散文詩『紺の染み、人間。』2019.9.18




悲しみは紺の染みを作る、と甘いキャンディの透き通るイエローピンク、気泡を見ながら考えていた。渦を巻く人間のよう。
きっとおなじなのだと思う。悲しみと甘いキャンディと、無邪気に両手を伸ばす身長の小さな子の、ふくふくのおてて。
ママ、わらって。
わらう意味もわからず、歌うように大きな声で、呼ぶ音色がイエローピンクに煮詰まって、気泡、垂れた。あぁ、また渦を巻く。
僕みたい、私みたい、あなたみたいだ。なんだか、泣いてしまいたいみたいで。
両手で掴んだ花火を掲げるように、夢があったことを思い出すように、大事にその渦を、大きな人間の渦を、持ち上げてみた。
何も知らない、この世界の渦、真ん中に僕がいる。私、知ってるのは、ここの外側に、渦があるってこと。あなたもそうでしょう。
歌うように、垂らすように。
世界の、人間の渦が、イエローピンクだった。悲しみの染みを混ぜ込んだ、紺の香りを楽しんだ。夜。微笑む、ふくふくのおてて。
わらって。わらって。わらって。
悲しみは紺の染みを作ってしまうから、わらうボクらだ。



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