「ケーキの切れない非行少年たち」を読みました
もやもやする。
読み終えた感想は、それだった。
私の勉強不足かもしれない。
付け焼き刃的にネットで検索してみる。
私の疑問を解決してくれる記事や、
データはすぐには見つからない。
認知機能を訓練する事で、伸ばす。
認知機能を向上させる。
それができたら、とてもいい。
その方法があるなら、とても知りたい。
知的能力に問題がなければ、
可能かもしれない。
だけど、知的障害や境界知能の場合。
認知機能を訓練で伸ばせるのだろうか?
もともと覚えるのが苦手だったりして、
一度に多くの言葉を聞き取れなかったり、
情報を見ても分かりにくかったりする。
たとえば。
私は英語が苦手だから、
英語で説明されたら、まず内容を理解できない。
(注意:英語が得意な人は、あなたが知らない言語に置き換えて、聞いてください。韓国語でも、中国語でも、シュメール語でも構いません。)
頑張って聞き取ろうとしても、最初の1〜3個目までの単語を聞き取るのに必死で、それ以降の単語を聞き漏らしてしまう。長文になったら、途中で聞くのを諦める。早口だったら、もうそれは私にとっては謎の呪文だ。
もし、ゆっくりと話してくれたとしても、聞き取れるのは、知っている単語だけ。聞き取れた単語だけで、なんとか理解しようとする。そんな限られた単語だけで、正しい内容を導き出すことは、まずムリだ。まったく違う内容になる。
知的障害や境界知能である場合、
それが母国語である、
日本語でおきているかもしれない。
そう考えると、その辛さや苦労が理解しやすいと、私は思う。毎日、わけがわからない。だけど、生きなければならない。わかっているふりをして、誤魔化してみたり。でも、分からないから、間違えて、怒られたりする。嫌な気持ちになったり、自信を失ったりする。
知的障害がなくても、得意な事と、苦手な事に差がある場合も、同じような困難さや苦労を抱えている。
そういった苦労に気づかれず、適切な教育や支援を受ける事なく、非行に走り、犯罪を犯してしまった少年達(少年、少女を含む)が登場する本書。
子ども達に必要なのは、認知機能を伸ばすことである、という著者の意見は、本当にもっともだと思う。
認知機能が低ければ、いくら矯正教育をしても、
その学習は理解できず、身につかない。
さっきの英語の例のように、まったく理解できない言語で説明されているようなもの。
知的障害があったり、境界知能の場合、認知機能を伸ばす為に学習方法を変えたとしても、その学習は身につくのだろうか。脳の機能に困難さがあるからこそ、知的障害や境界知能という状態なのではないか。
特に知的障害を持つ場合、本人の努力不足なのではなくて、頑張っていても、脳の機能がうまく働かないから、本人は困っている。
脳腫瘍などの病気や、事故などによる外傷によって、脳を損傷すると、さまざまな障害が起こる。問題となる部分を治療できれば、改善する事もあるけれど、元の状態には戻らない場合もある。
だからといって、ただただ諦めて、なにもしないよりは、なにか訓練する方法があれば、試したい。少しでも、みんなが生きやすくなる方法があれば、取り入れたい。
本来持っている能力を伸ばす機会を奪われていた場合、適切な支援や教育によって、本人の能力を伸ばす事はできる。
どんな方法があるんだろう。
本書の後半では、著者が監修している「コグトレ」という認知機能強化トレーニングが紹介されている。詳しくは、HPをご覧下さい↓。
「感情のペットボトル」という学びとか、おもしろいなと思いながら読んだ。ただ、肝心の訓練による成果や効果が書かれていない。私の理解力や読解力不足だろうか。
学習を始める前の土台を作ることが目的の認知機能強化トレーニングでもあるから、効果や成果を測りにくいのかもしれない。
訓練を行う価値があるのかどうか、わからない。
それが、読後のもやもやの理由だった。
とはいえ。
批判は、誰でもできる。
認知機能を伸ばしたい。
その願いは、みんなの願い。
完璧な方法じゃなくたって、
認知機能が向上するなら、なんでもいい。
確立された方法がないのが、現状。
それが、一番の困りごとだ。
新しいトレーニング方法を生み出してくれる人たちがいるからこそ、私達は、その方法を使えるようになる。
いろんな方法が増えていけば、知恵と経験の蓄積によって、さらに優れた方法が生まれるかもしれない。ただ批判するのではなく、そこから改良を重ねることが、大切なはず。
私も、自分の知識や技術を更新せねば。
「ケーキの切れない非行少年たち(著:宮口幸治/新潮社/2019年)」
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