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「ひまわり」(映画「東京日和」より)大貫妙子


街を歩いているときなぜか懐かしい気分になることって無いですか?幼いころのことを思い出してしまったり。

時間としては、夕方と夜の境目のころ、そういう感傷に浸ってしまうことが多い気がします。黄昏時ですね。黄昏の語源は、「誰そ?彼?」(たそ?かれ?)ですから、それも頷けます。

そして先日、黄昏時の街を歩いていて、思い出した映画があります。

それが、この「東京日和」。

写真家アラーキーの自伝的な映画でして、本人役の竹中直人氏の熱演もあって、どこか懐かしさを感じさせるような作品に仕上がっています。

この映画のムードは、どこか詩的。各場面も印象に残るし、まるで小津安二郎の映画を見ているかのよう。

その詩的なムード、感傷的なムードを印象付けているのが、主題歌の「ひまわり」。

大貫妙子さんの、しみじみとくる歌い方が、黄昏時の街並みをを想起させるんです。真夏の太陽のような「ひまわり」というタイトルの曲なのに、なぜか、黄昏時をイメージしてしまう。

そういえば、幼少期、そんな記憶があったのかもしれません。夏の終わりのころ。蝉がだんだんとその姿を消していき、夕暮れ時には鈴虫の音が聴こえてきて。あれだけ高かった空も、低い雲に模様替えをして。あれだけ青かったそらにも、どこか茜色が混じってきたように見えて。

そんな夕暮れ時。まだ残っている「ひまわり」が、静かな晩夏の風にゆれている。

そんな風景。


幼いころに見たそんな、風景を思い出してしまう素敵な作品です。


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