hirokomix
地域猫レオの数奇な運命を通して、日本のペット事情、動物愛護、動物福祉を考えていきたいと思い、執筆しました。多くの方に読んでほしい❣️
おい！レオ！ トラさん、久しぶり！ おまえ、リュウがミナさんちに引き取られる事知ってるか？ えっ！？本当？ ミナさんは竹内さんの娘だろ？と言う事はおまえら、兄弟になるのかな。 そうなんだ。知らなかった！ となると、シュンスケに会えるな。レオは期待に胸を震わせるのだった。 あっ！レオくん、お帰り！ 竹内さんが声をかけてくれた。ミナさんが来ている。あれ！？横にいるのは！？ あっ！！シュンスケだ！！ 僕は思わず、シュンスケの方に向かった。シュンスケは僕を覚えているだろうか？ する
竹内さん、どうしちゃったのかなあ！？朝から、あんなにソワソワしちゃって。 いつも沈着冷静な竹内さんが、何故か浮き足立ってる事にレオは腑に落ちなかった。 レオは気になりつつも、フードと新鮮な水を飲み干し、外へと繰り出して行った。 竹内さんは、これから訪ねて来る人物のため、お茶と菓子の用意をし、準備万端整ったところで、レオを連れて来ようと寝室に向かった。 しかし、既にレオのバスケットはも抜けの空であった。 やれやれ、せっかくミナ達が来るのに、レオくんは外出しちまったか！と竹内さ
緑川さんの元にＬe jasminの社長から訃報が届いた。あのスギタが交通事故に巻き込まれ、命を落としたそうだ。 緑川さんとしては、あのスギタが交通事故で呆気なく亡くなるなんて、到底信じられなかった。 彼女は取り敢えず、スギタが収監されていた警察署に連絡し、担当警察官を呼び出してもらい、事の顛末を聞き出した。 緑川さんは、明日の定例会で、スギタの死をみんなにどう告げようか、思い悩んだ。 スギタの死については、自身も含めた動物を愛する人々にとって、願ったりの出来事だ。従来は人の
スギタは取り敢えず釈放された。これから始まる裁判に関しては、Ｌe jasminの社長が有能な弁護士を付けて無罪を勝ち取ると言ってはくれているものの、今度ばかりは有罪を免れない事を確信し、身辺整理に務める事を決意した。二度の結婚をしたものの、子どもには恵まれず、それに自身は一人っ子であり、両親もとっくの昔に荼毘に伏している。親族と言えばただ一人、2度目の夫の甥がおり、彼に自身の不動産や貯蓄の大半を相続させ、残りの財産は服役後に有料老人ホームに入居するための資金に当てがおうと考
警察署に留置されているスギタの元に、今度はＬe jasminの社長が訪れた。 社長、わざわざ来てくれてありがとう。 いえ、代表、貴方が私に経営のノウハウを指導していただいたお陰で、今日の私が在ります。これまでの御恩は一生忘れません。なので、今回の件も有能な弁護士を雇い、裁判に備えて、全力で無罪を勝ち取る次第です。ご安心下さい。 社長、ありがとう。しかし、今回は地域猫サポーター共に多くの証拠を掴まれている。良くても執行猶予付きの有罪になるだろう。 代表、そんな弱気な事を！
新年あけましておめでとうございます🎍⛩ 本年もよろしくお願い致します🤲
スギタはその後、黙りを決め込み、緑川さんの質問に一言も答えようとはしなかった。結局スギタの真意が掴めずに、緑川さんは警察署を後にした。家路に辿り着いた緑川さんに、ヒサコさんから連絡が入り、ミナが地域猫のリュウを引き取る事を知らされた。リュウくんの行く末が決まって本当に良かった。リュウくんは元々飼い猫で人懐こい子だから、家庭猫として、きっと上手く行くだろう。アーサーといい、レオくん、リュウくんといい、みんな幸せになってほしいと、緑川さんは心の底から思うのだった。 そうか、リュ
スギタさん、貴方に面会です。署括の警官が告げに来た。何！？私に面会？誰がだ？ とにかく、来て下さい。と警官は面倒くさそうに、スギタを面会室に通した。スギタさん、お久しぶりです。 何だ。緑川か。 相変わらずですね。スギタ理事長。素っ気ないところは昔のままですね。 おまえの下らない四方山話に付き合うほど、私は暇ではないし、この通りの無様な姿さ。もしや、こんな私を笑いに来たのなら、思う存分笑うがいい。とスギタは不貞腐れた態度で、緑川さんと対面した。 スギタ理事長ともあろう人がどう
