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生き物からのラブレター

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私と海のほねなし(海産無脊椎動物)たちとの出会いや体験を振り返るエッセイ。
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2022年11月の記事一覧

センチュウはあきらめた【生き物からのラブレター#32】

センチュウはあきらめた【生き物からのラブレター#32】

C. elegans (シー・エレガンス)

生物学をかじったことのある人ならば誰もが知っているだろうこの優雅なお名前の持ち主は、センチュウというわずか体長1mmほどのニョロニョロ生物である。

センチュウは線虫。まさにただの線のような地味な生き物。なぜこの生き物が有名なのか。

それはこのC. elegansが世界で初めて全ゲノム配列を解読された多細胞動物だからである。

それに加え、実験室内で

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スポンジ・ボブの設定が予想外にしっかりしている件【生き物からのラブレター#31】

スポンジ・ボブの設定が予想外にしっかりしている件【生き物からのラブレター#31】

みんな大好き!スポンジ・ボブ!

スポンジ・ボブが海綿動物という実際に海にいる生き物をモデルにしていることはご存じでしょうか?公式のホームページのスポンジ・ボブの紹介欄にも、しっかりと海綿くんと書かれています。

海綿動物と言われてもどういうこっちゃ?な人が多いと思います。しかし、海綿動物は英語でスポンジ!そう、まさにスポンジのような穴だらけの生き物なのですが、驚くことなかれ。

今皆さんが日常で

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ネコとマリモ【生き物からのラブレター#30】

ネコとマリモ【生き物からのラブレター#30】

日本で3種目のマリモの仲間が発見されたそうだ。

少し勘違いされそうだが、新種ではなく日本では初めて見つかったということ。元々は中国の河川などで知られていたものと遺伝子が一致したそうだ。

そもそもマリモって種類があったの?というか阿寒湖以外にもいるの?というのが私の最初の感想。

マリモといえば北海道の阿寒湖がとにかく有名だ。湖底に緑色の毛玉がゴロゴロ転がっている様子は不思議でちょっとおもしろい

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ヤドカリの家探しはいつだって本気。【生き物からのラブレター#29】

ヤドカリの家探しはいつだって本気。【生き物からのラブレター#29】

ヤドカリは引っ越しをする!この事実を理解している人はどのくらいいるのでしょうか?そして、実際にその引っ越しを見たことのある人はどのくらいいるのでしょうか?

ヤドカリはその名の通り、「宿借り」です。背負っている貝殻は自前のものではありません。生き物にはこちらが驚くほど精巧で丈夫な構造物を作るものがたくさんいます。その代表的なものがまさに貝殻でしょう。あの強度と美しさを兼ね備えた構造物を小さなナメク

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