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大学院生活、論文の探し方、読み方編(1)

先日のnoteでは、テキスト、学術書など本の読み方を紹介してみましたが、読む分量としては本より多い、「論文」の読み方もご紹介します。特に自分のペーパーを書くにあたり、これらの既存研究を整理し、また文中で引用するということが、研究においては非常に重要でまた時間がかかる作業のため、検索からデータベースの構築、引用とレファレンス(参考文献一覧)の作成までを一連のワークフロー化することが必須です。この方法についても紹介していこうと思います。

今回も結構長くなってしまったので、数回に分けて掲載します。初回は探し方から始まるワークフローについてです。



「論文」とは

Wikipedia: 論文(ろんぶん、: paper)とは、学問の研究成果などのあるテーマについて論理的な手法で書き記した文章

Wikipedia:

ここでは、基本的には査読を通って学術誌(Journal)に掲載され、インターネットで検索が可能なものを言うことにします。インターネット以前は当然ながら印刷媒体で図書館などに収蔵されていましたが、現在ではGoogle Scholarなどの検索エンジンで膨大な論文が検索可能です。

探し方、見つけ方

基本的にはGoogle Scholarを圧倒的な頻度で使っています。ResearchRabbitのような論文の引用関係を可視化するツールもあるのですが、ワークフローの基点とすることができる点で、これからもメインだと思います。

ただ、最初は本当に情報の海で、何が何だかわからない(それこそ引用って何?)という状態だったので、ResearchRabbitによる可視化は結構役に立ちました。

これらの論文は、大学紀要など大学内のデータベースにあるものもあれば、学術誌に収録されデータベースに入っているものもあります。正規の学生になって一番変わったのが、基本的には大学側が契約しているデータベースからは無料で論文PDFがダウンロード可能ということです。

入学前の研究計画書段階では、検索してアブストラクト(概要)までは読めても、内容は有料というものが多く、自分のやりたい研究分野で影響力のある論文を多く読むことができませんでした。今は大学のアカウントを使ってデータベースにアクセスすることで、Google Scholarでヒットした論文の多くを読むことができます。(それでも一部有料でしか読めないものもあります。University of Chicagoのデータベースは金沢大からは有料で、さすが市場資本主義の総本山、ということを実感しました)

検索方法

基本はGoogleと同じキーワードを入れての検索です。そこでタイトル、著者などが出てきますので、タイトルクリックで収録されているデータベースに行くことができる、あるいはすぐPDFがダウンロードされます。

また本格的に読む前に、引用回数も出ているので、そこも重視して見ています。あくまで経済学の分野でのことですが、日本語だと被引用数できれば10以上、英語だと100以上あたりを一応目安にしています。ここでも英語という学術の公用言語の重要さがわかります。数百どころか、影響力の大きいものは7,000を越えてるものもあります。

Google Scholarでの検索結果画面

整理の仕方、ツール

探した後は読むことになるのですが、読んだ後の"引用"のことを考えるとこの段階で整理をしておかないと、後々困ったことになります。そのために自分自身のデータベースを作ることが必要になります。ここでPCを使ったツールの出番となります。

数が少なければ、エクセルの表に入れていくことでも後で検索可能なデータベースはできますが、論文引用には厳格な決まりがあり、その情報が抜けてしまった場合、再度探す必要が出たり、あるいはエクセルからワードへのコピペでは、数が多くなった場合ミスは避けられず、また時間も非常にかかります。

この検索、ダウンロード、論文の情報取得、後の自分のペーパーでの引用、文末の参考文献欄への記載、という一連の流れをサポートしてくれるのが論文管理ソフト(Citation Manager)になります。いくつかあるのですが、私はPaperpileというソフトを使っています。他にもMendeley(金沢大の図書館ではこのソフトの利用方法講習を行っています)、EndNote, Zoteroなどがあり、Rとの連携の関係でZoteroもインストールしています。使い方については以下のサイトに非常に詳しく載ってます。


現代の研究という点では当たり前のことだと思いますが、こういうワークフローとツールについてはなかなか流れの全体を解説しているものはないので、今回書いてみました。自分もネットの情報をたどりながらようやく自分なりの流れができたのですが、Citation Managerなどのツールの使い方についての情報を公開してもらってるありがたさを感じています。なので、自分の経験も少しでもどなたかの役に立てばと思っています。

次回は実際に検索から、Paperpileを使った論文のダウンロードと情報管理、読み方、そして参考文献としてペーパーを書く際に引用するやり方について書こうと思います。

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