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わたしにできることはなにか

(1)「わたしは黙らない〜性暴力をなくす30の視点(著:合同出版編集部/合同出版社/2021年)」

「わたしは黙らない〜性暴力をなくす30の視点」には、信田さよ子さんをはじめ、森田ゆりさんや、上間陽子さん、伊藤詩織さんに山本潤さんなど、たくさんの女性達の声がまとめられている。

読んでいて、とても心強く、私も皆さんと同じように、女性たちの力になれる女性でいたいと思った。

もし、相談したい、と思ったら。
いろんな相談先があります。

性暴力は、女性も男性も、
誰もが被害を受ける可能性がある。

性別に関係なく、誰でも相談してほしい。

警察庁の相談窓口「#8103(ハートさん)」

いきなり警察には、相談しにくい。
そんな時は、各都道府県にも相談窓口があります。

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「♯8891(はやくワンストップ)」

だけど、どれも相談しにくい気持ちも分かる。
警察も、相談機関も、相性もある。

身近に信頼できる人がいれば、
その人に相談してみる。

知っている人には話したくなかったり、知らない人の方が話せそうなら、相談機関を利用してみる。

電話して、イヤな気持ちになったら、
電話を切ってもいい。

違う時間にかけたら、
別の人が出るかもしれない。

話しやすい人に、話してみてほしいです。

「わたしは黙らない」の話に戻ります。

本書のなかで、特に印象に残った部分を以下にまとめる。

初対面のセラピストの専門ケアよりも、母親や身近な人の温かい声かけや抱擁を子どもがどれだけ待っているか。それがどれだけ大きな回復の力を発揮するか。身近な人の存在は、とても大きな力になる(森田ゆりさん)。

まず最初に必要なのは、
誰かに自分の体験を語ることのできる力と、
安全で尊重される場所を知ること。

安心・安全な場所で暮らした経験のない子は、不快感にも耐えてしまう傾向がある。言葉にしないと不快感は名づけることができない。安全で居心地の良い場所を体験することが重要(上間陽子さん)。

性暴力は犯罪であって病気ではない。性暴力を疾病化し、「治療」するという言葉は使用すべきではない。病気だからと加害者の免責性を強めてしまう点で、治療という言葉は有害だといってもいい。

しかし、「グッドライフ・モデル」という更生プログラムの報告によると、加害者にたいして「被害者の人生を根底から破壊した」という被害の深刻さを突き付けることは、再犯防止に効果がない。被害者共感は、加害者を絶望的にさせ、再犯のリスクを高めてしまう。性加害者たちが再犯防止のためのモチベーションは「よりよい人生を送りたい」という視点にある。

「それほどまでに自らの加害に直面すふことは困難なのか」と、加害者らの脆弱性を知る思いだったと、信田さよ子さん。

「声をあげる」とは、
「聞くこと、届けること、拡散すること」
(山本和奈さん)。

私も、声をあげてゆく。

この本のなかで紹介されていた森田ゆりさんの絵本「あなたが守るあなたの心・あなたのからだ」も読む。

(2)「あなたが守る あなたの心・あなたのからだ(作:森田ゆり/絵:平野恵理子/童話館出版/1997年)」

あなたのからだも気持ちも、あなたのもの。
とても大切。

こどもにも、おとなにも、
大切な3つの権利がある。

安心して生きる権利。
自信
をもって生きる権利。
自由
に生きる権利。

自由は、なんでも好き勝手なことをするという意味ではなく、「自分で選べる」こと。

選択権は、ひとりひとりにある。

誰かが、3つの権利をとりあげようとするとき。

こわい気持ちや、どうしたらいいか分からない気持ちになったら、気をつける。
それは、自分の心が出している警戒信号だから。

それは、あなたの大切な3つの権利が、
取られそうだってこと。

権利を取られそうになったら、
嫌だと言っていい。
逃げていい。
怒っていいんだよ。

あなたが悪いんじゃないよ。

もし、嫌だと言えなかったり、
大声を出して逃げられなくても、
あなたが悪いんじゃない。

権利を奪おうとする相手が悪いんだよ。

告げ口と相談のちがい。

告げ口は、誰かを困らせるために言いつけること。自分が困っていて、助けが必要な時に相談するのは、告げ口ではないよ。

誰かに話そう。

ひみつを守らなければならない?
こわい秘密は守らなくていいんだよ。
あなたがこわい気持ちや、嫌な気持ちになるひみつは、誰かに話すことは、とても大切なことだよ。

ひみつを話すのは、こわい。
信じてもらえなかったら。
怒られたら。

もし、話して、嫌な気持ちになったら。
だれか、安心できる別の人に話そう。

ちゃんと聞いてくれる人が見つかるまで、
言い続けよう。それは、とても大変で疲れることだけれど、ひみつを心の中にしまっておくと、つらくなるばかりだから、誰かに話してほしい。相談してほしい。

