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「しょうゆ派」と「ソース派」×「新たなる第3者」の視点、そこからの学び。目玉焼きのある食卓をベースにして。

大人になってからの食の好みや習慣は、幼少期の食習慣に影響を受けるのでしょう。

以前、友人たちからこんなことを聞いたことがあります。彼らから聞いたエピソードは食習慣の面白さを感じさせるものでした。

例えば、(意識的に口語訳にしております)

「私はトマトが嫌いなのよね。母親が大のトマト嫌いで、食卓に全くトマトが無かったのよ。サラダにトマトが無いから思い出の中のサラダは緑一色。外で食べるときも母はトマトを食べないので、子供心に、これは美味しくないんだと思っていて。それが刷り込まれてしまったみたい。」

「セロリが大好きで、小さいときから、カットしていないそのままの葉っぱが付いたセロリを野菜スティックのような感覚でボリボリ食べていましたね。そういえば、うちの母も同じようにセロリを食べていたんですよ。一緒に食べていて楽しかった思い出があるから、そのまま自然とセロリが大好きになってしまったようですね。」

「毎シーズン、いちごを食べるんですけど、房(葉っぱの部分)は必ず外すんですよ。そうしないと何かしっくりこなくて。私がちいさいとき、房がついたままだといちごを食べなかったそうなんですよ。それで親は房を外したいちごを用意してくれて。その名残なのかもしれません。」

食習慣はおろか、いちごの房といった微細な部分にまで、育った食環境の影響をうけるんだなあと面白く話を聴いた覚えがあります。

まさに食習慣の多様性。

そして思い出したのが、自分にもそんな食習慣の思い出があったなあということ。それは、目玉焼きにかけるのはソースか?しょうゆか?論争でした。

幼少期、毎日の朝食は定番メニューが並んでいました。みそ汁(具は変わるけれど)、白いご飯(ふりかけがあったりなかったり)、納豆、ほうれん草のお浸し、そして目玉焼き。いまだに味やにおい、その場所の雰囲気まで記憶しているから両親や弟との暖かい思い出としていつまでも残っていくのでしょう。

この定番メニューの中で、ほうれん草のお浸しや納豆には「しょうゆ」をかけていたのですが、目玉焼きには「ソース」をかけていました。

幼少期故、何の疑問もなく、それは家庭の味として染みついていっていました。家庭の簡単な決まりごとの様に刷り込まれていたのかもしれません。

これには「しょうゆ」。
これには「ソース」。

そんな習慣が出来上がっていきました。

その習慣に疑問が沸き起こる出来事がありました。それは学校給食の場において。

給食は毎日メニューが変わりそれは子供にとってはとても新鮮で、お昼の給食は毎日の娯楽にすらなっていました。

ある日、それが起きました。

目玉焼きが給食のおかずとしてトレイの上に置かれています。そしてその脇にはパックに入れられ、小分けされた「しょうゆ」がありました。

「ソース」はどこだろう。

いつのころからか、周囲の目を考え、KYにならないよう配慮をして言葉を紡ぎだす癖がついてしまっていますが、その時は遠慮も何もない小学1年生。ストレートに疑問を呈したのでした。

「あれ?目玉焼きって「ソース」をかけるんじゃないんだっけ?」

その時、周囲に一種の「間」と呼ぶべきものが発生したのを覚えています。実際のところは、そのクラスにも「目玉焼きにソース派」、「目玉焼きにしょうゆ派」がおり、たまたま「しょうゆ派」が、目玉焼きにソースという新しい現象を目の当たりにしたが故に生まれた「間」だったのですが。

小学1年生の給食の風景は、ちいさな議論の場と変貌を遂げました。「しょうゆ」か「ソース」か。二つの派閥が生まれ、議論が熱気を帯び始めました。「◎◎君はしょうゆなんだー」「うちはソースだよ、ソースってコロッケにもかけるんだよー」などなど。

議論が白熱しかけたころ。新たな第3者の登場により自然と議論は収まっていきました。議論が3軸になってしまい、議論展開上の複雑さのためか?いや、単にお腹が空いたということかもしれません。

その第3者とは「目玉焼きに何もかけない派」でした。

こんな思い出の中の風景。

あれからも家庭では大学で家を出るまで、ずーっと「目玉焼きにはソース」でした。大人になった今でもそれは続いています。幼少期の家庭の食環境は、こんな風に影響を及ぼすのだという実感があります。おそらく自分の子供も「ソース派」になっていくのでしょう。

いや、それ以上に、あのとき学んでいたのかもしれません。

食習慣の多様性を。多様性には正解がないということを。

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