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詩や、遊んだ文章など

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特殊な感じで書いた文章をまとめます。暗いのもあります。
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2019年9月の記事一覧

散文詩『記憶のドラゴン』2019.9.30

サグラダファミリアは青銅色の板に閉じ込められた. 警告だ, (洗脳しよう). 錆びた鎧を着なけれ…

散文詩『ネバーランド』2019.9.30

鼻を抜ける微かな香りは白いスカートの薄い生地, 円形に舞う(淡い花の香)夜明けのむらさき咲い…

自由詩『錆び犬さん』2019.9.26

  歯車の錆     び    た  デカルトの      機械       ネジを巻かず  …

散文詩『人魚脱出』2019.9.24

潜水艦は風呂釜に潜み、(世界)。 直ちに危険は無い. 呑み慣れた塩水 黒いタイルが覗いている、…

散文詩『ハエトリグモ』2019.9.22

寂しい匂い。朝焼けを恨む必要はない、と、 ハエトリグモが言った。 朝玄関を出て、彼に感謝す…

散文詩『砂の層』2019.9.21

死んでしまう よ、と旅人は言った。 ただ、遠い町から遠い町へ、北風なんかを嗅ぎながら、 立…

散文詩『野良猫の腹』2019.9.19

野良猫の腹に触れるとき、 それは対人恐怖症の、鮫肌の脆い心臓 を握る、あの瞬間に似ている。 指に細い針金が食い込み、来るな、と 哀れな体勢、怯え威嚇し吠える声帯、 ぼくら、とは一切、いえない。 繋がらないまま癒えず、傷は艶やかと、 手当を、助けを、求めて彷徨う、飯。 気持ちがいい。撫でられるのは。 旨い食い物を寄越す汚れたうで、 その手で何度、なにを殺してきたんだ。 ぼくらとは、ぼくらとはきっと、 恐ろしい化け物。触れる程、傷付きあう、 柔い、毛の生えた腹。無防備な、 指

散文詩『紺の染み、人間。』2019.9.18

悲しみは紺の染みを作る、と甘いキャンディの透き通るイエローピンク、気泡を見ながら考えてい…

自由詩『とおい檸檬』2019.9.16

「砂糖菓子が好き」彼女が告白みたいに言った。 「僕のことは?」微笑みは帰ってこない。 「噂…

散文詩『研究者』2019.9.14

ほろ苦い研究室は夜の書斎で、ビーカー(哀、愛情、)世紀。 織物の目をゆびで拡げられたら覗…

散文詩『冒険』2019.9.13

溶けるような月の粉末を飲み干す。騒めく葦の影、大気揺れる頬に触れる髪。軟水の唾液、対面の…

『無名』2019.1.23

紡ぐ必要のないストーリー 解けていくだけ この世に一滴も美しさがなかったなら この世に一滴…

『真夏の屋上』2019.1.17

薄闇に灯りがともった 非常口に時間が流れる アンティーク調の将来 道を譲ったあの子 身体が…

『いじめっ子になりたい』2019.9.11

心に細かな穴が開いて、その中に落っこちていくとしたら、嫌な気持ちだけが取り残されてしまう。幸せはいつも流動的で、するりするりと指の間をすり抜けて、色んな人に笑う。だから、嫌な気持ちが嫉妬するのだと思う。スチール製の網目模様を通り抜けたら、その先には街並みがあって、幸せと嫉妬と嫌な気持ちと、私を構成する沢山の感情たちが同居しているのだ。喧嘩して、温かい料理を食べて、仲直りする頃には、また私はちゃんと、私の形になって目を覚ます。嫌な気持ちとか嫉妬とか恥ずかしい気持ち全部、幸せにい