プロランナーになって1年経った今、思うこと 2020/06/12
昨年、所属先の実業団チームを離れてからプロランナーとして活動し始めて1年以上が経ちました。
今回は活動を始めて1年経って今思うことを書いていきたいと思います。
この1年を振り返ると、もう1年経ったのかと思うと同時に、かなり色々なことを体験した1年だったと振り返ることが多いように感じます。
(色々あった1年でした… ケニアのワニの置物と戯れる様子)
やっぱり一番感じるのは、
「実際にやってみなければわからない」ということ。
僕は取り組みをする前に、
あーでもない、こーでもないと考えるタイプなのですが、
必要以上に深く考え過ぎていることのほうが多いなと最近特に感じるようになりました。
自分が想定できることには、ある程度限界があって、
ましてや相手の感情に左右されることや、自分ではコントロールできないもののほうが世の中には多いかと思います。
取り組む上で最初考えていた仮説があって、それを実行して検証し、評価する。そして改善して次に生かす(PDCA)。
ただ、自分はこの仮説なり準備をする期間に重きを置きすぎていると、取り組んでいて気づきました。
「とりあえずやってみよう」という精神も大切なのではないかというのは、これまでの自分にはなかった考えです。
やりながら考え、軌道修正しながら取り組んでいくことが今の自分には大切なのかなと思っています。
経験とは、時間が与えてくれるものではない。
だらだらと無駄な時間を過ごしたところで、なんの経験も得られない。
何かを待つのではなく、自らが小さな勇気を振り絞り、自らの意思で一歩前に踏み出すこと。
経験とは、経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていくのである。
(「ゼロ」より引用)
この1年は自分なりに一歩を踏み出せたからこそ、自分の中にはたしかな「経験」が刻まれたのではないかと思っています。
(ベストセラーになった本 だいたいこの内容をリメイクしたものがホリエモンさんの著作には多い 「堀江貴文VS.鮨職人」などは独自の内容で読んでいて面白い)
あとは、プロになって感じたのは、制約やルールも時には大切だということです。
自由にできるという反面、自分自身の目的なり意思が明確でなければなりません。
なにを当たり前なことを
そんなのチームに所属していてもやっている
と思われると思います。
たしかにそうなのですが、チームに所属していたときは、
あのルールめんどくさいな
それって意味あるの?
と思うことはかなりありました(すみません…)。
ただ、今になると一定の強制通用力として機能するものを自分の置かれている環境に備えておかないと、自分の場合は妥協してしまいそうになることがわかりました。(プロ失格…)
自分の性質や傾向に合わせて対策を講じ、自分をうまくコントロールするということも活動していく上で学んだことです。
以前読んだ「法のデザイン」では、
一定の制約やルールの中でこそ、自由な発想やクリエイティブなことが出せるのではないか。
制約やルールには堅苦しいイメージや不自由なイメージが持たれがちだが、むしろより自由な発想を可能にしたり、創造性を高めたりする側面もある。
という内容が記載されていました。
(興味のある方はご一読ください 難しい言葉が沢山でした…)
たしかにこれは自分の実体験からしてもすごく腑に落ちる内容で、
「制約やルールをあえて利用する」というのは自分にとっても視野が広がりました。
なんの制約やルールもないところから、いきなりなんでもやってもいい、好きにやれと言われても、選択肢が多すぎてただ立ち尽くすだけかと思います(僕はそうでした)。
そういう時はあえて自分に制約を課すというのも、自分のひとつの引き出しとして使っていきたいと思います。
(「ハンターハンターより引用」念能力も制約によって強化できる きっと陸上競技も同じはず…)
あとは競技はもちろんですが、
競技以外で学ぶことが圧倒的に増えたと感じています。
僕は実業団に所属していたときに競技以外の部分のアウトプットが少ないことに焦りや不安を感じていましたが、今はそれに対する不安感は減ったような気がします。(ただストレス?で白髪が増えました…)
ただ、僕の強みはこれですと明確に言えることは今はまだないのですが、それはこれからの取り組みで身に付けていけたらと思います。
もちろん、所属している企業によって勤務形態や選手が手掛けている業務内容は様々なので、ここは個人差があり、あくまで僕の主観的な経験からくる感情というのを誤解のないように付け加えさせて頂きます。
(noteもアウトプットの場のひとつ いつも読んで頂いている皆さん、ありがとうございます)
また現在実業団に所属している選手で、
プロになりたいと思っている選手は多かれ少なかれいると思います。
僕よりも知名度があり、競技力が高い選手も多くいるというのが今の現状で、
「あいつでもなれたからおれでもなれる」というのも勿論考え方として持たれている方はいるでしょう。
(僕でよければお話聞くのでご連絡ください)
ただ、プロになって感じたのは
「競技力以外の能力もかなり試される」
ということ。
もちろん突き抜けた競技力があれば話は別だと思いますが、現状突出した実力のある選手というのは中々いないと思います。
現場や同じ競技者から認知されていても、世間からみて認知されている選手というのはかなり少ないというのが今の実情ではないでしょうか。
そういう中でどのように自分を知ってもらうか、
どのように他と差別化していきながら自分の競技力も向上させ取り組んでいくか、
などはこれまで評価軸が競技力のみだった世界とは様相が異なってきます。
多分正解はひとつではなく、色々な答えがあると思います。
それを人から言われるのではなく、自分で答えをみつけていけるか。
与えられた問題に対して向き合うのではなく、
「自ら問題を探して解いていく」
そんな能力が必要かと思います。
