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死をリアルに感じても 第2回

命は必ず終わりがあるものですけど、
やっぱり死は恐いです。

でも、私が死んでも、私の命は
生きている人々の心の中で生きていくと信じています。

残された人間が、亡くなった人の人生を
意味ぶかく受け止めていく時に、

本当の意味で、亡くなった人の命が
残された人間の中で生きていく
のだと思います。

だから、私も人々の心に残るような人生を歩んでいきたいです。

生きている時点でひとりではない


そうして、人との関係から生きることを考えるようになりました。

いま生きているということは、
自分を支えてくれる人が必ずいるんですよね。

誰かとの関係があるからこそ、
私たちの命は存在しているのだと思います。

人間は孤独を感じてしまうものだけど、
生きている時点でひとりではないんですよね。

こういうことを考えていた頃に、
1946年に公開された映画「素晴らしき哉、人生!」を見たんですね。

これは、若い頃の夢を諦めて、
愛する人たちや貧しい人々のために、
住宅ローンの会社経営を頑張る主人公の物語です。

ある困難をきっかけに
自殺を決心した主人公の前に、天使があらわれて、

その天使が
「主人公が生まれなかった世界」へと連れて行くシーンが
一番の見どころです。

この映画に出てくる

「一人の命は大勢の人に影響を与えている。
一人がいなくなれば世界は一変する」

というセリフが心に響いたんですね。

私はこの映画から、

自分が生まれないだけで、
自分の周りにいる人々の人生や性格が大きく変わってしまう、
だから自分の存在にも意味がある、

ということを学びました。

難病で生まれて来たからこそ


そうして、難病は良いものだと思えるようになったんですね。

なぜなら、私はこの難病で生まれて来たからこそ、
今の自分の性格や人生になれたし、
今まで築き上げて来た人間関係がある
からです。

ひとりの命は自分に関わっている人たちに
何かしらの影響を与えていますし、

もし私が難病になって生まれて来なかったら、
今まで自分に関わってくれた人たちの性格や人生が
何かしら変わってしまう
、と思うんです。

だから、人との関係から考えたら、
私にとって難病は良いものだ、と思えるようになったんですね。

そして、私は苦しむことが嫌だったんですが、

難病の人生で感じる苦しみは、
自分にとって必要なものなんだ、と思えるようになりました。

苦しみは人のためにつながっていく


苦しみも、自分ひとりのものではなく、
人のためにつながっていくものなんですよね。

人の痛みが分かる人は、
泣いている相手と同じくらい泣いた人、
傷付いている相手と同じくらい傷付いた人
です。

だから、難病の苦しみを受け入れて成長できれば、
人の痛みに寄り添うことができるし、

苦しみの中でも、喜びを感じながら生きていれば、
人を励ますことができます。

また、私たちのコミュニケーションの約20%は言葉で、
残りの80%は表情や仕草などの
無言のコミュニケーションで成り立っている
そうです。

言葉も大事ですが、
その人の醸し出す雰囲気のほうがより大切になるそうです。

私は難病でも、なるべく笑顔で過ごすことで、
人を励ますことができると信じています。

苦しみは人のためにつながっていくんです。

私の幸せは
人とつながっていることを実感することですから、
難病でも幸せになることができるんですよね。

人と関わりながら生きていくのが命なんですね。

【パール・バック(作家)】
「悲しみを越えるには、
あるがままのものを、そのまま受け入れることが、必要である。
これが自分の生活なのであり、私は生き抜かねばならない、と考えるのだ。
なぜ自分だけこんな目にあうのか?、と自分中心に物事を考えたり、行動したりしている限り、人生は耐えられない。
自分の苦しみは、自分ひとりのものではない。
苦しみの中で、自分は人々と共にあるのだ、と自覚すると、
やがて苦しみの中で、人々と手をつないでいこう、という積極的な姿勢に変わってくる。」

でも、人との関わりが多くなるほど、
自分には無いものを持っている色んな人に出会うほど、

私は他人と自分を比べてしまい、
自己嫌悪や嫉妬に支配されてしまう時があります。

でも、他人は他人、自分は自分と考えるように心がけています。

命の尊さはみんな同じですし、
人それぞれに生きる役割があるのだと思います。

逆に、自分には役割なんてない、
誰にも必要とされていない、と考えてしまうと、
私だったら、いつ死んでもいいや、と投げやりになります。

生きる役割を感じながら生きていくほうが充実した人生を送れますよね。

難病になった私にも生きる役割があると信じています。

だから、私はこの難病から何をつくるのか、
この難病でもって何を始めるのか、考えてみました。

そして、ただ競争するだけの社会から、
共に生きる社会へと展開させる役割が、

障害者で難病の私にもある、と思ったんです。

私がいつも意識していることは、
病の人・障害のある人は不幸ではないということです。

つづく...

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