私の芸術運動140負け犬が負けるとは限らないですよね


そうかもしれないなぁーと思う事があった。

私が追い求めていた芸術はとっくにもう無いのかも知れない、あるにはあるが、もうとっくに通り過ぎていたとでも言おうか。

美術館で絵画を見たり、画集を読み漁ったりして沢山の絵画を見てきた、二十代になった頃、フランス語も喋れないのに航空券を取って1人でフランスへ飛んで一週間丸々美術館巡りにあてた事もあった、画集で見ていた絵画達が目の前の壁にサラッとかけられているのをみて鳥肌が立ったのを覚えてる(実は泣いた)、フランスに1人で心細かったがりんごをかじりながら街を歩き、カフェでエスプレッソを飲み、当時ここで沢山の芸術家達が生きて見ていた景色を通り抜け、当時描かれた絵を見る、これはとてつも無い刺激を私に与えた。

私も画家になる!!と素直に思ったし、私は成れると思った、そんな旅を終えた私は帰国して絵を描いた、個展やグループ展や公募展をして何年か経った頃

画家とはなんだ?と思った

絵を描いていれば成れるのか?

絵が売れれば成れるのか?

絵だけで生きていけば成れるのか?

この世界に入ってまずびっくりしたのは凄い数の芸術家が居た事だった、今思えば驚く事じゃ無いけど、年齢問わず毎日誰かがどこかで制作し、展示してる、個展をやる際ギャラリーの予約を取る時もかなり先まで予約で埋まっている、ギャラリーを借りるのは決して安い金額じゃ無い、公募展の審査料だって決して安く無い、そのお金を作るために結局私は朝から晩まで働かなけりゃならない、仕事先では私が画家なんて事はどうでも良くて、どれくらいシフトに入れるのか?が大切で、私の描いた絵を見たいと言う人なんて滅多に居ない。

公募展で審査料を払い、入選して美術館に飾られても少し経つと搬出日に取りに行かなくてはならなかった、その絵を持って家に帰り、描きかけの絵を進める、入選しなかった日にはすぐにまた絵を取りに行かなきゃならなかった、最後に挑戦した公募展では審査に落ちて選外と書かれた紙を受付に渡して絵を受け取り外に出ると雪が降って来た、かじかむ手で絵を持ちながら、周りの人の迷惑にならぬよう気を配りながら歩いて帰ったのを思い出す、なんかとても惨めな気持ちになって「何してんだろうなー」なんて口に出すと白い息となってフワッと霧散して消えた。

画家になるとは一体なんだ?

私は画家になってどうしたいのだろう?

時代を遡って見れば、絵画は写真と同じような役割だった、そこから自由を獲得して外で描くようになり、自然を追い求めて行く、表現も自由になってゆき、それぞれの画家のフィルターを通した世界に分岐していった、しかし、写真の技術が確立して行く、写真の様な絵を描く事から解放されて自由になったとも取れるけれど、ある意味でそこで従来の芸術というものは崩壊してる、しかしその後も絵画は進化してゆく、上手な絵という枠を超えてより自由になり、形態や色彩にも革命を起こしてゆく、抽象芸術も盛んになり、偶然性を描いたものも現れる、次第にそこにコンセプトを与えその芸術はどの様なアプローチでどの様なことを表現した芸術なのか?という説明がなされる様になったりする、印刷の技術も進み、一気に芸術は大衆化され身近なデザインとして溶けて行く

芸術が身近なものになるというのは素晴らしいことだと思う、むしろビジネスとして成立してる、誰でも享受できるしなんなら芸術家になる事ができる様になった

じゃー私は?何をしようとしている?

画家になる!なんてもうとっくの昔に通り過ぎた事だったんだ、今やAIですら絵を描く、いずれAIから偉大な芸術家が生まれるだろう。

少し前に見た夢なのだけど、実際に画材を用いて絵を描く人が減れば画材の需要が減り、生産も減り、高騰して、次第に無くなって行くという未来の話

むしろ今の時代を考えれば、画材で絵を描く事はとってもアナログな事であり、効率も悪くて、むしろ贅沢をしているのかもしれないなと思う、ある意味で今この時代が画家最後の世代なんじゃ無いだろうか?

むしろコンセプトも無く、商業的でも無く、ああっ、美しい!!という思いだけで描く絵、もうとっくに死んでいる。

だけど私個人の心の中にはそれがまだ生きていて、ロマンを感じてる、さっきはとっくに死んでいるなんて強い言葉を書いてしまったけど、なんだかんだ形を変えながらも芸術というものは残り続けて行くんだろうと思います

だけど今、沢山の人が絵を描いている事を私は知っています、私もその1人です、もしかしたら新しい芸術の転換期なのかもわかりません

私は純粋芸術ですと言って商業的なものと差別化を図る事もおかしな事です、同じ芸術でありむしろ新しい形の一つです、私も私で新しい形を作ってゆかねばと思ってます。

当たれば勝ちな世の中になって来ました、仕組みを作り、いかに世に出すか?

私は完全に時代錯誤者ですよ。笑

この時代の負け犬といったところですが、負け犬が負けるとは限らない、正直世界的にに見れば日本は芸術面でもなんでも負け犬ですからね、このまま終わるなんて事はありえないでしょう?みんなも薄々感じてる事だと思います。








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