あとは人と接するコミュニケーション能力の高さなども重要だと感じています。
(自分に最も足りない能力…誰か助けてください)
このことに関しては僕は偉そうにいえる立場ではなく、
正直、活動していくことに手一杯というのが今の現状です。
逆に言えば、だからこそ必死になって向き合っていかないといけない問題だと捉えています。
(「漫画キングダムより引用」主人公の信を必死になって守ろうとする仲間たち これくらい必死にならなければいけないですね…)
また、こういったことが話題になるときにあがるのは、
「選手は競技だけに集中するべき」
という声です。
このことは人それぞれ価値観も異なるので、なんとも言えませんし、
色々な考えが尊重されるべきかと思います。
ただ僕がひとつ感じるのは、
「誰も自分に対して一生分の責任はとってはくれない」
ということです。
あの時、ああいうことを言われたから自分は競技に対して集中しました。
それはそれでいいと思います。
ただその結果、その後の状況が良くなろうが悪くなろうが全て自分の責任です。
自分のことを自分以上に考えてくれる人はこの世の中にはほぼいないと思います。
ただ実業団選手であればコンプライアンスの観点から、
企業の名前を背負っている以上、不用意な発言を控えることなど、
リスクを減らすために活動が制限されている事情もあるかと思います。
しかしリスクを恐れていては物事は前に進まないと思いますし、
企業も現在の事業がうまく伸びている間に次の種を撒いておかないといけない。
新規事業など新しい方向性やヒントを探している企業もあるかと思います。
そこで、既に企業で保有しているスポーツチームがそこに食い込める可能性が出てくるとすると、また実業団チームや選手の価値は上がり、スポーツの価値をよりたしかな形で証明できるのではないでしょうか?
(実際には実業団チームの多くは大企業なので、あまり関係ない話かと思いますが、これからの新規参入のチームは上記の要件を満たしてくるところが多いかもしれません)
特に今年度から言えば、ウェア規定も改訂され、より柔軟な取り組みができるようになりました。また、コロナウイルスの影響でオンラインによるコミュニケーションは市民権を得ている状況だと思うので、これまでよりも取り組み方に幅を持たせることができると思います。
(「陸連のHPより引用」ウェアの規定が変わります スポンサーロゴの掲載箇所が増えます)
今までは持ち前の内向型の性格もあり、
粛々とやるべきことをやって、それをひけらかさない。
良い結果を出さないうちは発言を控える。
という精神だったのですが、
今noteを書いているように、
自分の思考や活動の過程を「見える化」するのはとても大切なことではないのかと改めて思うようになりました。
先日、プロトライアスリートのエース栗原さんのお話を聞いていて、
取り組みの失敗すらドラマチックだと感じていた自分がいました。
この人はこういう体験を経てきている人なんだ。
明るくふるまっているけど、それは失敗や挫折を克服してきた強さがあるからなのではないか、なんだかとても人としての魅力がある人物だと話を聞いていて感じました。
(取り組みの「見える化」の教科書 アル・ケッチァーノ式経営術)
また栗原さんのお話の中では、
「アスリートは応援され慣れている」
という言葉が出てきました。
この言葉を聞いたときに、
自分にも思い当たる節がある
なんだか後ろめたい
そんな気持ちになりました。
アスリートは応援されて当たり前ではなく、
いつも色々な人から応援されているから、
今度は自分が応援しよう
またこれまで応援されていなかったとしても、
自分から率先して応援しよう
そういう気持ちが関わる人を豊かにするのではないか、もっとスポーツに価値を持たせることができるのではないかと、栗原さんは持ち前の熱いパッションを前面に出して話していました。majide (注:栗原さんの口癖です)
たしかにそういう人のまわりには人が集まり、みんな豊かな気持ちになれる、そのように感じました。
(山梨県を拠点に活動するプロトライアスリートのエース栗原さん majide熱いひと)
またこの1年間スポンサー企業を探していく中で、
地元の富山県について以前よりも語ることが増えたように思えます。
子どものときに何気なく車で通っていた道路の脇に、こんな立派な企業があったのかと改めて気づいたことも少なくなかったです。
帰ったときに地元の北日本新聞に目を通すと地域の情報が沢山あり、東京にいては得られないことも沢山記述されていました。
また活動をしていく中で、応援して頂く前に、自分で地域を応援する。
求められていないのかもしれないのですが、相手は僕がどういうことをしてくれる人物なのか分からない場合も当然あると思います。
こういうことがしたいとただ語るだけではなく、
まずは自分自身が率先して活動して、やっている姿や結果をみせることが大切だと思っています。
僕であれば、今はオンライン講義であったり、地元の富山県のPR活動だったりがまずできることのような気がします。
あの人はあんなことをしてくれるのか、それだったら自分たちも頼んでみようかなとなってくれたらベストです。
(最近「とやまふるさと大使」になりました しつこいくらい富山県をPRしていこうと思います)
色々書いてまとまらなかったですが、今思っているのはこんなことです。
これからの1年はまた自分が大きく成長できるように取り組みたいと思います。
現役選手のうちに、
富山県出身者で初のマラソン日本代表になること。
地域から愛されるアスリートになること。
今は掲げるだけ笑われてしまう目標かもしれないですが、
そのためにできることを粛々とこなしていきたいと思います。
達成できたときに自分と喜びを共有できる人が大勢いると信じて。
(自分を含め、笑顔になるひとが増えるような取り組みをしていきたいです)
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