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「Hymn to Freedom(自由への賛歌)」 オスカー・ピーターソン

Black Lives Matterの記憶も新しいですね。近年、さまざまな問題が再燃していて、差別や人種間問題は、まだまだ燻っていることを、日本にいながらも感じます。

日本は現在のところ単一民族の国家ですし、国・国境は大海で隔てられているし、江戸時代の鎖国の影響もあり、異民族との交流は諸外国ほどには活性化していないと思います。

そんな日本にいながらも、アメリカで近年起きている問題には、心を揺り動かされます。

そんなことを思いながら、20世期アメリカの負の歴史の中にある黒人問題を考えるとき、この問題をテーマとして演奏されたジャズの名曲が頭に浮かびます。

この曲はジャズピアノの名手、オスカー・ピーターソンによって作曲されました。

オスカーはジャズのピアニストの中でも演奏技術が際立っていたといいます。いわゆるミスタッチも少なかったようです。かといって、音に感情がこもっていないわけではなく、感情を込め、ダイナミックな演奏を信条としていたようです。

そんな彼が、1962年(ケネディ暗殺の1年前)に発表したのが、『ナイトトレイン』というアルバムです。ラストに納められた「Hymn to Freedom(自由への賛歌)」という曲は、当時の人種問題への疑問を投げかけると同時に、怒りではなく優しさでこの問題と向き合っています。

この曲は通常は歌のないピアノ演奏ですが、後年、よりメッセージを伝わりやすくするためか、この曲に心を動かされた方が多かったからなのか、歌詞がつけられて演奏されています。

意訳すると、

我々のもつすべての心と心が一つになり、自由のために声を上げる時、その時こそ、我々は自由を手にすることができる
我々のもつすべての心と心が一つになり、人としての尊厳のために声を上げる時、我々は自由を手にすることができる
いつ何時でも、我々が尊厳を持って生きるときが必ずくる
その時こそ、我々が自由になる時だ
我々全員がハーモニーを奏るとき、そのときが我々が自由になった時なのだ

この曲は1962年の曲。2020年の現代でもこの差別問題は収まってはいません。Black Lives Matterという言葉が生まれないような社会は訪れるのでしょうか。

そのための一つはこういった曲があることを忘れず、演奏し、聞いていくことなのかもしれません。

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