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レインボーというバンドがいた。あの熱狂はDifficult to Cure 〜 ハードロックシーンを辿る旅番外編。

レインボーというバンドがいる。

その名の通り「虹」を意味するバンド名。

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70年代、古典的ハードロックに代わってニューウェーブ旋風が吹き荒れる英国にて誕生し、80年代、ヘヴィメタル・ハードロックが米国でムーブメントになる頃に解散。

ハードロックという音楽ジャンルが下火になっていた時代を支えたバンドと言える。

ニューウェーブがどちらかというと現実社会のリアルや恋愛を歌に込めていたのに対して、レインボーは、あくまでも様式美を貫いていたという特色もある。

今回は、この時代の狭間に咲いた傑作バンドについて語っていこうと思う。

リッチー・ブラックモアというギタリストがいる。

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ディープ・パープルのリーダー的存在として、数多くの名曲を残し、ロックにクラシカルな西洋音階をもちこみ、様式美という言葉にまで昇華させていった人物。

彼がディープ・パープルを脱退したところから物語は始まる。

ディープ・パープル末期。

各メンバーの音楽的個性が際立ってきて収集がつかなくなっていた印象が強い。ソウルやファンク、古き良きブルーズ、米国式70年代ロック、クラシック。リッチー脱退はこの状況に嫌気がさしたからと思われる。

しかし、この時すでに後にレインボー初代ボーカリストが在籍するエルフというバンドと接触を持っていたらしい。

その理由は、そのボーカリストの超絶的な歌唱力にあった。ロック的なシャウトも、バラードを歌い上げる様子も、演歌のような節回しも、全てが群を抜いていた。

このボーカリストを中心に据えたバンドを作るという構想が膨らんでいく。そして、このエルフというバンドのメンバーとリッチーがグループを結成することになる。レインボー誕生の瞬間である。

ロニー・ジェイムズ・ディオというボーカリストがいる。

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風貌はどこかの演歌歌手を思わせるが、やはりその歌唱力は圧倒的な破壊力を持っている。現代社会を超越するような力を持っていた。

レインボーは、様式美という世界観を持っていて、それは、マイナー調の英国的な哀愁とメロディアスなフレーズが醸し出す世界観。

彼が歌えば、その世界観はどこかリアリティをもって聞き手に届いた。歌詞を読み、ジャケットを見て、その世界観に浸りながら楽曲を聞く。

レインボーのファーストアルバムは、オールドウェイブと呼ばれていたハードロックのファンを虜にしたに違いない。


タイトルから様式美満載である。
「Man on the Silver Mountain」
(邦題:銀嶺の覇者)

「The Temple of the King」
(邦題:王様の宮殿)

「Black Sheep of the Family」
(邦題:黒い羊)


このファーストアルバム制作後、ロニー以外のエルフのメンバーを変え、リズム隊を整えることで本格的なハードロックバンドへと変容を遂げていく。

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