Hiro at Kanazawa University

金沢大学人間社会環境研究科の博士後期課程在学中です。法学部→アメリカMBA→経済学博士…

Hiro at Kanazawa University

金沢大学人間社会環境研究科の博士後期課程在学中です。法学部→アメリカMBA→経済学博士後期ときて、その間の仕事も色々とあってはや50代。ただ、今となっては経済と社会のことを考える上で全部ためになった経験です。主な研究分野は交通経済、地域経済の実証、因果推論です。

マガジン

  • Common Pool Resourceとしてのインフラ学

    社会的インフラ、特にネットワーク性のあるインフラを、Ostromが理論の体系化を行ったCPR(Common Pool Resource)として考えます

最近の記事

ゲーム理論と社会、経済

もう一つの均衡分析:均衡としての協力、または紛争必ず経済学の教科書には現れるが、いまいち何がそんなに大事なのかがわからないというのが、ゲーム理論に関する自分のこれまでの感覚でした。最初に「囚人のジレンマ」を25年以上前にMBAのミクロ経済学のテキストで習った時からです。 「ナッシュ均衡」という名前にもなっている、ジョン・ナッシュがノーベル賞を受賞したり、その半生を映画化した「A Beautiful Mind」がアカデミー賞を受賞したりと、話題性もあるのですが、いかんせん、「

    • さよならサンダーバード

      今日はちょっと前職の鉄道に関する地元の状況についての雑感です。 北陸新幹線の敦賀延伸私が住んでいる福井県では、先月北陸新幹線が敦賀まで延伸開業し、しばらくお祭り騒ぎ状態でした。福井駅の新幹線駅と商業施設オープン、駅西側の再開発ビルのホテルオープンなど、東京福井間が乗り換えなく、乗車時間も3時間を切るという、ある意味地味な地域の、歴史的悲願達成ということです。 新幹線の代償:並行在来線 国鉄後の新幹線整備については、政治主導で地方部の不採算路線が建設され、東北上越の新幹線

      • Elinor Ostrom "Governing the Commons":3回目

        日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 引き続き、ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。 今回は"Governing the Commons"の第2章のまとめです。 https://amzn.asia/d/evFiP2n 公共財と私的財、クラブ財までは標準の経済学の教科書に説明されていますが、CPR(common pool resource)、共的資源の事は

        • Elinor Ostrom "Governing the Commons":2回目

          日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。2回目は第1章です。 https://amzn.asia/d/evFiP2n なぜこの本のまとめをしているのかというのは、鉄道ネットワークをはじめとする社会共通資本の性質と政策を理解、分析するために、"Common Pool Resource=C.P.R."という「私的財」でも「公共

        ゲーム理論と社会、経済

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        • Common Pool Resourceとしてのインフラ学
          5本

        記事

          Elinor Ostrom "Governing the Commons"

          日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。 https://amzn.asia/d/evFiP2n 著者Elinor Ostromとは2009年のノーベル経済学賞受賞者(女性初のノーベル経済学賞受賞者) 日本語Wiki はじめに(Preface)集団行動問題(collective action)と「共有資源」に関する研究

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          リサーチクエスチョンについて(2)

          リサーチクエスチョンに関する前回からの続きです。今回は、研究の入り口としてのリサーチクエスチョンを考えるためのツールについて書いていきます。 ツール今はほんといい時代だなー、と思うのが、以下のようなツールが一般化してきていることです。ただ、現状英語が必須というか、やはり英語で書かれた文献の蓄積に圧倒されます。自分の場合は書くのは日本語なので、英語でコンセプトや研究蓄積を頭に入れてから、関連しそうな日本語論文、文献で日本語での用語の使い方を再度確認という感じでやってます。

          リサーチクエスチョンについて(2)

          リサーチクエスチョンについて(1)

          多分すべての大学院生が最初から最後まで悩む「リサーチクエスチョン」について書いてみます。自分もこれは常に悩んでます。 「〇〇を研究する」という目標ではインプットはできてもアウトプットは無理な件勉強と研究の最大の違いは、アウトプットのやり方、目標だと思っています。研究は「論文を出す(書くだけではなくて'publish'する)」ことが最終目標です。勉強はそのための基礎作りの行為ではありますが、とりあえずのアウトプットは理解度確認としてのテストであったり単位で、また目標としては「

          リサーチクエスチョンについて(1)

          冬の角間キャンパスダンジョン

          暖冬ながら雪は積もります先週中頃は強い寒波到来で、約1ヶ月ぶりのまとまった雪が降りました。2、30年前であれば毎週これくらいの寒波は来てて、特段ニュースになるような降りかたでもなかったんですが、予報精度の向上と365日止まらない物流と社会への影響が大きくなったので、温暖化のニュースよりはたまに降る雪の方が大きな扱いになるのが恒例になってしまいました。 あと、北海道が昔の北陸化していて、雪は重いわ降り出したら止まらないわで大変なようです。 金沢大学角間キャンパスは金沢市の

