散文詩『記憶のドラゴン』2019.9.30



サグラダファミリアは青銅色の板に閉じ込められた. 警告だ, (洗脳しよう). 錆びた鎧を着なければならない, 剣を持って.
閉じ込められた過去に魔物が潜んでいるとするなら(自己ではない), 分離された卑俗, 焔を吐く形相(既知は恐ろしく常).
猫の瞳を覗き込み, 行方不明の正体を炙り出せ. 削り取ってもいい (分離しなければ), さもなければ剣は, 緑青に解けるだろう.
死ぬというのは(ペプチド結合), ほぐれることだ. 魔物は何でも喰う, 例えば記憶を. かつて殺された勇者たちは六畳間端の押入に隠れていた.
膝を抱えれば小さく, 幼さは美味い. 今でも味わえるほど, 牙がめり込むのは容易い, 肩にも跡を残らせるほど. (愛情). 延べられた手は五つに分かれていた. 「どれを取ればいいの?」
羽根を生やさないのは気色が悪い, そこら中を這う二本の, 「飛べないなんてどうかしている」. 記憶では落ちると表現した, (生きている), 靴紐の無い革の靴.
錆びない鎧を手に入れたらやめよう, 遮断機に向かう羽根. (駄目だ! 0)
ラピスラズリを探しに行こう, 崖から瑠璃色に転落する解けた魂, 肩に食い込んだ靴紐が止める(飛べた). あの感覚を一生.
忘れないから. 「大丈夫」, 生きていけるよ, サグラダファミリアを建設. このまま何処までも. 何処までも行く…何処までも, どこまでも飛んで.



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