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ヤドカリの家探しはいつだって本気。【生き物からのラブレター#29】

ヤドカリは引っ越しをする!この事実を理解している人はどのくらいいるのでしょうか?そして、実際にその引っ越しを見たことのある人はどのくらいいるのでしょうか?

ヤドカリはその名の通り、「宿借り」です。背負っている貝殻は自前のものではありません。生き物にはこちらが驚くほど精巧で丈夫な構造物を作るものがたくさんいます。その代表的なものがまさに貝殻でしょう。あの強度と美しさを兼ね備えた構造物を小さなナメクジのような生き物が作っているとは驚きです!

そんな素晴らしい物を利用しようと考えるのは人間だけではなかったのですね。貝殻ほど硬いものを作るのにはそれなりのコストがかかります。なので貝のなかまには貝殻を作らなくなったものなんかもいます(ウミウシ、イカタコetc)。でももう使われなくなった貝殻をリサイクルして使っちゃおう!という賢くエコな生き物がヤドカリなのです。

でもここで一つ問題になることがあります。自前で貝殻を作る貝と違って、ヤドカリは自分が成長しても貝殻まで大きくすることはできません。お家が狭くなっちゃう。そこで引っ越しの必要が出てきます。

このヤドカリの引っ越しがめちゃくちゃ面白い!

このヤドカリの引っ越しを観察するために、まずは水槽の中にさまざまな大きさの貝殻(種類は同じ)を大量に用意した貝殻パラダイスを作ります。色々な大きさを用意するというのがポイントです。

そこにヤドカリを一匹投入して観察します。すると、さっそく貝殻を物色しはじめたではありませんか!

気になる貝殻を見つけると、貝殻の入り口あたりを小さなハサミで掴んで持ちます。そして、貝殻をクルクル回してみたり、ハサミを穴のなかに突っ込んでみたり念入りにチェック!しばらくすると、ひょいっっと殻から出てきてさっそく乗り換えました!

思っていたよりもずっと早く、あっさり引っ越ししたので驚いてしまいました。それもそのはず。自然界では貝殻パラダイスなんてありえません。今の自分に合った貝殻を見つけたならば躊躇せずに乗り換えるべしなのです。タイミングを逃してはいけません。

乗り換えた後も、貝殻の中にキュッと収まってみたり、出てきてみたり感触をチェックしているようです。と思ったら、また次の貝殻を物色しています。。。え?さっき乗り換えたばっかりなのに?

最初と同じように貝殻をこねくり回して状態や大きさをチェックすると、また乗り換えました(笑)結局、わずか15分の間に3回も引っ越しをしたのです。

殻なしヤドカリを見たことがあるでしょうか?普段は貝殻の中に隠れているお腹の部分は細くて生えている脚も小さく、本当に弱々しく不安に感じます。水に濡れたネコを見た気分です。

借り物でも、ヤドカリは貝殻ありきの生き物なのです。より良い家探しへの本気度を目の当たりにして、ヤドカリがますます好きになりましたとさ!

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