          冬の角間キャンパスダンジョン

          サンクコストと取引コストに縛られた国の行方

          数少ない読者や、なぜか読んでいる皆様、あけましておめでとうございます。 元日から大学がある石川県では大きな地震災害が発生し、翌日はよく利用している羽田空港での事故と立て続けに大変なことが起こり、1月の第1週目にして既に流れる時の速さを感じてしまっている2024年です。 住んでいる場所も震度5強、経験したことがない長い揺れでした。幸い特段の被害はなく、仕事関係では今後の先行きのコスト上昇などが危惧されるんですが、能登地方の現状が徐々に報道されてくると、本当に命に関わる災害が自

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          気がつけば博士後期課程標準修了年限の半分以上経過(2)

          博士後期課程の振り返り2回目です。 カバー写真は今週訪れた中国深圳の空港。でかいけれどデザインそのものは品のいいものでした。イタリアの建築会社の基本設計がコンペで選ばれ、ドイツのエンジニアリング会社、北京の実施設計会社が形にしていくというプロジェクトだったそうです。 2023前期の続き(研究編)そんなこんなで1年を終え、大学紀要ですが短いレビュー論文を書き、単位取得プラスアルファ(研究と発表)という1年目の要件はクリアできたことになりました。 2年目の活動としては、所属

          気がつけば博士後期課程標準修了年限の半分以上経過(2)

          気がつけば博士後期課程標準修了年限の半分以上経過

          2022年の4月に入学(入院?)してから、あっという間に1年半どころか1年と7ヶ月が経過しました。簡単な大学生活の振り返りと現状の自己確認をしてみたいと思い、このノートを書いています。 2022年前期右も左もわからない状態。主任指導の先生は入学時の希望通りですが、いかんせんコロナもあって面接試験はZoom、合格後もメール以外ではZoomで一回やりとりしただけの状態で、対面授業が再開されたばかりの大学の授業が始まりました。そして2週目にまさかのコロナ感染。苦笑 ワクチンのお

          気がつけば博士後期課程標準修了年限の半分以上経過

          大学院生活、論文の探し方、読み方(2)

          前回は論文の検索方法を紹介しましたが、今回は検索後の段取り、ワークフローをご紹介します。私個人のやり方、またPaperpileというCitation Managerソフトを活用したやり方になりますので、万人向けかどうかわかりませんが、検索から実際の執筆論文への記載まで、一貫した流れができるメリットの大きさがご紹介できたらと思ってます。 Paperpileを使った検索後のワークフローPaperpileはCitation Manager, Reference Managerと呼

          大学院生活、論文の探し方、読み方(2)

          大学院生活、論文の探し方、読み方編(1)

          先日のnoteでは、テキスト、学術書など本の読み方を紹介してみましたが、読む分量としては本より多い、「論文」の読み方もご紹介します。特に自分のペーパーを書くにあたり、これらの既存研究を整理し、また文中で引用するということが、研究においては非常に重要でまた時間がかかる作業のため、検索からデータベースの構築、引用とレファレンス(参考文献一覧)の作成までを一連のワークフロー化することが必須です。この方法についても紹介していこうと思います。 今回も結構長くなってしまったので、数回に

          大学院生活、論文の探し方、読み方編(1)

          環境と自分の変化、言語の影響

          この30年間の環境変化大学を卒業して就職したのは、1992年、まだ「ワープロ専用機」が全盛だった時代で、携帯電話はでかいトランシーバーみたいなものでした。。最も変わったのはやはりコミュニケーションに使うハードウェアの技術とITテクノロジーだと思います。 さらに、幾つもの波、経済危機のたびに、コスモポリタン化が進んでます。一旦少なくなった後に、急にバラエティも含めて増える感じ。30年前、あるいは最初に転職した15年前と今の東京の違いは、行くたびに感じます。 外国の資本も多

          環境と自分の変化、言語の影響

          交通学会発表終了

          Bye bye 松山。バリバリの若手の方からコメント、サジェスチョンもらって嬉しかった。しかもお二人とも神大の経済院出身の先生。 色々と修正や追加すべき課題はあるけど、とりあえず方向性は合ってる(少なくとも明らかに間違いではない)ようなので、ヨシ。あと、伊予鉄路面の車両、3種類全部乗れた。笑

          交通学会発表終了

          初めての「学会発表」

          明日朝から、愛媛松山に向けて出発します。目的は学会での発表。昨年D1の時に日本交通学会、日本地域経済学会、地方行政実務者学会の3つの学会に所属することにしました。1年目はほぼ何も発表するものがなく、地方行政実務者学会のみ、簡単な研究報告の場をいただいたのですが、そもそも発表に値する中身がほとんどなかった上に、緊張もあって、何も覚えておらず。笑 今回は、日本交通学会の研究報告で、ようやくまともな(自分で思ってるだけ)発表を行います。この学会は8ページの予稿を事前送付、それに従

          初めての「学会発表」