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不眠と激昂と退職

この話は実際に起こった事を元にしたオッサン世代に向ける、とても不愉快なお話です。氏名等は個人情報に配慮して書き換えたり、多少の脚色はしてあります。オンライン時代に起きている現場の仕事風景を感じてください。

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木曜日、売上分析の件で Backlog で何度かやり取りしていたら、顧客対応が上手い営業担当、20代後半女性の田村から

「こんなやり取りはもう面倒くさいから、Teams しましょうよ。急ですけど、このあと時間ありますか?」

俺は50代のオッサンで、このメッセージを目にしてものすごくビックリした。その時は「大変驚いた」という程度の自覚だったけど、強く動揺してたのを抑えつつ、迷いながら下手な言い訳じみた返信をしてしまっていた。その結果、

「じゃあ明日でいいですよ。私とのサシは嫌そうだから関係しそうな人を全員、予定に入れておきました。」

という返信が来て Teams は翌日になった。私を取り囲んで吊るし上げてやろうという気にでもなったのだろうか?

それはさておき、面倒くさいからと目上の人間を呼び出すという、無礼をぶっ飛ばして信じられない暴挙だと思ったけど、田村にとっては、いつ痴漢するか分からないオッサン相手なので、これでもマトモな対応をしたつもりなんだろう。

なぜか、その晩は一睡もできなかった。これは俺にとって初めての経験で、布団に入っている間、あのメッセージがグルグル頭を回りながら、これまでの仕事の経緯とか、世代ギャップや男女格差だとか、あまり関係ないであろう方向にまで暴走が広がり続けて、いろいろな考えが湧いては止まらず、気がついたら朝になっていた。

翌日の Teams は、俺の所属部署の参加者として巻き込まれた課長の佐藤や売上責任者の山本に頭を下げて、彼らを通じてキャンセルさせてもらった。二人とも 8~10歳は俺より年下である。ただ、こんな酷い寝不足の状態で Teams したら、田村にどんな暴言を投げてしまうか分からない自分が怖かった。あんな無礼な奴相手に加害者になるわけには絶対にいかない。

佐藤には事情をすべて説明したが伝わらなかったようで、Teams に出ないという俺に頭を下げさせようとしただけでなく、逆に田村達の擁護をして俺をなだ めようとしてきた。もう全然ダメだと思った。以前より薄々感じていたのだが、部下よりも社内や客の方が大事らしい。今は部長で昔は直属の課長だった真下も同じ人種だし、うちの会社の上司は、こんな奴らばかりになってしまった。

急に問い合わせたというのに症状を聞いて、1時間後には近所の心療内科が診察時間ギリギリで受け入れてくれた。「その人、普段から普通にコミュニケーション取れない人なんじゃないの? きっと他の人ともトラブルを起こしているよ。」と先生は声をかけてくれた。その晩は処方された睡眠薬でバタンキューと眠った。48時間ぶりの暗黒の睡眠だった。

起きたら、じわーっと脳が混ぜられるような気持ちの悪さがあった。睡眠薬を使うと、朝に気持ち悪さが出ることがあると薬剤師が言っていたので、たぶんこの事なんだろう。

社内の人間じゃなく、外の人達に優しく気を遣われるなんて。

俺が年長である事を気にしないように、常に下手に出たり笑いを混ぜて対応を心掛け、慣れたトラブルが起きれば嫌な顔せず割って入り、若者が多い組織にとって少しは貢献してるはずと思って働いてきたけど、彼らにとっては社内にいて頼みやすい便利屋同然の存在なんだろうな、と悲しい納得をさせられてしまった。

土曜日はランチをしに街を歩いていて、ふと思ったのが、あの言葉に俺は激昂げっこう したんだな、と。あの時、ブッちんと頭の中で何かがキレていたらしい。確かに、脳のどこかにあるスイッチが勝手に入って思考が暴走している感じがある。左の前頭葉と後頭部上の方にボヤーっとした違和感も残っている。本当に激昂してブチぎれると自覚はできないんだ、と思った。

激昂とは激怒とはまったく違って、体を眠れなくするほどの強烈な感情なんだと知った。あの日から夜になっても眠くならない。あの言葉を見た時の記憶が薄れるまで、脳に入ってしまったスイッチが切れるまで、睡眠薬を飲んで乗り切っていくしかない。

会社は遅くても今年度中には辞める。残してる仕事はあるし、感情に任せて辞めるなんて少し恥ずかしい。幸い、老後に向けて新しくやりたい目標もある。何よりこんな連中しかいない会社で、残りの人生を無駄にはできない。

自分の仕事のことしか考えず、俺の話を聞こうともしない若者から逃げるように、奴らが一番嫌がるタイミングで辞めてやろう。

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いかがでしたでしょうか。不愉快な記事ですみませんでした。

ちょうど一年前には強烈なパワハラを受けたし、最近は急速にオジサンが働き難くなっていると思います。女性管理職に注目が行くあまり、私みたいなオジサンは露骨に出世の道を閉ざされると同時に見下され、少しの敬意も配慮もありません。平社員は平社員という平等原則もあるからです。これはもう詰んでますね。

うちの会社は一応、コンプラ研修とかありますが、実際には 20歳以上、年上の先輩にも「面倒くさいから会議しようぜ」が通用する組織らしいですし、友達感覚もここまで来ると、地雷があちこちに埋められている気がして安心して働けないです。怒った方が負け、な日本社会でもありますし。

若者に幸あれ。オジサンは君たちが来ない場所を切り開いて、これまで通りしたた かに生きていきます。でも安心してください。いてますよ。

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