2020-6-16 日記. ベンチャー企業の研究者: 人が遺せるもの 「後世への最大遺物」(内村鑑三)より

知り合いの共同研究をお手伝いしてくださった方が亡くなった. まだ若く, このような結果になったのは非常に残念で, 胸が苦しくなる.

人が遺せるものはなんだろうかと考えてしまう.

ソフトバンク創業者の孫正義さんの弟さんに孫泰蔵さんがいる. 孫泰蔵がどこかで紹介していたのが, 内村鑑三の後世への最大遺物という講演の内容だった. 

意外ななことに内村鑑三は, もっとも後世への残すべきものはお金だといった. 自分の子どもにお金を遺すのではなく, 社会に遺すことです. お金を集めることの大変さ, それは一つの大きな事業を作ること並みのものだと. 色々な問題を解決するのは最終的にはお金ではないかと彼はいうのでした.

次に事業だと彼は言います.

事業です. 事業とは, すなわち金を使うことです.

お金をうまく使う仕組みを作ることのすごさを彼は語っています.

だけれども, 事業をするためには社会的な地位だったりお金を稼ぐ天才である必要がある. そういうことができない人間には, 思想を遺すことができると言います.

彼は政治哲学者のジョン・ロックの名前を出します. ジョン・ロックは貧乏の生まれで, 貧困の中で死んでいきましたが, フランス革命に強い影響を与えた大思想家だと内村は指摘します.

もちろんジョン・ロック以前にもそういう思想を持った人はあった。しかしながらジョン・ロックはその思想を形に顕あらわして“Human Understanding”という本を書いて死んでしまった。しかし彼の思想は今日われわれのなかに働いている。ジョン・ロックは身体も弱いし、社会の位地もごく低くあったけれども、彼は実に今日のヨーロッパを支配する人となったと思います。

貧困者の武器は, 思想なのです.

また, 彼は, 思想を作れなくても思想を教えることができる学校の先生を後世に思想を遺す重要な職だと指摘しています.

最後に, お金がない, 思想もない人間ができる後世へ遺すことができるものは, 勇ましい高尚なる生涯, 生き様であると指摘するのです.

それならば最大遺物とはなんであるか。私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。これが本当の遺物ではないかと思う。

自分にできることをして, 高尚なる生き方, 思想, 事業, お金を遺すのうち一つでもできたら偉大だと内村は語った. 

いろんな生き方があるし, 何かその態度や生きた証に感じるものがあるとするならば, その人への弔いになるはず. だから葬式があるんだなと思うに至る.

この文章や, アメリカの大富豪たちの無償のスミソニアン博物館をみて, お金を社会に遺すことの大事さを思う. 

大きなお金があれば, お金は増やすことができる. お金を増やせば, もっと良いことに使える. 京セラの会長. 稲盛和夫さんは, 稲盛財団と称して, 研究を支援する財団や世界的な賞を作ってきた. また, 孫さんもそのような活動を行なっている.

また, 遺すべきものを受け取って私たちは何をすべきなのだろうか. 遺ったものを遺し続けるのも一つだろう. 

私は, 知り合いの方が遺してくださったものを遺し続けたい.


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