マガジンのカバー画像

旅と建築探訪記

93
運営しているクリエイター

#ピーター・ズントー

【建築】"作品を展示すること"に追求したブレゲンツ美術館(ピーター・ズントー)

【建築】"作品を展示すること"に追求したブレゲンツ美術館(ピーター・ズントー)

"作品を展示すること"
そんなの美術館なら当たり前じゃんって思うよね、普通は。

オーストリア・フォアアールベルク州の街ブレゲンツ。ボーデン湖畔にある街だが、ウィーンやザルツブルクからは遠く、観光としては少々マイナーだ。

もし人々がこの街を訪れるとしたら、主な目的は二つのいずれかだろう。
ブレゲンツ音楽祭か? あるいはブレゲンツ美術館か? もちろん私は後者だ。

1997年オープンのブレゲンツ美

もっとみる
【建築】渓谷に静かに佇むアルマナユヴァ亜鉛鉱山博物館(ピーター・ズントー)

【建築】渓谷に静かに佇むアルマナユヴァ亜鉛鉱山博物館(ピーター・ズントー)

「アルマナユヴァ亜鉛鉱山博物館に行きたい」

亜鉛や鉱山に興味はない。その近隣に有名な観光地や他に見たい建築がある訳でもない。行きたい理由はただ一つ。設計がピーター・ズントーだからである。

アルマナユヴァ亜鉛鉱山博物館は、ノルウェーの町Saudaにある。

フィヨルドの奥にあるSaudaへはオスロから車で5時間、ベルゲンからは3時間、ハウゲスンからでも2時間かかる。公共交通機関の場合、これらの都

もっとみる
【建築】神聖さと親しみやすさを併せ持つ聖ベネディクト教会(ピーター・ズントー)

【建築】神聖さと親しみやすさを併せ持つ聖ベネディクト教会(ピーター・ズントー)

宗教の聖地巡礼があるように、建築にも巡礼がある。対象となるケンチクや建築家、テーマは人それぞれだが、分かり易い例を挙げると、ル・コルビュジエの建築を巡る旅などがあるだろう。

スイスの建築家ピーター・ズントーも巡礼対象の一人といえる。しかもズントー建築の多くは交通の便が良いとは言えない場所にあるので、巡礼と呼ぶにはピッタリなのである。(以前、ノルウェーの2つのズントー建築を紹介させてもらったが、あ

もっとみる
【建築】美しい田園に佇むブラザー・クラウス野外礼拝堂(ピーター・ズントー)

【建築】美しい田園に佇むブラザー・クラウス野外礼拝堂(ピーター・ズントー)

ピーター・ズントー。私のお気に入りの建築家である。
なにしろノルウェーの僻地まで彼の建築を見にいくほどだ。自分で言うのも何だが、この熱意は日本でベスト10には入るだろう。
そもそもズントーのファンは日本にも多い。ズントーの建築を見ると、私はいつも”禁欲的”という言葉が思い浮かぶ。解釈は色々あるだろうが、この禁欲的というイメージが日本人の琴線に触れるのではないかと思っている。

ところで建築巡礼者の

もっとみる
【建築】悲しい歴史を伝える魔女裁判の犠牲者達のための記念館(ピーター・ズントー)

【建築】悲しい歴史を伝える魔女裁判の犠牲者達のための記念館(ピーター・ズントー)

旅行も建築も大好きである。そんな自分にとって、交通の便が悪いところにある建築を訪れることは最高の楽しみだ。
この「魔女裁判の犠牲者達のための記念館(Steilneset Memorial)」もその一つであり、スカンジナビア半島のほぼ最北の町 Vardøにある。地図を見ただけで不便だと分かるような場所だ。

とは言えVardøには空港があるので、実は意外に簡単に訪れることが出来る。
少々難しいのは空

もっとみる