散文詩『冒険』2019.9.13


溶けるような月の粉末を飲み干す。騒めく葦の影、大気揺れる頬に触れる髪。軟水の唾液、対面の瞳。
滝の流れる、緩やかになるころの制服。揺れる。ベニヤ板の下から、その合宿最期の深夜。眼差しの船出、どこへ行きたいの。声、卓球台、ピンポン。


どうして?


青い空、透きとおるでしょうと母親。

女神さまは言った。真白い滑らかな声を構築、今杭に、地面に、突き立てて、刺して、と、頼む。鐘の紋様流し込む竜動態動態、じんわり。すきなの、熱。
薄い、霞がかった、青紫の、地平線を越える貴族のような足音。遠く。消えてゆく風の音。屋根。
オリーブの実が落ちる、幹が彼を呼ぶから、カラカラ転がる、置き、蒐集活動器、電波の届かない。

黒、


吸い込まれる。
どうして、

あの日は寒かった。
マフラーを、銀のフォークで巻いて食べた。満月の夜、叫んだ。遠い、遠い地平線と、ベニヤ板の下から覗く、空、空。月の粉末が降る夜露に朝日、かすみ、霞む、掠れた、
キミの微笑んだ、ページをとじる。



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