る”タイプの働き盛り】

制作したものを仕事着として作る場合とくにですが、「ちゃんとしたものを着てモチベーションを上げたい」という”形から入る”働き盛りにはとても良い効果をもたらすなと感じました。

形(衣服などの概観)を整えることで、中身(それを身に着ける自分自身)も見合うものになろうと思える、というのは、”形から入る”ことの美点ですよね。

実際身に着けてみて、そういう精神的な支えだけでなく、やはり見栄えも着心地も既製服と違いすぎますし、端的に、家を出る前の姿見チェックで気分がアガります。

そしてこれは年齢を重ねてくると一層顕著なことかもしれませんが、”仕事着を整える”ことは”仕事相手や同僚に対する敬意の表明”にも繋がるのではないかとわたしは思うのです。

結論:ビスポーク、”都会暮らし”の”働き盛り(30代)”には最高!!!

こういうわけで、ビスポークの魅力は、ファッションにこだわりのある人だけでなく、”都会暮らし”×”働き盛り(30代)”にとっては非常に有意義なものを提供してくれると思います。

目に見えるモノだけでない価値=体験が、そこにはありました。

わたしの個人的な主観もあるのでまずは試してみるのをおすすめしますが、他ではなかなか味わえない体験だったので、少し興味のある人はまず1着トライしてみてくださいね。

ここでは、お世話になったscyltのリンクを申し訳程度に貼らせてもらいます><。

個人的にはまちがいなくおすすめなので、気になった方はぜひどうぞ!↓

scylt:http://www.scylt.jp/

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