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第56回造本装幀コンクール表彰式

先週9月22日(金)東京・神保町出版クラブビルにて第56回造本装幀コンクール表彰式が行われました。

受賞作は大竹民子 著「海の庭」。文部科学大臣賞をいただきました。
無事この日が向かえられた事に感謝。少しですがその時の様子です。

審査員長 浜田桂子さん
授与
賞状と盾をいただきました
箔押し 綺麗!
生成りの紙に透かし入 文字も手書きです 美しい&カッコイイ!
盾 シンプルで綺麗!
受賞者スピーチ
緊張しました^^;
スピーチ、感謝の気持ちを述べつつ大人な話してる&事前に持ち時間5分くらいと聞いてて
1分半くらい超えたからか、7歳の息子が即興で描いた絵が秀逸^^; 
内閣総理大臣賞あげます(*^^*)
座席を立って”ながい!”というプレート掲げてたのもおかげさんで場が和みました
受賞者、関係者さんたちと
撮られてるのを撮る図
報道記者含め凄い人の数やった
あんな一斉にカメラ向けられたんも初めて^^;
装幀家 祖父江慎さんから息子へイラスト入りサインをいただきました!
今回『ぺぱぷんたす006』で日本印刷産業連合会会長賞を授賞されています。
家族でこの本のファンやし、祖父江さんとみんなで写真撮っていただけたのも嬉しかった(*^^*)
図録
受賞作品
浜田桂子さん(審査員長)中江有里さん(読者代表、女優・作家・歌手)
寺本美奈子さん(学識経験者、キュレーター)の感想コメント
皆さんほんと細かなところまで気づいて感銘していただけ嬉しい限りです(*^^*)
表紙や本文ページなども掲載
出版クラブビル3F

3F展示コーナー
小さな本の展覧会16「本の設計で、アタマがいっぱい!
― 第56回造本装幀コンクール作品から」
受賞作は手にとってご覧いただけます
三賞

現在、出版クラブビル内で「小さな本の展覧会16「本の設計で、アタマがいっぱい!― 第56回造本装幀コンクール作品から」が開催中です。
受賞作や出品作品も自由に手にとってご覧いただけます。
ぜひお立ち寄りください。

会期:2023年9月22日(金)~10月30日(月)
open:10:00~18:00(土日祝はお休みします)
会場:出版クラブビル 3Fライブラリー(神保町)
入場無料


ー最後にー

この度は大竹民子さんの「海の庭」で文部科学大臣賞という名誉ある素晴らしい賞をいただく事ができ、本当に嬉しく、また同時に凄く驚いています。審査員の方々には最高の評価をいただけ心から御礼、感謝いたします。ありがとうございました。また造本装幀コンクール事務局 大島様はじめスタッフの方々、主催団体、後援など関係者の方々にも御礼申し上げます。またこのような素晴らしい場をご用意いただけ感謝いたします。そして今回の各受賞者、関係者の皆様もおめでとうございました。

そして「海の庭」の著者、大竹民子さん。今回お声掛けいただけ感謝いたします。素晴らしい作品にご一緒、力添えできた事、本当に嬉しいです。出版社、国書刊行会 礒崎純一さん。編集を心良く引き受けていただき感謝いたします。挿絵、水墨画 宮本信代さん。掲載作品17点のため200点以上描いていただけました。その甲斐あって本の文の内容と共に引き立ちました。題字&書影、カバー墨作品 書家 上田普さん。唯一無二の題字や書影、カバーの墨作品を制作、またいろんなアイデア、貴重な意見、見解もいただきありがとうございました。
加えて国書刊行会の方々、印刷、創栄図書印刷株式会社 石川様、製本、株式会社ブックアート 阿部様。今回「法の書」という作品でも受賞されています。おめでとうございます!また箔押し、小口塗りなど各加工会社様など、まだまだ沢山の方がおられますが、多くの皆様のご協力、お力添えによりこのような素晴らしい本が生まれました!重ね重ね感謝いたします。

改めて「海の庭」のご紹介を改めて少し。
著者、大竹民子さんは島根県松江市在住の精神科医さんでもあります。学生時代から文学同好会で同人誌を制作するほど文学や本づくりに愛情を注がれています。大竹さんと私の繋がりは、実は造本装幀コンクールにも関わっており、10年前の2013年に小説家、泉鏡花 原作、絵 中川学さんの「絵本化鳥」という本で読書推進運動協議会賞を受賞した絵本を見た大竹さんの妹さんが泉鏡花好きの姉 民子さんへプレゼントされて、そこからこんな本をつくりたい!という事で直接制作の依頼をしていただいたのがきっかけです。ちなみに「絵本化鳥」の出版社さん、編集のご担当も今回同様に礒崎さん、そして題字も書家の上田さんですので、泉鏡花が何か導いてくれたご縁なのかなとも感じています。泉鏡花、泉鏡花記念館の学芸員穴倉玉日さん、イラストレーター&僧侶 中川学さんにも感謝いたします。
(もひとつ余談、第54回の同コンクールで泉鏡花の絵本《展覧会記念版》榲桲(まるめろ)に目鼻のつく話が「出版文化産業振興財団賞」いただいた際の表彰式の日も9月7日の泉鏡花の命日だったんです。ですが残念ながらコロナ禍で表彰式は中止となり、なんかそれも鏡花らしいかなと思ってました。

