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「学生」という立場で建築組織設計事務所で3年間働いて学んだスキル

こんにちは。春に大学の建築学科を卒業して、現在社会人1年目の佐々木大樹と申します。
私は大学2年生の春〜4年生の卒業まで、都内の公共建築を主に設計している組織設計事務所でアルバイト(有給)とインターン(無給)を繰り返しながら3年間働かせて頂いていました。

今回は、その3年間で学んだことをまとめていきたいと思います。
少し長文になってしまいますが、建築の設計に興味がある人だけでなく、他の業界にも通ずることもあると思うので、読んで頂けると嬉しいです。

◾️チームで連携して設計する為の“打ち合わせ力”

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大半の事務所がそうだと思いますが、実務の設計現場では学校の課題と違って複数人で図面やパースを分担して設計を行なっていきます。

学生なら同級生や先輩後輩と組んでコンペに出したりはあると思いますが、実務では若手からベテランまで老若男女、人数も4.5人ではなく7〜10人で、打ち合わせも毎日のように行っていました。

そのチームの中でリーダーを決めて意見を出し合いながら分業して提出物を揃えていくので、学生という立場の僕がやりたいデザインをできる訳がなく、必然的に模型やパース、図面の指示を受けてPCに向かいひたすら手を動かしてそれらの用意をお手伝いする、という仕事になります。

最初は、言われたことを素直にやっていれば良いのだから楽じゃん!と思いましたが、そんなことはありませんでした。笑

建築の設計では、大まかな指示で細かい部分を触らなければいけないことが多いので作業が進むほど説明で言われなかった寸法や形状、想定外の疑問がたくさん出てきて、自分の判断で解決して良いのかも分からず、毎回質問に行った挙句「そこは君の判断で良い感じにしといて」みたいな事が多く、大した成果物も出せずに家に帰る日が続きました。

半年ほどそんな日々を続けてまず身についてきたのが、“打ち合わせ力”です。

自分でどのレベルまで決めて作業を進めて良いかの確認
今までの経験から作業中に発生するトラブルを予測して先に質問
次に打ち合わせする時間(2〜3時間後)までに用意する成果物の種類やその完成度イメージをその場でスケッチや図を書いて擦り合わせし、固定する。

朝一番のミーティングで聞くだけの姿勢になるのをやめようと思って習慣化したところ、毎回の会話の具体性や密度がすごく上がりました。

一見、建築デザインの具体的な力に繋がらなそうな技術ですが、ココを押さえることで「仕事が丁寧ですれ違いが少ない」という評価を頂けましたし、打ち合わせの力を高めることで生まれる、濃密な会話の中でベテラン設計士の方から大学の授業では聞けないデザインの手法や建築設計のノウハウを聞く事ができました。

大学の設計課題や研究室で行われるエスキースでも、こうした仕事で行うような打ち合わせを意識して教授とのすれ違いやイメージのズレを徹底して擦り合わせることで、高い評価を頂けるようになりました。

◾️確実に成果を出す“瞬発×修正”力

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僕は正社員ではなく学生アルバイトだったので週に1〜2回、授業が無い日だけ来て仕事をする、という働き方でした。なので何日もかけてじっくりと図面やパースを作れるわけではなく、その日だけである程度の成果を出す事が求められていました。

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限られた時間しか来れない学生アルバイトの僕の仕事はパース用のモデリングや図面の修正などがほとんどでした。

そうした状況で一番やりがちなミスが、
「1日かけて丁寧な仕事をしたつもりになって、完成品を提出してみると相手の求めていた物と違って時間が無駄になってしまう」
というパターンです。

一人で作業を進めるほど相手の求めている物から少しづつ脱線していってしまう現象は、建築設計の業界以外でも起きていると思います。

こうしたミスを防ぐために僕が意識していたのが、まず0から65%ぐらいまでの大枠を“細部の綺麗さ度外視”で超スピードで作ってしまう「瞬発力」と、65%の状態で確認・手直しを繰り返して最終的なクオリティの高さを獲得する「修正力」です。

30分〜1時間ぐらいで最後まで手を通すと決めてしまって、“汚く終わらせた”モノを上司に見せて、相手の反応を伺ったり、細かい部分の方向性を話し合います。

ここで僕が学んだ大事な点は、65%の完成度で相手に見せてもほぼ確実にお互いの認識のズレによる「手戻り」が発生します。

もしこの中間チェックなしで100%作り込んだものを提出してしまうと、「なんか違う」「これは求めてない」と時間と努力が無駄になる事故が起きてしまうのだと思います。

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早い段階で全体の枠組みを作って 確認 ▶︎ 修正 を繰り返して最終クオリティ105%を出し続ける能力が、チームでデザインを行うのに必要な力だと思いました。

仕事を始めた瞬間から超スピードでまず終わらせてしまう考え方は、大学の設計課題でも大いに役に立ちました。

設計の課題では1〜2ヶ月ほどかけて1つの物を徐々に設計しますが、僕は課題の進行が半分の時には全ての設計が終わっていて、残りの期間を全てアイデアを修正やブラッシュアップに使って確実に成果を残す事ができました。

大学生活で最後に取り組んだ卒業制作でも、中間提出の時には殆どの構想がまとまっていて、残りの時間を全て細部の修正に充てられたので、良い結果を残す事ができました。実務で学んだ経験が無かったら絶対にできなかった事だと思います。

◾️最後に

少し長くなってしまいましたが、上の2つが僕がチームで3年間設計する上で学んだ事です。
最も大事なのは、自分の仕事に対価(給料)が発生していて、ミスをしてチームに迷惑をかけたくない、という責任感だと思います。

責任を果たす為に身につける能力は人それぞれだと思います。
僕はこの春大学を卒業して社会人としてはまだまだ未熟なので今後も新しい学びがあったらnoteにまとめて自身に消化できるようにしていきたいと思います。

読んで頂きありがとうございました。

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