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リサーチクエスチョンについて(1)

多分すべての大学院生が最初から最後まで悩む「リサーチクエスチョン」について書いてみます。自分もこれは常に悩んでます。


「〇〇を研究する」という目標ではインプットはできてもアウトプットは無理な件

勉強と研究の最大の違いは、アウトプットのやり方、目標だと思っています。研究は「論文を出す(書くだけではなくて'publish'する)」ことが最終目標です。勉強はそのための基礎作りの行為ではありますが、とりあえずのアウトプットは理解度確認としてのテストであったり単位で、また目標としては「卒業」になるんじゃないかと思います。

なので、大学院、特に研究者としてのトレーニング期間である博士後期課程では、勉強はまあ自分でやっとくものですが、ただいくら勉強しても、自然にアウトプットとして論文が出てくるなんてことは絶対にありません。それどころか、「何を勉強すればいいのか」ということも、「なにをアウトプットしたいのか」というところから考えていかないと情報の海で遭難します(←自分です)。そして、大学院は論文がないと卒業というか学位がもらえません。。。

その論文には「書くべき意味」が必要で、その意味を与えるものがリサーチクエスチョンです。すべての論文はこの「疑問」に答える形で書かれるので、疑問がなければそもそも論文になりません。そのため、学部の卒論も含めて、論文を書くためには最初にこのリサーチクエスチョンをクリアにすることが求められます。

途方に暮れる人も多いので、このような本もあります。自分も当然藁にもすがる思いで買いましたが、当然のことながら、ハウツーをいくら読んでもそれだけではやっぱり何も出てきません。

問いを「思いつく」には相当なインプットも必ず必要

では、研究の第一歩として、どうすればクリアなリサーチクエスチョンが得られるのでしょうか。知ってる人がいたら私も教えてほしいです。苦笑 ただ、とりあえずハウツーの前に、仕込み(インプット)が必要です。

自分の場合は、悩んだ結果というか、悩みながら出口が見えない「勉強」というインプットをとりあえず続けています。インプットなしの悩みは成果ゼロですが、出口がなくとも「勉強」は足りない知識を少しは補充してくれます。主に学術書、論文を読むことですが、それらも以前記事に書きました。

リサーチクエスチョンのジレンマ

勉強は出口がないと書きましたが、「知らないこと」を明らかにはしてくれます。この「知らないこと」というのがまた、知れば知るほど増えていきます。リサーチクエスチョンがあれば関連する分野に絞っていくという効率化もできるんでしょうが、そもそもそれが思いつかないから勉強しているんであって、ここで解決不可能なジレンマに陥るということにもなります。

社会人(業務経験を経ている人)の有利、不利

こういう矛盾状態の中であっても、とりあえずは書いてみる、あるいは書く前のデータ収集と分析、解析などを並行してやっては来ています。ただ、これも混沌の中でのまぐれに期待、あるいはデータ集めだしてから必要な手法の勉強を始める、というところもあり、こんなんでいいのか、という疑問が常に付きまといます。

経済学そのものについても、応用分野としてのファイナンス以外は、独学自習のようなものなので、どうしても基礎の理解という点ではいつも悩んでいます。

また、立場上誰かに頼って学生をしてられるわけでもないので、仕事にも並行して時間を使う必要があります。ここにも難しさがあります。ただ、、年の功も含めて有利だなと思う点も存在すると感じます。

不利な点

  • すべての時間勉強と研究に没頭するわけにもいかない

  • 頭も固くなってるので余計に時間がかかる

  • 体力視力集中力低下は止められるない。。。

有利な点

  • 社会の仕組みは身をもって知ってきたので、社会科学研究として使うデータがどうやってでてきたのかという、データ生成の仕組み(構造)はある程度分かる(「構造がわかる」というのは結構大事で、探す時間と理解する時間の節約になります)

  • 仕事との両立で時間はないが気分転換はできる(転換せざるを得ない)

  • 文章作成、英語とプログラミング、統計推論は仕事に役立つ(普遍的な業務スキルだと思います)

  • 研究のぼんやりとしてとらえどころのない状態のアイデアも、仕事を通して方向性が間違ってないかというチェックができる(業務経験、社会観察を通じてのテーマなので、暗闇の中の彷徨い感というか、不安感はない)

個人的対応法

そんなこんなな状態ですが、いろんなツールも使えるいい時代ですので、できるだけ不利な点を克服し、有利な点を伸ばすべく、工夫をおこなっています。

考え方

考え方としては、焦らない、万事塞翁が馬、というところでしょうか。世の中そんなにうまくいくものではない、ただ、たまに目の前がひらけることもある、というようなものと思っているので、チャンスが来た時にそれを逃さないように日々少しずつ努力する、焦らないことを心がけてます。自分の人生、自分の選択ができているだけでも相当ラッキーです。

あと、時代的にGhat GPTだけでなく、非常にいいツールが使える時代になって、かなりその恩恵を受けています。かなりまた長くなるので、このツールに関しては次の記事で書こうと思います。

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