「海の庭」という名前はこの本に掲載されている9つのエッセイの中の1つのタイトルになります。またそのお話の中に大竹さんのご自宅前の中海に、蛇が水中を泳ぐような潮目が現れ、それを見た友人が「龍安寺の石庭のようだね」と言った一文から装幀のイメージを膨らまし、龍安寺の石庭の縮尺とも重ねて、自分の感覚を信じて程よい画面の大きさを保ちつつ手に取りやすいサイズを割り出しました。《詳細は以前のnoteをご参照ください》

制作にあたっては世の中がまだまだ大変な時期の2021年の夏頃から企画がスタート。大竹さんの島根、各作家が京都、私の大阪。みんなでお会いしたのは制作中1度のみ。あとはコロナ禍もありオンラインやメールを駆使して進めましたが、ありがたい事に基本装幀に関しては大竹さんからはおまかせします!と言われていましたので、信頼されているという気持ちと共に、自分に何を求められているのか、何ができるのか、絶対期待に応えたい&みんなを裏切れない!という気持ちでした。
その上で、最初に提案したアイデアから完成形までほとんど変更なく形にできた事も珍しいのですが、これからという時に突然出版社の諸事情で出版社を変えなければならない事態となり、そこで「絵本化鳥」の際にお世話になった国書刊行会の礒崎さんへ直談判、ご相談させていただきOKが出て、無事刊行に至りました。

装幀として意識した事は「美しい佇まいの本」と「遊び心」です。
それは「絵本化鳥」にも通ずるもので、贅沢ながらにも現代の泉鏡花の本の装幀に、この10年間で4冊携われた事で鍛えられたのではと思います。また大正、昭和初期に活躍した装幀家 小村雪岱や橋口五葉が手掛けた美しい本を「鏡花本」と言われ100年以上たった今でも大変重宝されています。そういう本に憧れ、自分もそういう本をつくりたいと思い今までやってきました。
遊び心は大好きなグラフィックデザイナー福田繁雄さんイズムです。また家業が呉服店をしているので「装う」という点からも装幀と通じるものがあるかと感じています。それに加えて”五感を揺さぶるような本”を作りたいと思い、それが形になった事も満足しています。

そして嬉しい事に刊行直後には日経新聞の「Beautiful Books」というコーナーに突然取り上げられたり、共同通信社からはじまり、多くの各地方新聞にも紹介され良い知らせが続き、今回の文部科学大臣賞受賞のご報告。後にもフランスのDNA Paris Design Awardsにも入賞いたしました。何かこの「海の庭」の世界にはまだ見ぬ魅力があると信じています。

9月8日付 日本海新聞

当たり前ですが著者の内容はもちろん、それに関わる書影、挿絵など作家作品をはじめ、本の制作には出版社や印刷、製本、加工など現場の方々の力が大きいです。本だけでなくものづくりとして、できること、できない事もそうですが、こちらの意図や目指すところ、着地点をどう理解していただけるかというコミュニケーションもかなり大きな力だと感じています。今回の制作中では現場の方々とも一度もお会いできずでしたが、こちらの意図を柔軟に汲み取っていただき、結果とても丁寧な仕事をしていただけ心から感謝しています。会場でやっとお会いできいろんな裏話をお伺いできたのも楽しかったです。ホントご無理ばかり言いましてすみませんでした^^;

今までの時代の中、何度も印刷、製本などの技術革新が繰り返され、新しい”美しさ”が追求されることにより、造本、装幀の存在は読書の興味を起こさせる上でなくてはならないものになりました。そして今も昔も、まず読者に手に取っていただかないと、本と人との出会いは始まりません。そのためにこの本を知っていただく、読んでいただくためにできる限り著者や作家はじめ利他的な行動を繰り返しています。またそこから、本の新しい価値や魅力、面白さに気づき、自然と人に伝えたくなるようなコトや物語が生まれるように、と願っています。また、このきっかけからひとりでも多くの方々と出会い、それぞれがまた繋がり、新しい物語が生まれる事を願っています。

そして日頃ずっとそばで応援して支えてくれている私の家族にも感謝です。
また制作中に天国へ旅立った父と義理の父にも。会場でも見ててくれたかな。やったよ(*^^*)

長々と書きましたが、錚々たる装幀家、デザイナーの中で最高の評価をいただいた事、また良い経験させていただき感慨深く思います。
これを機に甘んずる事なく次に進みます。またこの造本装幀コンクールをはじめ、国内外のコンペにも挑戦していきます。

まだまだ通過点です。旅は続きます。
引き続き「海の庭」をよろしくお願いします。
そしてこのお庭で一緒に遊びましょう!なんかええやんか〜読んでみよかなあ〜と少しでも感じたらぜひ買ってくださいね(^^)
(購入はこちらからか全国各書店にてどうぞー)
また一緒に本作り、ものづくりしてみたいなあ〜と思った方もぜひお気軽にご連絡ください。新しい出会い大歓迎です。

まずはこの場を借りて御礼まで(*^^*)

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