ヒサコさんは、シュンスケくん、ミナさん、リュウを助けて頂いて、本当にありがとう。貴方達が気づいてくれなかったら、あの子は路上で一人ぼっちで死ぬ事になってしまってたかもしれないわ。本当にありがとう。ヒサコさんと長谷川さんは深々と頭を下げた。何とか助ける事が出来て、良かったです。ミナとこちらに伺った時、人懐こくて可愛い子だったんで、よく覚えていました。なあ、ミナ！？とシュンスケがミナに声をかけた。 すると、ミナは唐突にヒサコさんに話しかけた。リュウくんの退院後はどうされるんです
あっ！！シュンスケ、猫が倒れてる！！ あっ！本当だ！ あの茶白の子はヒサコさんの担当の子！？ そうかもしれない。ミナ、降りるぞ。シュンスケはミナと共に下車した。目の前で茶白の猫が倒れている。シュンスケは微かに息をしている猫を抱き上げ、車の後部座席にそっと寝かせた。ミナ、涼介先生のところに連れて行くぞ！ うん、分かった。とミナはうなずき、シュンスケは運転し始めた。 うーん、やはり車に轢かれたようだ。今からレントゲンを撮るから、少し待ってて。と涼介先生は告げた。シュンスケはヒ
おう！マサシ、久しぶりだな！ シュンスケ、ミナ、今回はご苦労だったな。それに兄貴の事で迷惑かけたな。本当にごめん。マサシは申し訳なさそうに頭を下げた。兄のサトシが黒ムツで、今回の事件に関与している事にマサシは心を傷めていた。前回の叔母律子さんの殺人未遂事件に関与していた事もあり、兄が仕出かした一連の事件の関係者に対する謝罪の気持ちと情け無さで胸が苦しかった。 それにサトシがニートになり、自堕落な生活を送るようになった原因は多少自分にもあるような気がしてならなかった。優秀で、
スギタさん、黙っていても埒があきません。元動物保護活動家の貴方が何故、猫達を無惨にも殺めたり、飼い猫を盗ませ、三味線業者や動物実験業者に売り飛ばしたりしたんですか！？と若手の刑事がスギタを問い詰めた。しかし、スギタは口を固く結んだまま、一言も発しようとはしない。 すると、横で若手刑事とスギタを見守っていた中年の刑事が若手刑事に俺に任せろと言いたげに目配せして、語り出した。スギタさん、貴方、このような事件を以前にも起こされていますね！？ずっと犬猫の命を守ってきた貴方が動物虐待
僕が地域猫としてのんびり穏やかに過ごしている間に、地域猫誘拐事件は終息を迎えていた。スギタさんは半グレはおろか、黒ムツ達とも手を結び、ペットショップで売れ残ってしまった子猫達を二束三文で買い叩き、また里親詐欺や飼い猫の盗難にまで関与していた。 黒ムツと言えば、僕を監禁していた男を思い出す。そう、引きこもりでオタクの不潔極まりない男サトシだ！サトシはアーノルドの逮捕や以前のスギタさんの事情聴取を鑑みて、自身の関与がバレるのを恐れ、父方の親族宅に身を寄せていた。しかしながら、今
スギタさんが逮捕されたわ！やはり、多くの地域猫を捕まえて、殺めたり、三味線業者や動物実験業者に売り付けたりしていたようよ！とヒサコさんは半ば憤りながら、長谷川さんや僕達にスギタさんのこれまでの悪事を述べた。やっと、あの婆さんが逮捕されたか！前にも警察に事情聴取を受けたそうだが、何の証拠も無く、お咎め無しだったもんな。今度こそ、牢屋に入れられて、刑務所から出られないようにしてほしいな。あの人のために僕達猫一族はとても苦しめられたからな。僕はリュウやすず達に、スギタさんがどれだけ
ミナちゃん、この子を連れ出してくれてありがとう。 ケイコさん、あのスギタさんはキャリーケースごとこの子を地面に叩きつけるように落としたの！私とシュンスケの目の前で！本当許せない！絶対許さない！この子はまだしも、他の多くの命を奪ったあの人を断じて許さないわ！とミナは怒りと憤りで、顔を真っ赤にして言った。ケイコさんはそんなミナを自分の若い時を見てるようで、面映い気持ちになった。 先に運び込まれた黒猫はやはり、両脚とも骨折しており、頭の傷口は何か刃物で抉られているようだ。ペルシ
シュンスケと警察官は管理人に伴われ、スギタの部屋に入った。すると、微かにニャーンと鳴き声が聞こえた。ケージが２つ置いてあり、一つのケージにペルシャらしき長毛の猫が1匹、身を横たえていた。シュンスケはケージからその猫を丁寧に取り出した。見た目は綺麗な猫だが、後ろ脚が両方共曲がり、明らかに虐待を受けている様子であった。すると警察官の携帯が鳴った。相手はスギタを連行した警察官からだった。 彼の話では、スギタは他に2軒部屋を所有しており、そこにはそれぞれ、猫が合計4匹居るとの事だっ