相談して、安心を、自信を、自由を取り戻そう。

CAPプログラムを学ぶ時に、森田さんのこの絵本を読んだ事を思い出す。とても大切なことがまとめられてる。こどもだけでなくおとなにも読んでほしい絵本です。

(3)「子どもへの性暴力は防げる!加害者治療から見えた真実(著:福井裕輝/時事通信社/2022年)」

性暴力加害者の治療法は、確立されていない。
治療者や心理士の育成も課題。

性暴力の被害者が加害者になることもある。被害者の支援と回復は、新たな加害者と被害者を生まない為にも必要だ。

身近な人が注意すること。
それは、性暴力を受けた被害者から、
無理やり何度も被害状況を聞き出そうとしない。

それは、精神的なストレスを与えるからでもあるし、何度も質問される事で、記憶が書き換えられてしまう危険性があるから。被害の聞き取りは、専門機関に任せる。

身近な大人にできること。
子どもの異変に変化に気づくこと。
子どものサインに気づくこと。

異変やサインに気づいたら、
その子のサポートをする。
相談機関に相談する。支援をつなぐ。
その子が話したいなら、話を聴く。

性教育の大切さ。
性教育は「生命(いのち)の安全教育」。

自分の体と心を知ることで、
自分や相手を大切にすることを学ぶ。
よりよい人間関係を築くことを学ぶ。

ちなみに、こどもへの性的嗜好は、必ずしも加害を意味するわけではない。加害行為を行わずに一生を終える人もいる。性的嗜好と加害は分けて考える必要がある、と書かれていた。


(4)「性暴力被害の実際 被害はどのように起き、どのように回復するのか(編著:齋藤梓・大竹裕子/金剛出版/2020年)」

今回読んだ本の中で、この本が一番私の知りたいことをまとめてくれていた。著者の齋藤梓さんは、「わたしは黙らない」でも「被害者心理から考える刑法の問題点」について書いている。

WHO世界保健機関は、性暴力は被害者を死に至らしめる重大な課題であると認めている(WHO,2010)。

性被害は、女性だけでなく、男性も受けている。

男性も、声をあげてほしい。

だけど。

声をあげること。誰かに相談すること。
それをしたくても、できない。
話したくても、話せない。

そんな被害者は、多い。
女性も、男性も。

それは、
自分と家族を守るためだったり。
言わないことで身を守るためだったりする。
話すことで家族が壊れるかもしれないから。
話すことで再被害の危険もあるから。

そして、
話しては、いけない。

そう思っていることもある。

なぜなら、自分が悪いと思わされていることがあるから。自分が悪いから、我慢しなきゃと思わされていることがあるから。辛い出来事によるストレス反応のひとつに自責感もあるから。

そんなことは、ない。
話していい。相談していい。

あなたが受けたのは、
暴力だよ。犯罪だよ。

あなたは悪くない。

自分の被害に気づく為に、
適切な情報は、重要だ。

性被害を受け、相談し、回復に取り組み、
自分の人生を取り戻しているみなさんの声。

【回復に役立ったことは、こんなこと。】
・自分の体験に名前がつくこと。
・「自分の体験は性暴力だ」と認識すること。
・PTSDのフラッシュバックがあると知ること。

自分が悪いと思っていたけれど、
そうではなくて、
・あれは被害だったんだと知ること。

起きたことに対する、認識が変わる。

性暴力は何かを知ることが、
助けを求めるきっかけになる。

自分の状態に気づく。
自分の傷つきに気づく。
自分だけじゃないんだと気づく。

【回復を助けたのは、こんなこと。】
・支えてくれる人がいる。
・自分の行動を後押ししてもらえる。
・自分の体験を話せる。
・「あなたは悪くない」と伝えてくれる。
・自分を受け止めてもらえる。
・自分を認めてもらえる。
・被害に一緒に立ち向かってくれる。
・心の支えとなる。
・普段通りに接してくれる。
・適切な対処をしてくれる。

・支えてくれる環境がある。
・安心できる場所がある。
・完全な自分でなくても許される場所がある。
・心の支えとなるものがある。
(例)ペットの猫など
・自分にとって必要な情報を得られること。

専門的な知識がなくたって、
できることが、ある。

その人の味方になること。
その人のそばにいること。

私が特にいいなと思ったのは、
完全な自分でなくても許される場所があって、
普段通りに接してくれること。

加害者がそばにいる場合、
物理的に離れることが、大事。
安全が守られない場所にいては、
回復なんか無理だ。毎日が緊急事態だから。
被害がない日だって、いつまた起こるか分からない状態で、常に警戒しなければならない。
それは、とてつもなく疲れるし、本当に負担だ。

家庭が安全になることが、最優先。

だけど、それが難しい場合。

どこかに、避難できる場所があれば。
どこかに、安心できる場所と人がいたら。
本当にほんの少し、本当に微力だけれど、
その人の力になるかもしれません。

私も、あなたも、
誰かの回復を助けることができます。

誰もが安心して、安全に暮らせる。
もし、危機が訪れても、助けを求められる。

そんな社会に住むために。

まずは、私から。安心できる人になる。

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